ゾクッとくる？怖い話・短編集(オリジナル)

公園のベンチ

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ある日、私は仕事帰りにふらっと近所の公園に立ち寄った。日も暮れていて、公園は人気がなく静かだった。疲れていたので、少しベンチに座って休むことにした。空気が涼しく、静けさが心地よく感じられた。

ふと気づくと、隣のベンチに誰かが座っているのが見えた。年配の男性で、ぼんやりと前を見つめていた。特に気にすることもなく、私はそのままスマホをいじりながら少し時間を過ごした。

やがて、そろそろ帰ろうと思い立ち上がると、隣の男性が突然話しかけてきた。「今日は寒いね」と。私は驚いたが、「そうですね」と返した。それから彼はぽつぽつと話し始め、自分の家族や昔のことを語り出した。

少し不思議な雰囲気ではあったが、特に怖いとは感じず、ただの世間話だと思って聞いていた。しかし、だんだん話が奇妙になってきた。彼は、自分が「ここでずっと待っている」と言い出したのだ。「誰を待っているんですか？」と聞くと、彼は「君だよ」と答えた。

その瞬間、私は背筋が凍った。何も知らないはずの彼が、まるで私が来るのを知っていたかのように言うのだ。奇妙な感覚に陥り、私はその場から立ち去ることにした。

その夜、帰宅してから気になり、地元のニュースを調べてみた。すると、数年前、その公園で年配の男性が亡くなっていたという記事を見つけた。彼は家族に先立たれた後、孤独に耐えかねて、公園のベンチで命を絶ったのだという。

そして、写真を見た瞬間、私はその男性が今日話しかけてきた人と同じ顔であることに気づいた。

















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この話の怖さは、主人公が普通に会話していた人物がすでに亡くなっていたという事実に気づく瞬間です。日常の何気ない出来事が、実は異常な状況であったことに後から気づくことで、現実の感覚が一気に崩壊する恐怖を描いています。