132 / 193
番外編
32
しおりを挟む豪華客船を楽しむ、まさに言葉通りに楽しんでいた
甲板で行われる演奏を聞きながら、プールに入ると張り切る遊馬に乗せられるまま仕方なくその辺の従業員から買った海パンを履き風呂のように浸かってる俺に反して、遊馬は全力で遊ぶ為のプールを泳いでいた
御前は目立つな、って事を知らないのかと思うけれどなんとなくこう言う日も悪くないと笑ってしまう
プールに満足した遊馬と一旦部屋に戻り、シャワーを浴び彼は相変わらずチョッキ型の爆弾を身体に着けている
もう、離していてもきっと助けてやると思うのに....なんて甘いことは言えないね
風呂を終え、ビリヤードやダーツ、ゲームセンターで遊び、昼はレストランで食事をし夕方からはまた催しなどを見て楽しむ
こんな日も悪くないと今日で何度思った事か....
「 颯ともこんな楽しい潜入調査してみたかったな.... 」
彼とまともにパートナーを組むのは暗殺のみ、それ以外は長期の行動は俺と他の奴がすることが多く旅行ついでの任務なんてまずなかった
「 拓さん、ちょっといいっすか? 」
「 んー? 」
遊んでいた彼は戻ってきて、何処か真剣な表情を浮かべている事に持っていたワイングラスをウェイターに渡し話を聞く
その場から少し離れた場所まで来た彼はホールから通路へと出て無言のまま歩いていく
どうしたの?なんて聞く前に彼は俺を通路の隙間へと押し込み壁へと耳を当てる
「 ....少し離れた場所に早乙女が誰かと会話してます 」
「 えっ?聞こえるの? 」
「 はい.... 」
耳をすませる彼には聞こえるらしいが俺には全く聞こえないほど、どうやら案外遠くで離してるようで、急に遊馬は動く
「 移動しました 」
追跡するらしく仕方なく俺もまた着いていく
楽しい時間は終わりを告げるように、彼等と一定の距離を取ったままやって来たのは遊馬が推測したいた地下にある機械室
熱気にやられるかと思ったけれど案外、そんなことも無いぐらい一部が加工されてるのが分かる
逆を言えば湿度はなくて乾燥してるような....まるで火薬を湿らせないように丁寧と施された場所だ
「 ....クイーンは昨日から見ないがどうした? 」
「 寝てるんじゃ無いかしら。質のいい睡眠は御肌の味方よ 」
「 おぇ....マジでオネェ.... 」
話してるのはオネェとなって、きっと玉なんて無くしたと思うナルシスト気取りの早乙女と西欧系の紳士だ
あんな昔はナルシストだが、ごく普通の感じだった男が此処まで変わるもんなのかと眉を寄せていれば、彼等の言葉に決定的なことが分かる
「 まぁいい、依頼したものはあるんだろうな? 」
「 勿論よ 」
「 なら見せてくれ。楽しみで仕方ない 」
「 ふふっ、せっかちさんね.....これよ 」
「「 !! 」」
そう言って早乙女は懐から黒いダイヤ、ではなく拳銃を男へと向けた
何故取引先に向けるのか分からず傾げれば、男は動揺したように下がる
見たことない西欧系の紳士だが、何処かのマフィアにでも買われた程度か、拳銃を見た途端に脚を震わせてる事に慣れてないのだと察しれる
「 な、なんのつもりだ! 」
「 最初からこのつもりだ。裏切るのはそっちだったでしょ?此処に配置され1000人越える警官....私を捕まえるつもりね? 」
「 !!なんの、話だ 」
「 惚けないで。こっちは歩き方で分かるのよ 」
あぁ、違和感のあった事はこの事なんだと知る
屋外プールで騒いでいても他に使ってる人が少ないことや催しがあっても盛り上がり方がイマイチだったのも全てお堅い連中ばかりだったのかと納得する
此方へと目線を上げる遊馬に片手で指示を出せば、彼は拳銃を出しそのまま俺の元から離れて次の影へと移動する
「 よく私が分かったことを褒めて上げたい位だわ。いい変装だと....思ったのに.... 」
徐に服を脱ぎ捨てウィッグを外した早乙女に俺は驚いた
こいつは整形などしてなかった、完璧な変装をしてた岳だ
「 やっぱり御前がNo.103 暴食の豚だったのか!! 」
「「( ん?? )」」
「 へ?えっ、いや....えっ?? 」
待って警察さん!!
違う!!人が違う!!!
なんて事は言えず彼の言葉と共に階段を降りてきた一般人に紛れた警察官に只身を隠すしかなかった
ほら、私でしょ!なんて自慢した早乙女なんて居心地悪そうじゃないか
「 マフィアと手を組んで麻薬や火薬を密売してることは明白だ!捕まるんだな!! 」
「 ....なんの話か分からないけど、人違いって事が分からない!? 」
多勢に無勢とはこの事だと俺達が出る幕もなく、警察官によって呆気なく早乙女は捕まった
最後の最後まで自分達は暴食の豚では無いと言うが、一度決めたら曲げない彼等からすれば誰でもいいのだろ
少なからず、早乙女は自由を奪われ今回の収入は彼にない
けれど同時に、政府の犬である俺達の同族が次から次へと警察によって捕まってるのは今回の件で分かった
一体何故、俺達を捕まえるのか
寧ろ俺達に感謝して欲しいのに....
「( 颯へと忠告しておくかな。暴食の豚を警察が探してると.... )」
0
お気に入りに追加
88
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
新緑の少年
東城
BL
大雨の中、車で帰宅中の主人公は道に倒れている少年を発見する。
家に連れて帰り事情を聞くと、少年は母親を刺したと言う。
警察に連絡し同伴で県警に行くが、少年の身の上話に同情し主人公は少年を一時的に引き取ることに。
悪い子ではなく複雑な家庭環境で追い詰められての犯行だった。
日々の生活の中で交流を深める二人だが、ちょっとしたトラブルに見舞われてしまう。
少年と関わるうちに恋心のような慈愛のような不思議な感情に戸惑う主人公。
少年は主人公に対して、保護者のような気持ちを抱いていた。
ハッピーエンドの物語。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる