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番外編

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取り敢えずチケットは本物だったようで案外すんなりと中へと入れた

豪華客船に御客として潜入するなんて久々だからそれだけでテンションが上がると楽しくなる

「 怪しい人を見付けて盗聴器何処かにつければいいのかな。カジノあったよね? 」

「 あったすっね!中央の階段降りた地下だった気がします。でも此を見る限りカジノが出来る時間は決まってるみたいですね 」

壁に貼られていた張り紙はここ5日間のスケジュールが時間後とに大体書かれていた

5日間の豪華客船での旅、その間に様々な国に寄るらしいのだけど途中で入ってくるだろう人を推測すると5日間はまともにいないといけないとなる

「 21時から23時....取り敢えず今日は情報収集しながら、一度目のカジノに行くかな 」

「 そうなるっすね 」

「 そう言えば聞いていいかな? 」

「 なんでしょ? 」

トランクを開けていた辺りから気になってた事を、此処に入ってから堂々ツッコンでしまった

自らの身体を見てから遊馬と見比べて眉を寄せる中折れハットと杖までは分かるのだけど、この口元についた髭と黒髪のウィッグまで必要かと思う

「 なんで俺、英国紳士風なの? 」

「 顔バレしてるので変装大事っす 」

「 ....絶対楽しんでるよね 」

遊馬の口元にも何処ぞの紳士かと思うような髭もついてるし、二人揃ってリボンのネクタイなんて頭が痛くなる
変装なんて作業着とか警官の服とかならあるけど、チョビヒゲまで必要かな

「 はいっ!なんせ、初めてなので 」

うきうきルンルン気分の遊馬に俺は歩いてくるウェイターの持ってるトレーから酒1つ取り一口飲む

「 ....まぁいいけど、取り敢えず君の実力見たいから一周回ってきて裏の著名人いたら教えて 」

「 了解 」

ビシッと胸を張った彼に素直なのか馬鹿なのかわからないと、思いながら辺りを見ていく

通り過ぎる人の表情、目線それすら見ていけば一周廻ってきた遊馬はひょこっと戻ってきた

「 拓さん!分かりませんでした 」

「 だろうね。取り敢えず、書くかな 」

「 えっ? 」

まだ裏の著名人全員を把握はしてないだろうね
それに、その人の代わりとして来てる新しい人なら誰も分からないと思いながら遊馬を連れて俺達の部屋である一等室へと向かった

その間にも通りすぎた人を見ては頭の中で整理する

「 有るだけ紙を頂戴 」

「 分かりました! 」

胸ポケットに入れていたボールペンを片手に、着替えの服が入ってる中から500枚単位に穴が空いてる紙を出してきた、彼に俺は颯が渡したのだろうと察する

「 颯さんからです。役に立つと....何にするんですか? 」

「 御客さんは全員で500人、従業員は400人ぐらいだよね 」 

「 はい、多分ですが.... 」

「 なら出逢った人はその半分だね....よし、此が俺の能力。集中するからちょっと黙っててね 」

一枚目の紙に入ってくる時に見た海軍の顔を一人ずつ見た角度と場所を紙に書き写し、大体の全体を書けたら次は一人ずつ紙を変えて書いていく

階段を上がり、すれ違う人やウェイターの姿もまた正確に顔を書きその横の隙間には目安だけど身長やらメモを記入する

紙を捲りながら次から次へと書く俺に、彼は小さく呟いた

「 すごい....瞬間記憶能力だ 」

そう、俺の持ってる能力は瞬間記憶能力
一瞬見た光景をそのまま写真で撮ったように絵として描けるために中々奴に立つと言われている

普段から使える能力なのだけど、余り見てると全部記憶して面倒だから記憶しようかな?と思った瞬間から書き始めるまでを記憶するようにしてる

「 よし、今出逢った人数は324人。その中で海軍24人に此所のスタッフ70人。描いてるなかで見掛けたある人物は居なかったよ 」

「 ....瞬間記憶能力者を初めてみました。ペラペラ漫画や写真みたいに正確っすね 」

書き終わりシャーペンの調子が悪いことに新しいのを取り、他の紙にさらさらと気になる人物の顔を見たまま描く

「 確かに、始めてみる人は凄いと言うかも知れないけど。人生で一人だけ否定した人がいたんだよ 」

「 ....それって、まさか 」

「 そう、小学生の時にね。絵を描く授業があった俺はそこで初めて全否定されたよ 」

俺の能力は使い方によれば犯罪者を見つけるのにいい
隠しカメラがあちこちにある時代になってから必要なのはカメラが持ち運べなかったりモニターを見れないとき
そんな時は俺の能力が役に立つのだけど、あの人だけは全否定した

ねぇ、颯....覚えてる?

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