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しおりを挟む仕事終わりに黒澤君を連れた部下2人、
計4人で焼肉屋へと行くことになった
晩飯を先に食べていてくれ、と妹に伝えてからよくある会社の付き合いで晩飯を食うってやつだ
妹は先に食べて寝る、何て言ってたが正直帰りたくて堪らない俺はさっさと食って帰る気満々だったのだが
黒澤君が誘った焼肉屋は初めて行く為に楽しみで仕方ない
「 此所の、じゅうじゅう亭は肉屋が近いのでいい肉使ってるみたいですよ 」
「 あんまり来ない場所だけど、良さげとは聞いたことありますねー 」
「 そそ、値段もサラリーマンの財布には優しいっすから 」
『 ほう? 』
酒を飲むつもりでも此所まで3台の車で来れば、其なりに広さのある駐車場へと停めてから中へと入る
焼肉屋なのに自動ドアであり、ハイテクだわなんて思う俺は古びた焼肉屋より新しい感じのある店内に少し驚く
『 綺麗だ.... 』
俺達が普段立ち寄る焼肉屋や居酒屋は、小さな場所にこじんまりと佇む昔ながらの場所だが此所は外観含めて中も新しいと思う
焼肉屋っぽい脂ぎった感じがしないことに感心していれば、店員はやってくる
よく見る、腰につけるエプロンとバンダナをつけた学生のアルバイトっぽい可愛らしい女の子の店員だ
「 いらっしゃいませ。4名様ですね。喫煙と禁煙どちらになさいましょ? 」
『 吸わないから禁煙で 』
「 えっ、あ、はい.... 」
「 かしこまりました。禁煙席は此方ですよ 」
マジで吸わねぇの?なんて視線を向ける部下だが、俺の前で吸えば殺すぞ、って言う雰囲気で睨み黙らせてから禁煙席へと向かった
喫煙席とハッキリと仕切りとちょっとした壁があり境があることに、向こうの空気がこっちに来ないのはありがたい
それに各仕切りもあり、後ろや前の人と顔が見えることもなければ通路側には簾もあり個室の焼肉屋なんだと思う
なんか面白い場所だなと案内された中にはいり、靴を脱いでから掘り炬燵の席に座り
メニュー表を開く
「 ご注文お決まりになりましたら、そちらのパネルでご注文して下さい 」
『 パネル....わー、すげっ.... 』
「 一ノ瀬さん、滅茶苦茶遅れた人みたいな反応っすね 」
「 仕方ないですよ。颯さんはこういう店は初めてなんですから 」
普段では颯さんと呼ぶ黒澤君に俺は悪かったなとポツリと呟いてから、タブレットタイプのメニュー表を見てテーブルに置きタッチペンを持ち押していく
『 あー....もう数を決めて決定押すのか、ほぅ.... 』
メニュー選びそっちのけで面白いとページを捲って色々見てから早速、注文をする
普段なら黒澤君が注文するのだが、今タブレットを持ってるのは俺のために俺が聞く
『 なに食いたい?奢るぞ 』
「 塩カルビ3人前とタンを4人前で 」
『 どんだけ食うんだよ.... 』
「 そんなに量はないんですよ。ちょっと食べるぐらいが1人前なのでそのぐらいでも十分かと 」
『 ほぅ?なら黒澤君は? 』
へぇ、焼肉屋でも1人前の量って違うのかと思いながら2人の部下の注文を聞いて数を選択してから、黒澤君へと視線をやることなく問う
彼はテーブルに腕を置いたまま目線を落とす
「 取り敢えず水を4人分と、ご飯を4人分注文しましょう 」
『 ご飯な、ご飯欲しいよな....あったこれか、中でいいよな? 』
「「 はいっ! 」」
ご飯中を選び、水を4人分とビール4人分注文してから次に黒澤君が言うサラダも4人分、そして本題の肉を選び決定を押す
『 これでいいのか。店員を呼ばないっていいな。俺達の会社でもタブレット導入しようぜ 』
「 何処に使うんですか.... 」
『 例えば書類はメールで送るとか? 』
「 なんか、ファックス感覚っすね.... 」
『 .....ファックスの世代なんだよ!悪かったな! 』
タブレットを弄るのが楽しくてページを捲ったりして見ながら話をすれば、黒澤君は少し考える素振りを見せ告げる
「 でもいいかもしれませんね 」
「 えっ!ファックス方式!? 」
「 いや、ファックスじゃなくて。タブレットで連絡し会えば態々、各部署にいく必要も無いですし。正直滅茶苦茶面倒なんですよね、態々俺が出向くの 」
「『( ブラック秘書.... )』」
態々、と2回言った黒澤君が普段どれだけ歩き回ってるのか何となく察してしまえた
俺の為だと言えど、申し訳ないとタブレットを静かに元にある場所へと戻した
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