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第一話
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紗良は鞄を抱え、薄暗い夕暮れの道を一人歩いていた。市街地とはいえ、この辺りは小学生が帰宅時間を迎えると途端に人通りが少なくなってしまう。
「遅くなっちゃったな……」
ぶるりと身体を震わせて、紗良は小さな声でそう呟く。
先生に頼まれものをしたのが日直である紗良一人だったため、友人達は先に帰ってしまった。誰か一人くらい残っていて貰えば、心細さは解消されたと思うのだけれど……。
そこまで考えてから、紗良はふと「自分はどうしてこんなに不安になっているのだろう」と考えた。
確かに、黄昏時の空は紫とオレンジが入り交じり、なんだか不思議な色合いを醸し出している。見ていると、吸い込まれそうな、そんな色だ。だが、だからといって本当に吸い込まれたりするわけはない。
太陽は沈む途中ではあるが姿がある。従って、薄暗くはあるが視界が悪いと言うこともない。
それなのに、なんだか——嫌な感じがする。思わず立ち止まった瞬間、くらりと立ちくらみのような感覚がした。あ、と小さな声が唇から零れ、地面がぐにゃりと歪む。
「きゃ……っ」
なんとか足を踏ん張って、紗良はぎゅっと目を閉じた。転倒することだけは回避し、おそるおそるまぶたを開く。そうして——紗良は呆然と、目を瞬かせた。
先ほどまでは、人通りは少ないとは言え、周囲に民家のある舗装された道路を歩いていたはずだ。だが今は、だだっぴろい広場のような場所で、土を踏みしめて立っている。
「え、ここ……どこ……?」
きょろきょろと辺りを見回してみるが、そこには誰もいない。暑い時期だというのに、にわかに背筋が寒くなって、紗良は震えながら一歩足を踏み出した。
(なにこれ……どうして……? さっきまで、家のすぐ近くを歩いていたのに……)
舗装されていない土の道は、歩くたびにざりざりと不快な音を立てる。それに不安を更に煽られて、紗良は目の奥がつんと痛くなってきた。涙が出そうだ。
だが、とにかく誰かを探して、そしてここがどこなのかを確認しないと——。
「おい、それ以上先には行くな」
背後から声をかけられたのは、そんな時だった。と、同時に腕をぐっと捕まれて、痛みに顔をしかめる。
文句を言おうと振り返って、紗良はあんぐりと口を開いた。
目の前に、とんでもない美形が立っていたからだ。
豊かな銀の髪は長く、腰の辺りまであるのを、首の後ろで一括りしている。紗良よりも頭一つ分高いすらりとした長身で、推定百八十前後はあるだろう。
美しい顔立ちに、神秘的な金色の瞳がよく似合っている。
突然現れた青年に戸惑いはしたものの、とにかくこんな場所で出会えた唯一の人間だ。しかも、外国人のような見た目をしているのに、日本語を話している。ということは、話が通じる!
ほっとした紗良は、だが先ほどの彼の言葉を思い出して小さく首をかしげた。
「なんで——」
「おまえ、このまま進んだら——捕まるぞ」
「……え?」
質問を遮られ、突然おかしなことを言い出されて、紗良は怪訝な顔をした。一体何を言い出したのだろう、この人は。
だが、そんな紗良の気持ちには彼は気付かなかったようだった。ぐっと少し乱雑な仕草で腕を引っ張ると、よろけた紗良を抱き留め、ふんわりと抱え上げてしまう。
「いくぞ」
「え、行くって、えっ……?」
抱え上げられて、青年との距離が近くなる。すると、先ほどまでは気付かなかったが、彼の頭の上にぴょこんと飛び出る一対の獣耳が視界に入った。それは、彼の髪と同じ銀色の毛で覆われていて、ピンと真上を向いて立っている。
(え……っ? い、犬? ……の、耳……? あれ、これ……どこかで……?)
見覚えがあるような、無いような。
混乱した紗良がぱちぱちと目を瞬かせてそれに見入っている間に、青年は勢いを付けるとそのまま上へと飛び上がった。人にはあり得ない跳躍力で、紫とオレンジの入り交じる空へとぐんぐん近づいていく。
あまり高い場所が得意ではない紗良は、あわてて彼にしっかりとしがみついた。得体の知れない相手ではあるものの、ここから落とされでもしたら大変だ。
だが、そんな紗良の様子に彼は一切頓着した様子はない。しっかりと彼女を抱えたまま、ちらりと下方を確認して——それから小さく舌打ちした。
「ち、来やがったか……」
「き、来たって何が……!?」
紗良が叫ぶと同時に、青年が肩を抱く腕に力を入れた。
「落ちたくなかったら、しっかり掴まっていろよ……!」
「え、は? ひゃ、やだ、離すな……!」
あろうことか、青年は片方の手を離すとてのひらを下に向けた。片方の支えを失って宙ぶらりんになった足を、紗良が大きくばたつかせる。スカートが翻り、それが気になって思わず下をのぞき込んだ紗良は、目を見開き「ヒッ」と小さな悲鳴を上げた。
地上から、無数の「紐」が、こちらを目がけて迫ってくるのが見えたからだ。現実にはあり得ない光景に身が竦む。と同時に、なんだか目の奥が熱くなってきた。
「くそ、紗良……目を閉じていろ」
耳元で聞こえた声に、紗良は何も考えずに従った。続けて彼が何事かぶつぶつと呪文のようなものを唱えているのが聞こえる。
(なんだろう、これ……なんか、覚えが……?)
一瞬考え事に気を取られた瞬間、しゅるりと足に何かが巻き付いた。いや、何かなど見なくてもわかる。先ほどの紐だ。
ぞっと怖気が走って、紗良は思わず悲鳴を上げた。
「い、いやあ……っ!」
「落ち着け、大丈夫だ」
再び青年が耳元で囁くのと同時に、風を切るような音がいくつも耳に飛び込んでくる。それと同時に、紗良の靴が紐に絡め取られ、脱げてしまった。あ、と思った紗良が思わず目を開いて下を見ると、バラバラにちぎれた紐に混じって自分の靴が落ちていくのが見える。
それを目で追って、紗良は息を呑んだ。
紐の先には、なにか黒い靄のようなものがある。それに紗良の靴が触れたかと思うと、あっという間にそれに飲み込まれ、消えてしまったのだ。
「な、なに、あれ……」
「落ち神だ」
「は? お、おち……?」
事もなげにそう答えた青年は、困惑に目を瞬かせる紗良を抱え直すと上を見上げた。その視線に釣られて、紗良も同じように上を見る。すると、なんだか薄い膜のようなものが存在するのが見て取れた。
「なに……?」
先ほどから疑問ばかりが口をつく。だが、なにもわからないへんてこりんな状況に身を置いていると、どうしてもそうなってしまう。
だが、先ほどとは違い、青年は紗良の言葉に少し驚いたようだった。
「……あれが視認できるのか」
「あの、薄い膜……みたいなやつよね?」
紗良が確認すると、青年は頷いた。そうして、ふんと小さく鼻を鳴らすと再び視線を上に向ける。
途端に、移動速度がぐんとあがる。風圧に「わぷ」と声をあげた瞬間、その薄い膜をぺりっと突き破るような感覚があった。
視線を向けると、自分たちが突き破った場所から、その薄い膜がひび割れ、ぼろぼろになって崩れていく。青年はそれを一顧だにせず、トンと軽く着地をきめた。
周囲を見回せば、そこは先ほどまで紗良が歩いていた道の上だ。そこにゆっくりと降ろされると、足の裏になじみ深いアスファルトの感触がする。そのことに、ほっと息が漏れた。
「遅くなっちゃったな……」
ぶるりと身体を震わせて、紗良は小さな声でそう呟く。
先生に頼まれものをしたのが日直である紗良一人だったため、友人達は先に帰ってしまった。誰か一人くらい残っていて貰えば、心細さは解消されたと思うのだけれど……。
そこまで考えてから、紗良はふと「自分はどうしてこんなに不安になっているのだろう」と考えた。
確かに、黄昏時の空は紫とオレンジが入り交じり、なんだか不思議な色合いを醸し出している。見ていると、吸い込まれそうな、そんな色だ。だが、だからといって本当に吸い込まれたりするわけはない。
太陽は沈む途中ではあるが姿がある。従って、薄暗くはあるが視界が悪いと言うこともない。
それなのに、なんだか——嫌な感じがする。思わず立ち止まった瞬間、くらりと立ちくらみのような感覚がした。あ、と小さな声が唇から零れ、地面がぐにゃりと歪む。
「きゃ……っ」
なんとか足を踏ん張って、紗良はぎゅっと目を閉じた。転倒することだけは回避し、おそるおそるまぶたを開く。そうして——紗良は呆然と、目を瞬かせた。
先ほどまでは、人通りは少ないとは言え、周囲に民家のある舗装された道路を歩いていたはずだ。だが今は、だだっぴろい広場のような場所で、土を踏みしめて立っている。
「え、ここ……どこ……?」
きょろきょろと辺りを見回してみるが、そこには誰もいない。暑い時期だというのに、にわかに背筋が寒くなって、紗良は震えながら一歩足を踏み出した。
(なにこれ……どうして……? さっきまで、家のすぐ近くを歩いていたのに……)
舗装されていない土の道は、歩くたびにざりざりと不快な音を立てる。それに不安を更に煽られて、紗良は目の奥がつんと痛くなってきた。涙が出そうだ。
だが、とにかく誰かを探して、そしてここがどこなのかを確認しないと——。
「おい、それ以上先には行くな」
背後から声をかけられたのは、そんな時だった。と、同時に腕をぐっと捕まれて、痛みに顔をしかめる。
文句を言おうと振り返って、紗良はあんぐりと口を開いた。
目の前に、とんでもない美形が立っていたからだ。
豊かな銀の髪は長く、腰の辺りまであるのを、首の後ろで一括りしている。紗良よりも頭一つ分高いすらりとした長身で、推定百八十前後はあるだろう。
美しい顔立ちに、神秘的な金色の瞳がよく似合っている。
突然現れた青年に戸惑いはしたものの、とにかくこんな場所で出会えた唯一の人間だ。しかも、外国人のような見た目をしているのに、日本語を話している。ということは、話が通じる!
ほっとした紗良は、だが先ほどの彼の言葉を思い出して小さく首をかしげた。
「なんで——」
「おまえ、このまま進んだら——捕まるぞ」
「……え?」
質問を遮られ、突然おかしなことを言い出されて、紗良は怪訝な顔をした。一体何を言い出したのだろう、この人は。
だが、そんな紗良の気持ちには彼は気付かなかったようだった。ぐっと少し乱雑な仕草で腕を引っ張ると、よろけた紗良を抱き留め、ふんわりと抱え上げてしまう。
「いくぞ」
「え、行くって、えっ……?」
抱え上げられて、青年との距離が近くなる。すると、先ほどまでは気付かなかったが、彼の頭の上にぴょこんと飛び出る一対の獣耳が視界に入った。それは、彼の髪と同じ銀色の毛で覆われていて、ピンと真上を向いて立っている。
(え……っ? い、犬? ……の、耳……? あれ、これ……どこかで……?)
見覚えがあるような、無いような。
混乱した紗良がぱちぱちと目を瞬かせてそれに見入っている間に、青年は勢いを付けるとそのまま上へと飛び上がった。人にはあり得ない跳躍力で、紫とオレンジの入り交じる空へとぐんぐん近づいていく。
あまり高い場所が得意ではない紗良は、あわてて彼にしっかりとしがみついた。得体の知れない相手ではあるものの、ここから落とされでもしたら大変だ。
だが、そんな紗良の様子に彼は一切頓着した様子はない。しっかりと彼女を抱えたまま、ちらりと下方を確認して——それから小さく舌打ちした。
「ち、来やがったか……」
「き、来たって何が……!?」
紗良が叫ぶと同時に、青年が肩を抱く腕に力を入れた。
「落ちたくなかったら、しっかり掴まっていろよ……!」
「え、は? ひゃ、やだ、離すな……!」
あろうことか、青年は片方の手を離すとてのひらを下に向けた。片方の支えを失って宙ぶらりんになった足を、紗良が大きくばたつかせる。スカートが翻り、それが気になって思わず下をのぞき込んだ紗良は、目を見開き「ヒッ」と小さな悲鳴を上げた。
地上から、無数の「紐」が、こちらを目がけて迫ってくるのが見えたからだ。現実にはあり得ない光景に身が竦む。と同時に、なんだか目の奥が熱くなってきた。
「くそ、紗良……目を閉じていろ」
耳元で聞こえた声に、紗良は何も考えずに従った。続けて彼が何事かぶつぶつと呪文のようなものを唱えているのが聞こえる。
(なんだろう、これ……なんか、覚えが……?)
一瞬考え事に気を取られた瞬間、しゅるりと足に何かが巻き付いた。いや、何かなど見なくてもわかる。先ほどの紐だ。
ぞっと怖気が走って、紗良は思わず悲鳴を上げた。
「い、いやあ……っ!」
「落ち着け、大丈夫だ」
再び青年が耳元で囁くのと同時に、風を切るような音がいくつも耳に飛び込んでくる。それと同時に、紗良の靴が紐に絡め取られ、脱げてしまった。あ、と思った紗良が思わず目を開いて下を見ると、バラバラにちぎれた紐に混じって自分の靴が落ちていくのが見える。
それを目で追って、紗良は息を呑んだ。
紐の先には、なにか黒い靄のようなものがある。それに紗良の靴が触れたかと思うと、あっという間にそれに飲み込まれ、消えてしまったのだ。
「な、なに、あれ……」
「落ち神だ」
「は? お、おち……?」
事もなげにそう答えた青年は、困惑に目を瞬かせる紗良を抱え直すと上を見上げた。その視線に釣られて、紗良も同じように上を見る。すると、なんだか薄い膜のようなものが存在するのが見て取れた。
「なに……?」
先ほどから疑問ばかりが口をつく。だが、なにもわからないへんてこりんな状況に身を置いていると、どうしてもそうなってしまう。
だが、先ほどとは違い、青年は紗良の言葉に少し驚いたようだった。
「……あれが視認できるのか」
「あの、薄い膜……みたいなやつよね?」
紗良が確認すると、青年は頷いた。そうして、ふんと小さく鼻を鳴らすと再び視線を上に向ける。
途端に、移動速度がぐんとあがる。風圧に「わぷ」と声をあげた瞬間、その薄い膜をぺりっと突き破るような感覚があった。
視線を向けると、自分たちが突き破った場所から、その薄い膜がひび割れ、ぼろぼろになって崩れていく。青年はそれを一顧だにせず、トンと軽く着地をきめた。
周囲を見回せば、そこは先ほどまで紗良が歩いていた道の上だ。そこにゆっくりと降ろされると、足の裏になじみ深いアスファルトの感触がする。そのことに、ほっと息が漏れた。
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