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番外編
09
しおりを挟む学校に着いたところで外はポツポツと雨が降り始めた
今日は天気予報は曇りのうち晴れだと言ってあった気がするのに何故か、止む様子のない雨にクラスの子達は雨に濡れたらしく文句言いながら入ってきた
「 最悪、天気予報あてになんない! 」
「 マジそれ!絶対だれか天気変えたね 」
滴り落ちる髪の毛の水をタオルで拭くクラスメートの子達を見てお兄ちゃんより先に出て良かったと思う
早くから起きてご飯食べてから直ぐに学校へと向かった
アプリのすれ違いが楽しみになり、いつもより早く来たんだ
『( ....すれ違ってる....32人駅の周りはやっぱりやってる人いるんだ )』
朝だけでこの人数すれ違ってたら凄いと思う
それに私が女の子として登録してるからか、男性からはすれ違い関係無くプロフィール見て気に入ってくれた人からのいいかも、が送られてきていた
それを見ればこのアイコンの自撮りでも十分女の子らしく見えるのかと嬉しくなる
結局、私は可愛いと言われる方が似合ってるんだ
男性のプロフィールを見え会話が弾みそうな人とは積極的にメッセージ可能にしていれば、男子達の声に耳は傾く
「 知ってるか、昨日の夜に家族3人が無理心中してたらしい 」
「 生活厳しいと死ぬやつ多いよな 」
不意に聞こえてきた、殺人のニュースの話
一緒生活厳しいって言う言葉に時々聞く内容だと思う
それは、話してる男子達もまた同じ事を考えていたらしい
「 でもさ、この10年ぐらいでかなり無理心中とか自殺増えたらしいぜ。それも大半が借金持ってたり、破産したりな 」
「 警察は余り調べないんだろ?全国的にも多いらしいし....世の中、金だわ 」
人が死んだニュースはほぼ毎日のようにある
其が事故死だったり、自殺だったり様々な理由はあるがこの県以外にもかなり多く発生してる
なんとなく、お金がない人達が減っていくような事に有る言葉は思い付く
「 此じゃぁ、臭いものには蓋をしてるみたいなもんだよな。社会の外れものが死んでいく 」
「 誰か殺してたり? 」
「 それじゃ一人だと無理だろ。めっちゃ人数いるぜ 」
まるで私の心の中の言葉を言ったような男子に驚くが、ガタンっと音が聞こえて途端にクラスメートは静まり返った
「 誰が死んだとかどうでもいいだろ。医学部の奴等がそんな話してどうする。目の前で助けれるものを助けるだけだ....人の死を話題にすんな 」
和泉 海斗、彼の言葉でクラスメートは黙って其々に顔を背けた
ニュースのマスコミが死人を取り上げるように、私達も知らず知らず人が死んでる事を話題にしていた
まるで他人事、自分や身内が関わっていなければ其でいいんだと思った
雨の降る音は次第に強くなり
1時限目の授業は始まった
「 陽妃ちゃんって今日もお兄ちゃんが作ったお弁当? 」
『 あ、今日は私が作ったんだ 』
「 嘘ー!見せてみてせ! 」
「 陽妃ちゃんも作れるんだ! 」
昼休み、雨は徐々に弱さを見せ今ではぽつぽつと降ってる程度
これなら帰るときには晴れてるだろうかと考えながら弁当を開けていればやって来た女子
二人の内の一人は昨日色々言ってた子の一人だと思うけれど、否定もできずお弁当の蓋を開ける
『 お兄ちゃんより美味くないけどね.... 』
「 えー、全然上手じゃん! 」
「 めっちゃ肉率多いね!胸焼けしそう 」
「 寧ろ茶色1色 」
上手だと褒めてるようにも聞こえなくて、茶色1色だと言われた弁当の中身は確かにお兄ちゃんが作る華やかで綺麗な物とは比べ物にならない
『 あはは、お肉好きだからねぇ。あ、ちょっと用事思い出したから私は後で食べるよ。皆は食べてて? 』
「 おかず交換しないの? 」
「 そっか、残念。またね 」
蓋を閉めて簡単に包んでからお弁当と鞄を持ち逃げるように教室を出た
下手なのは自覚してた、けれど私が散々言われたならお兄ちゃんも今頃言われてるんじゃ無いかって思うと辛くなる
『 こんなの、作るから....! 』
廊下に設置されたゴミ箱に弁当を捨てようと振り上げるも、私には出来なかった
『 っ...... 』
お兄ちゃんと同じお弁当
クラスメートの些細な言動がこんなにも胸に刺さるなんて思わなかった
お兄ちゃんみたいにお弁当作れればいいのか
お兄ちゃんみたいに綺麗でかっこよければいいのか
なんで、私はこんなにも劣ってるのか....
『 私はお兄ちゃんの兄弟じゃないかも、知れない.... 』
優れた兄と出来損ないの自分
髪や目が似てるだけで血縁関係なんて全くないかもしれない
そうだ、朝に男子が言ってたみたいに私は世間の外れものだと思うと涙は溢れていた
『 っ...... 』
こんな、自分が一番大嫌いだ....
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