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しおりを挟む彼はやっぱりこういった遊びの方が素を出せる人なんだと思った
気取ったコートを羽織るより、楽しんでる最中に身体が暑くなって脱いだコートを椅子に置き腕捲りする様子は、高校生のよう
『( 何故、28歳と偽ったんだ? )』
彼の順番であるために、その高校生にしては運動部のように広い背中を眺め二杯目の酒を呑み考える
出会い系サイトで男性が登録するなら20歳と偽れば十分だろうに、其より高い28歳となるとするなら、明らかに無理がある
レストランすら行ったことがない様子で、ボウリング等を本気で楽しむ姿を見てると出会い系サイトに登録してるようにも見えない
『( 駄目だな。調べる癖は仕事病だ )』
妹にちょっかいをかけた男にしては、素直過ぎると思うが出会い系サイトに登録しヤり目的ならば此のぐらいの演技をしてても可笑しくは無いのか....
『( 男相手なんて仕事しかねぇからな.... )』
下がる気持ちを誤魔化すために酒を煽り飲み干してから、ピンを残して残念そうにするカイさんが戻って来るのと交代でボールを持つ
『( 陽妃は何処まで相手の事を知ってるのだろうか。寧ろこいつも陽妃の事を何処まで....いや、きっとなにも知らないな )』
話の内容は全て質問などもその場で考えて決めてるようなもので、事前に互いにメールでも会話してた、なんて前提の内容は何一つない
『( 少し揺すりをかけてみるかな )』
フォームを画き、ボールを投げれば転がっていくボールを見て両手を膝を当てじっと見ていれば、半分ほど倒して終わったことに息を吐く
『 んー、なんでだろ? 』
「 身体が左に寄って投げてるから、そのまま腕も右に向いて右に行くんだと思います。腕を真っ直ぐするイメージで.... 」
仕事の連中と来たときにはそれなりに点数が行く筈なのに今日は自棄にズレると思い、考えていれば背後からのアドバイスにぽんっと頷く
そうか、いつもなら....
" 社長!身体がずれてますよ!真っ直ぐ!真っ直ぐ!! "
なんて無駄に熱が入る黒澤君の応援があるから真っ直ぐになる意識が行くのだが、今日は考え事をしてるたまに身体の軸がぶれてるのだと分かった
『 なるほど、アドバイスありがとう! 』
「 いえ、でしゃばってすみません.... 」
『 君はもう少しでしゃばっても良いと思うよ。特に必要なアドバイスならね 』
「 そうですかね? 」
『 そうだよ、社会人になると意見交換なんて大事だからさ 』
しゅっと落ち込む様子にやっぱり俺を歳上だと分かってるなと思うんだが、社会人の先輩としてアドバイスをしてしまった俺はボールを掴んで投げようとすれば、彼は笑った
「 やっぱり、18歳じゃないんですね 」
『 !!あ....っ!ごめんね....? 』
酒を飲んでるからそうだと思われていたにろ、出逢った時は18歳が来ると言ってたのだから嘘になる
いや、もっと大きな嘘をついてるのだがまず初めの一つ目がバレたことにボールをガターに落ちた音を聞きながら謝れば、カイさんは立ち上がり自らのボールを持ち俺の隣へと立った
「 構いませんよ。出会い系サイトの年齢なんて殆どが偽りでしょうからね。俺も28歳じゃ無いですし 」
振りきったように笑った青年は、ボールを転がし重い音と共にピンを全て弾けば片手を出した
「 嘘つき同士、仲良くしませんか?なんて 」
『 ふはっ、なにそれ 』
自然とハイタッチをして笑った俺に、こういう奴も出会い系サイトにいるのかと思って笑ってしまった
年齢がバレればそれで良いのかと思うが、今は妹の変わりであり楽しんでしまおうと思った
「 俺が188点で、リクさん93点ですね 」
『 ....なっ!次はダーツで勝負しない!? 』
「 いいですよ、御供します 」
妹には悪いが、今は少しだけ仕事から解放されるように遊べる時間を楽しみたいと思う
そうやって勝負をして笑い合うのはいつ振りだろうか
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