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しおりを挟む翌朝のニュースは昨日事はなにもなかった
そう、何事もないように世界はごく普通に時間を刻み始めたんだ
" 新元号が令和に決まりました "
俺達もまたごく普通に生活し始めたのだが、一つ違うのは彼等と共に生活してると言うこと
「 颯!!ほら、遅刻するよ!! 」
『 ふぁっ....ねみぃ 』
「 ちょっ、お兄ちゃん達お弁当忘れてる! 」
朝からバタバタ騒がしく、スーツ姿の兄は眠そうな颯さんのビジネス鞄を持ち階段を降りてくれば、陽妃さんに言われるままに兄は二人分の御弁当を持ち玄関へと向かった
「 あ、待ってまって! 」
「 ん? 」
「 颯.... 」
『 ん? 』
いつもと同じ光景、けれどそれが幸せだと思う
陽妃と共に玄関へと行けば、 二人が靴を履いたと同時に、揃って両手を広げれば彼等はお互いの目線を合わせてから抱き締めてくる
「 陽ちゃん、行ってくるね 」
「 ん、頑張って.... 」
『 海斗、行ってきます 』
「 はいっ、行ってらっしゃい 」
頬へと口付けられ目線を合わせればそのまま唇が重なる、撫でられる髪に嬉しくなり頬を緩めれば兄の手元から自分の分の弁当と鞄を持ち玄関を出ていった
「 あ、颯!ちょっと待ってよ 」
彼等は高校の教師、元々優れた大学に行ってた為に其々勉強し直してから教師の道へとなった
殺してしまった子供達を思い出し
自分達のように道を外れないよう正しくそして償いとして教師になったらしい
この地域では一番、治安が悪いとされてる高校だから俺達は心配なんだがな
「 よし、私達も行こうか! 」
「 そうだな、頑張るかな 」
俺はそのまま医者として進み、
陽妃は俺のいる整形の看護師になっていた
俺は若くして開業医になり新たな一歩を歩み始めたばかりだ
その為には頑張るしかないだろ
そう言えば、颯さんの父親である黒澤さんはなんやかんやでゲーム会社を続けてるらしい
二人の話からすれば、あんなくそじじぃを気に入った男の子がいるらしくそいつと共に暮らしてると言う
俺はなんとなく分かるんだな
何処か颯さんに似て、けれどポジティブな部分ならきっと笑って吹き飛ばすようなそんな子を知っている
「 黒澤、新しいゲームなんだけどさ 」
「 遊君さ、頭良すぎない!?俺ね、こんなにも企画書整理できません!! 」
「 あははっ、元秘書さんがなにいってんだよー。頑張れよー?嫁は応援してる 」
「 社畜な嫁だよね....はぁ~あ 」
なんやかんやで向こうも上手くやってるみたいだから俺はいいんじゃないかと思う
「 海斗先生!事故により怪我をした子供がいるそうです。此方で受け入れますか? 」
「 受け入れていいよ。陽妃君、応急措置の準備を 」
「 はいっ! 」
人は増加の一方、だがその反対に子供の数は減ってきた
黒澤さんが考えなくても産む人が減ったんだ
徐々にこの国は少子高齢化へと進んでいく
けれどふっとした瞬間にすれ違って巡りあった人と恋に落ちる
そんな、上手く出来た世界なんだ
「 颯せんせーには子供できないんですか? 」
『 子供は、もう少しで生まれんだよ 』
「「 ええぇぇえ!!!? 」」
政府が導入したのは同性婚を認め、そして互いに許可し認め合えば二人の遺伝子を持つ子供が生まれること
けれどそれはもう少し後の話であり
まずは、依頼から手を引いた俺達が実験体になると言うことで政府は二人の8桁の番号を取り消した
そう、もう少しで颯は出産する
『 それも俺が産む 』
「「 !!!? 」」
少子高齢化は避けられない、その分子供を産める母体を増やす事も政府が考えた事だった
近い未来俺達のような夫婦は沢山存在するだろうな
それはもう、目前となっていた
すれ違った相手と恋に落ちました 完結
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