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番外編

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豪華客船を楽しむ、まさに言葉通りに楽しんでいた

甲板で行われる演奏を聞きながら、プールに入ると張り切る遊馬に乗せられるまま仕方なくその辺の従業員から買った海パンを履き風呂のように浸かってる俺に反して、遊馬は全力で遊ぶ為のプールを泳いでいた

御前は目立つな、って事を知らないのかと思うけれどなんとなくこう言う日も悪くないと笑ってしまう

プールに満足した遊馬と一旦部屋に戻り、シャワーを浴び彼は相変わらずチョッキ型の爆弾を身体に着けている

もう、離していてもきっと助けてやると思うのに....なんて甘いことは言えないね

風呂を終え、ビリヤードやダーツ、ゲームセンターで遊び、昼はレストランで食事をし夕方からはまた催しなどを見て楽しむ

こんな日も悪くないと今日で何度思った事か....

「 颯ともこんな楽しい潜入調査してみたかったな.... 」

彼とまともにパートナーを組むのは暗殺のみ、それ以外は長期の行動は俺と他の奴がすることが多く旅行ついでの任務なんてまずなかった

「 拓さん、ちょっといいっすか? 」

「 んー? 」

遊んでいた彼は戻ってきて、何処か真剣な表情を浮かべている事に持っていたワイングラスをウェイターに渡し話を聞く

その場から少し離れた場所まで来た彼はホールから通路へと出て無言のまま歩いていく

どうしたの?なんて聞く前に彼は俺を通路の隙間へと押し込み壁へと耳を当てる

「 ....少し離れた場所に早乙女が誰かと会話してます 」

「 えっ?聞こえるの? 」

「 はい.... 」

耳をすませる彼には聞こえるらしいが俺には全く聞こえないほど、どうやら案外遠くで離してるようで、急に遊馬は動く

「 移動しました 」

追跡するらしく仕方なく俺もまた着いていく

楽しい時間は終わりを告げるように、彼等と一定の距離を取ったままやって来たのは遊馬が推測したいた地下にある機械室

熱気にやられるかと思ったけれど案外、そんなことも無いぐらい一部が加工されてるのが分かる 

逆を言えば湿度はなくて乾燥してるような....まるで火薬を湿らせないように丁寧と施された場所だ

「 ....クイーンは昨日から見ないがどうした? 」

「 寝てるんじゃ無いかしら。質のいい睡眠は御肌の味方よ 」

「 おぇ....マジでオネェ.... 」

話してるのはオネェとなって、きっと玉なんて無くしたと思うナルシスト気取りの早乙女と西欧系の紳士だ

あんな昔はナルシストだが、ごく普通の感じだった男が此処まで変わるもんなのかと眉を寄せていれば、彼等の言葉に決定的なことが分かる

「 まぁいい、依頼したものはあるんだろうな? 」 

「 勿論よ 」

「 なら見せてくれ。楽しみで仕方ない 」

「 ふふっ、せっかちさんね.....これよ 」

「「 !! 」」

そう言って早乙女は懐から黒いダイヤ、ではなく拳銃を男へと向けた
何故取引先に向けるのか分からず傾げれば、男は動揺したように下がる

見たことない西欧系の紳士だが、何処かのマフィアにでも買われた程度か、拳銃を見た途端に脚を震わせてる事に慣れてないのだと察しれる 

「 な、なんのつもりだ! 」

「 最初からこのつもりだ。裏切るのはそっちだったでしょ?此処に配置され1000人越える警官....私を捕まえるつもりね? 」

「 !!なんの、話だ 」

「 惚けないで。こっちは歩き方で分かるのよ 」

あぁ、違和感のあった事はこの事なんだと知る
屋外プールで騒いでいても他に使ってる人が少ないことや催しがあっても盛り上がり方がイマイチだったのも全てお堅い連中ばかりだったのかと納得する

此方へと目線を上げる遊馬に片手で指示を出せば、彼は拳銃を出しそのまま俺の元から離れて次の影へと移動する

「 よく私が分かったことを褒めて上げたい位だわ。いい変装だと....思ったのに.... 」

徐に服を脱ぎ捨てウィッグを外した早乙女に俺は驚いた

こいつは整形などしてなかった、完璧な変装をしてた岳だ

「 やっぱり御前がNo.103 暴食の豚だったのか!! 」

「「( ん?? )」」

「 へ?えっ、いや....えっ?? 」

待って警察さん!!
違う!!人が違う!!!

なんて事は言えず彼の言葉と共に階段を降りてきた一般人に紛れた警察官に只身を隠すしかなかった

ほら、私でしょ!なんて自慢した早乙女なんて居心地悪そうじゃないか

「 マフィアと手を組んで麻薬や火薬を密売してることは明白だ!捕まるんだな!! 」

「 ....なんの話か分からないけど、人違いって事が分からない!? 」

多勢に無勢とはこの事だと俺達が出る幕もなく、警察官によって呆気なく早乙女は捕まった

最後の最後まで自分達は暴食の豚では無いと言うが、一度決めたら曲げない彼等からすれば誰でもいいのだろ

少なからず、早乙女は自由を奪われ今回の収入は彼にない

けれど同時に、政府の犬である俺達の同族が次から次へと警察によって捕まってるのは今回の件で分かった

一体何故、俺達を捕まえるのか

寧ろ俺達に感謝して欲しいのに....

「( 颯へと忠告しておくかな。暴食の豚を警察が探してると.... )」

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