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番外編

06

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初めて見た映画は少女が死ぬと言ったバットエンドだった
けれどその映画を観ている拓斗さんの横顔は時より寂しそうでまるでクロという軍犬との言動が被るような気もした
だからこそ、此方へと視線を向けた時にふった笑う表現に無理が見えた

クロが泣いた時が何処が拓斗さんと重なって泣いてしまったんだ

普段なら素から笑っていたような拓斗さんのあんな無理した笑みは寂しいと思う

「 ....はい 」

『 えっ? 』

予定通り、映画を終えたポップコーンを買って貰った私は椅子に座って食べていれば何処かに行ってた拓斗さんは少しして戻ってきた

不器用に、何処かふてくしてる彼から差し出されたそれには、シマネ館のキャラクターが描かれた紙袋があり
受け取って中身を見れば、買うのを拒否された映画で主役をしたクロのドーベルマンだった時の姿

それも私が欲しいと言ってたサイズの事に自然と頬は揺るむ

『 ありがとうございます!でも、いいんですか?ぬいぐるみに嫉妬するって 』

何故ぬいぐるみに嫉妬するか分からないけれど、其でも見上げて問えば彼は片手を腰に当て目線を外す
何処と無くクロが不器用ながらに照れた時と動作が似ていた

「 前の柴犬の横に置くならいいよ 」

『 もちろん、柴犬の傍に置きます!ありがとうございますっ 』

お兄ちゃんみたいな柴犬の横に、次は拓斗さんみたいなドーベルマンを置いて其を見ながらにやける自分の姿まで想像できた

紙袋を軽く握り締める私の横に拓斗さんは座ればポップコーンを口へと含む

「 晩御飯、何処で食べようか。一階のフードコートに美味しい寿司屋があるけどそこでいい? 」

『 はいっ!お寿司好きです 』

「 なら其処にしようか 」

二人して食べ終わったポップコーンをゴミ箱に捨てて、晩御飯を食べるためのフードコートへと行く

エスカレーターで一階まで降りて外に出ることなくフードコート端の店へと入る彼に着いていけば、其なりにいい服を着た人やお金に余裕がある老人ばかりで若いカップルはいなかった

まさかと思って値段を見れば回転寿司では一貫100円で食べれるのに此処では500円はする
高いのだとそれ以上の値段なのに彼は気にせず座れば、私は紙袋を足元に置く

「 はい、いらっしゃい。好きなの教えてな 」

「 ウニと中トロください。陽ちゃんは? 」

『 えっ、えっ、と.... 』

値段も分からないしメニューも分からないと目線を泳がして探せば、彼は茶の入った湯飲みを飲み笑った

「 ありそうなの言うといいよ、値段は気にしないで好きなだけ食べな 」

『 えっ....その、いただきます、サーモンとつぶ貝下さい 』

「 はいよ 」

お兄ちゃんなら好きなだけ食べても気にしないことは知ってるけど、相手は三回しか会ってない男性だ
値段気にせず、なんて思えるわけもなく恐る恐る注文していれは隣では値段気にせず注文しては食べていく拓斗さんの姿がある

「 此所のウニ美味しい、後二貫とタチウオくださいな 」

「 はいよ、タチウオそっちで作ってくれ 」

「 うっす! 」

目の前で握りられて其が目の前に置かれれば、サーモンを箸で掴みしょうゆへと付け口元へと運ぶ

『 いただきます....ん!おいひぃ! 』

「 でしょ?どんどん食べてね 」

『 はい....そう言えば、御仕事はなにしてるんですか? 』

頬が溶けそうな程に美味しくて、他のものを注文して食べながら問いかければ彼はウニ貫を食べてはごく普通に答えた

「 俺はカメラマンしてるよ。色々ものを撮るんだ、人物や動物とかね 」

『 えっ、サラリーマンだと思ってました 』

「 スーツ着てたからね。あれは写真を渡してた後だよ 」

拓斗さんが書いてた職業が一瞬なんなのか思い出さないけど、箸を置いてまでカメラを構えた姿はまさにそれで、何処か意外性のある仕事だけどふっと今日出逢った時に目に焼き付けると言った言葉は分かる気がする

『 だから、目に焼き付けるって言ったんですね 』

「 そう、本当はカメラで撮りたいぐらい可愛いかったよ 」

『 !!またまた.... 』

「 ホントだよ?陽ちゃんを被写体にしたいぐらい 」

冗談が上手いと思う、けれど嬉しくて照れるのを隠すように目線を外して寿司を口へと含んだ

「 俺は綺麗なものを撮るのが好きだからね....汚いものは撮りたくない 」

『 えっ? 』

「 んん、何でもないよ 」

意味深に呟いた言葉は彼のよく見る笑顔によって誤魔化されたけれど、きっと彼は汚いと思うものも撮るんだと何処か察した

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