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しおりを挟む何故、忘れたのか
それを考えれば遡るのはあの日の出来事
俺が両親の死体をみた日だ
「 おに、っ.... 」
聞こえてきた颯さんの声と共に後ろへと引っ張られた感覚と共に鼻と口を覆った布を思い出す
嗅いだ瞬間に吐き気を促され嘔吐した時には次の時には意識を無くし、なにも覚えてないまま病院のベッドに寝ていた
忘れてんだ....颯さんの事や両親の容姿も全て
けれど兄が傍にいたから気にすることも無かったし、そのまま退院してからごく普通に生活していた
陽妃は会話をしたことない他人のように
俺達は其々、別々に生きてきた
「 っ、気持ち....わるっ.... 」
うっすらと夢は消え、目を覚ました時に覚えのある吐き気に戻しそうになりながら、頭を押さえ、辺りへと目線をやる
「 車内?誰の.... 」
車の中なのは分かった
けれど、誰のか分からない
颯さんが使ってそうな車にも見えなくて、
気分の悪さと鉛のように重くなった身体を動かすことさえままならず、手探りに手を伸ばし
前の座席を見れば、見覚えのあるコートが椅子に置いてあった
「 これ、颯さんのだ.... 」
着ていたコートが何故ここに有るのか分からず、やっぱり颯さんの車だろうかと見るも
自棄にびっしり貼られたプライバシーガラスや後ろの座席には普通の車には乗ってなさそうな物とか置いてある
物置みたいなこの車は、下手したら人が寝たり起きたりも出来ると思うほど物が充実している
「 余り探りたくはないけど、いいよな.... 」
颯さんが何故俺を置いて何処かに行ったのなら、その理由はなんだろうかと興味本意で前の助席へと移動し、膝にコートを乗せ
廻りを見てからボックスを開く
「 このファイルはなんだろ.... 」
カラーのファイルがびっしりと入っていて
その中の一番上を取り出し、中の紙を見た
「 えっ、なにこれ.... 」
紙には俺ぐらいの年齢から3歳までの子供達迄の写真がついたプロフィールみたいな物がある
プロフィールの内容は生年月日、血液型、そして両親の名前、其まではいいが
その両親が生きてるか死んでるかを決めてるような、赤い線が入ってるのと入ってないのがある
中央から下にはその子供の特徴や性格など細かく書かれてるのを見れば、次の紙、そして次の紙を見てるとこの子供達に一つの共通点があることを知る
「 全員....ギフテッドなのか? 」
何歳で何を習得した、ギフテッドの可能性有り、そんな物を書かれてるなかで紙を捲っていれば手は止まる
「 そん、な...... 」
其処には自身である、俺の写真が写し出されたプロフィールがあった
俺だが、まだ幼い8歳の頃のでありけれど俺だと分かる
「 命名 和泉 海斗。親....なっ 」
なんで、両親は死んだはずなのに父親は生きてるように母のみ赤い線があった
そして、その父親の名前は....日本人でもなければ外国人でも無かった
8桁の数字で記入された名前はきっと普通の人ではないと分かる
「 俺が、あるなら....やっぱり! 」
紙を捲り続ければ陽妃の分と、八木 遊馬の分もあった
そして、陽妃の父親の名前も、遊馬の母親も8桁の数字だ
こんな事って有り得るのかと震えた俺は不意に聞こえてきた声に肩を揺らす
" 此方20176522。目標のターゲット確認。射殺する "
「 しゃ、射殺!? 」
人殺しを宣言するラジオ放送みたいなのに、何事かと音量を上げようとすれば下手に触ったのか変な黄色の光がついた
「 ふぁ!!? 」
この車には変なスイッチ有りすぎると驚く俺に追い討ちをかけるように声が聞こえてきた
" 颯が海君を好きなのは知ってたよ、でもなんで?海君なの? "
「( えっ、兄貴?死んだんじゃ.... )」
何故兄貴この声がするか分からない
だが、確かに兄でありそして返事をするように聞こえてきたのは颯さんの声だ
" 好きになるよう....仕組まれてたからさ "
「 えっ?仕組まれたって....本心じゃないの? 」
何処で話してるかは分からないが、其でも先程聞いた無線機のように兄が何処かにつけてる無線機が発動したのかと、思いながらその会話を聞いた
それは、俺にとって....いや、彼等にとっても驚くべきことだった
" 10499646!なんの話だ?其処にいるのは、10110103か?おい、話を聞いてるのか! "
" 二人でなんの話をしてるんだ?応答しろ! "
受信する音が変わりながら切羽詰まったように二人の名前を告げる、いや、その呼び方に名前なんてなかった
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