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番外編
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しおりを挟む流れる液体が床を濡らし、ガラスの中のものは簡単に空になった
生まれてくるはずの子供を殺した、その言葉に俺は拳銃を持つ手が震え床へと落としていた
「 床が汚れちゃった。掃除して? 」
他の部屋から出てきた数人の研究者
彼等はよくアランの傍にいるものと似てるがきっと7人の知能から造り出された、アンドロイドなのだろう
黒いゴミ袋を手に持ち、手袋をつけてはガラスを入れ、そして子供を掴みそのゴミ袋へと突っ込んだ
「 まっ、て....そんな.... 」
道路で事故にあい亡くなった獣と同じ扱いのように、子供はゴミ袋に包まれそのまま何処かへと持ち拐われた
手を伸ばしても今更、取り返しのつかないことに自分の犯した罪に吐き気がする
「 君って惨い事をするよね。後数ヶ月で生まれてたのに....ねぇ、どんな気持ち?説明してよ 」
「 っ....気分が悪いよ。凄く.... 」
この人はルイスへ向ける感情以外は持ち合わせて無いんだ
さっきの子供達が死んでもきっとまた新しく作ればいいってレベルで考えて重要な事を忘れている
「 子供って言うのは、好きな人と望んで作って育てる我が子でしょ!!その" 望み "が貴方には無い。ルイスが好きなら、ルイスの子供を大切にする気持ちはないの!!? 」
男同士だとかきっと関係ない
性別が同じだからこそ、子供が欲しかったと思う日が来ると思う
俺と颯の子供を見てみたいと思ったり
颯の子供である陽妃や遊馬が可愛いと思ったりしていたように
其処に性別なんて壁は存在しないんだ
親心と言うものが彼には存在しないことに、俺は一番のプログラムミスだと思った
「 はっ....なんでこんな、声を張らなきゃいけないの.... 」
此処に来て落ち着いていた感情はまるで引き金を弾いた拳銃のように爆発する
荒くなる呼吸や、心拍数の速い心臓に落ち着こうと深く息を吐いていれば、アランは怒る事もなく只感心したように" ほぅ? "と言葉を漏らしてから両手を叩いた
「 ....なに? 」
急に拍手し始めた事に睨めば、彼は笑う
「 流石感性を持った試験管ベイビーだけあるね。成る程、性別問わず子作りしたいと思う気持ちが必要なんだ。男女の結婚率が下がってるなら同性同士もありだね....産みたいかぁ、それが君の一番よく知る颯と言う人造人間にやってみてはどうかな? 」
「 なに、いってるの....? 」
壊れてる人とは思ったけれど、此処まで話が理解できない人とは思わなかった
俺の言葉を一つの意見へと受け止めてから提示した言葉は余りにも無責任だ
「 ほら、ルイスも言ってたじゃん?次の遺伝子はNo.103(颯)とNo.1092(海斗)にしたらいいだろって、やってみようよ 」
「 ..... 」
言葉が出なかった
この人はなにを言いたいの?
颯に子供を産めるか実験したいと言ってるの?それも海斗との子供を....
「 そんな.... 」
「 今頃、拷問にあってる彼に提示するいい条件だと思うんだ。組織を抜けさせるために子供を産んでみようって、その為の実験台になろうって 」
組織を抜ける条件として、子供を産んでみようってそんな馬鹿な話があるの?
それに、あの颯が ハイそうですか、と納得するわけがない
きっと" 男だから "とか" 俺はもう歳だから "と言うに決まってる
「 うーん、でも其までにもう少し実験が必要なんだよね。実現するには4年ぐらいは使いそう.... 」
「 待ってよ、それを本気で言ってるの? 」
「 本気だよ?研究者はいつも可能性を考えている。0.01%の可能性があれば挑戦したくなるものでしょ? 」
この人は、なんて馬鹿なんだ....
研究者と言うのはなんで人の命で遊ぶのか分からない
其処に科学の進歩があるとしても生命の流れを崩すことと同じだと分からないのだろうか....
「 それに興味あるんだよね 」
「 何が.... 」
聞いてもたいしたことじゃ無いだろうから聞いてみた、だからこそ何一つ興味はなかったのだけどこの人は照れながらも笑った
「 君の言った好きな人と子作りしたいと思うのは分かる気がするんだ。俺とルイス、子供が出来るかやってみたくなった 」
「 !! 」
「 俺自身を使って実験することはないし、ルイスの本体を起こしてしまう事になるけど、一人ぐらいは俺とルイスの血の繋がる子が欲しいよね 」
好きな相手がいた....恋人だと笑いあった
けれど子孫を残すために見ず知らずの女性に代行として産んで貰う、そして遺伝子を使って人造人間を造り出すしか、彼等が自分達の子を造る以外の方法が無いんだ
もし、これが成功すれば俺と陽妃にも子供が出来るんじゃないか....
颯と海斗の子供と仲良くしてる未来が有るんじゃないかと思えば、なにも言えなくなった
結局は、死んだ子供より自分の子供が一番大事に思えてしまうんだ....
「 その様子からして答えは決まったね。君には協力して貰うよ。その為に射殺を止めたんだからさ 」
優秀な実験台、そう俺を呼んだこの人の言葉に逆らえなかった
望んでしまったんだ、颯と海斗、そして俺と陽妃の子供が仲良くなってまたその子に子供が出来れば夢にみた家族が出来るんじゃないかと
颯の幸せそうな顔やら、陽妃のお母さんぶりを見れるんじゃ無いかって思うとなにも言えなくなった....
「( 俺は....家族が欲しい..... )」
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