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第十四章

王家主催の園遊会4

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 リヴスリー伯爵夫妻と別れた後、幾人かの大貴族や貴族らとの挨拶を終え、お茶を飲みながら一息ついていると、恰幅の良い初老の男がニコニコしながら近寄ってきた。

 その後ろには中年の男女を引き連れている。

 エリージェ・ソードルは茶碗をテーブルに置き、立ち上がる。
 そして、訊ねた。
「コート伯爵、どうかなさいましたか?」
 コート伯爵家は五大伯爵貴族でこそないが、古くから名の知れた名家である。
 王都ソードル邸の近くに屋敷を構えていることもあり、何代にもわたり何かと交流のある家であった。
 エリージェ・ソードルも今代のコート伯爵とは幾度となく顔を合わせている。
 コート伯爵は温和そうな顔を更に優しくさせながら、問いに答える。
「エリージェ様、大変畏れ多いことなのですが、こちらの者達をご紹介してもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんが」
「ありがとうございます」とコート伯爵は優雅に一礼した。
 それと同時に、男女が膝を付き、首を垂れる。
 その突然の様子に、エリージェ・ソードルは片眉を少し上げたが、コート伯爵はそのままに男女を手で示しながら告げる。
「こちらにおりますのは、前コッホ伯爵であり、地形学の権威、コッホ卿でございます。
 そして、そのお隣におりますのが、その細君となります」
「コッホ卿……」
 エリージェ・ソードルは閉じた扇子を口元に当てながら、少し考える。
 そして、コッホ卿を見下ろしながら口を開く。
「コッホ卿、高名、聞き及んでおります。
 わたくし、ソードル公爵代行をしております、エリージェ・ソードルと申します。
 よろしくお願いしますわね」
「わたしのような者を御存じ頂き、身に余る光栄にございます。
 レロイ・コッホと申します。
 以後、よろしくお願いいたします」
 それに併せて、コッホ夫人も深々と頭を下げる。
 それを見届けたコート伯爵が、エリージェ・ソードルに言う。
「何やら、コッホ卿からお話があるとのこと、少し聞いて頂けませんでしょうか?」
「ええ、構いません」
 エリージェ・ソードルが頷くと、「ありがとうございます」とコート伯爵は頭を下げる。
 そして、「それでは、わたしは失礼させて貰います」と離れていった。
 エリージェ・ソードルはそれを見送ると、レロイ・コッホ卿に向き直った。
 コッホ夫妻は跪いたまま動かない。
 仮にも伯爵位を継いだ者である。
 いくら相手が大貴族ソードル家であっても、そこまでする必要はない。

 実際、周りにいる幾人かの貴族が、奇異の目を向けていた。

 だが、エリージェ・ソードルとしても、そこまでする当りは付いているので、そのままにさせた。

 レロイ・コッホ卿が口を開く。
「ソードル公爵代行様、謝罪する許可を頂けませんでしょうか?」
「許します」
「ソードル公爵代行様!
 この度は、愚かな娘が多大なるご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした!」
「……」

 娘とはクラウディア・コッホ伯爵夫人の事である。

 彼女は弟マヌエル・ソードルを精神的に追い詰め、エリージェ・ソードルに次期当主を目指すようにそそのかした。
 大貴族のお家騒動を企てたのだ。
 たかだか、伯爵夫人など斬首になってもおかしくない愚行である。
 エリージェ・ソードルは少し逡巡したのちに、
「コッホ卿、コッホ夫人、お立ちください。
 あれは、当方にも問題がありましたので、我が家としてはこれ以上、騒ぎを大きくするつもりはございません」
と答えた。
 そして、視線をチラリと別の方に向ける。

 父ルーベ・ソードルが令嬢なのかご夫人なのか知らないが、取り囲まれてご満悦になっている。

 エリージェ・ソードルは顔をしかめつつ視線を戻し、訊ねた。
「それで、コッホ伯爵夫人はいかがお過ごしですか?」
 エリージェ・ソードルに促されて立ち上がったレロイ・コッホ卿は、悲しげとも苦笑とも取れる表情で言う。
「あの子は現在、伯爵領の別邸に押し込められるように暮らしております」
「別邸に?
 どういうことですか?」
 レロイ・コッホ卿は静かに語り始めた。

――
 エリージェ・ソードルから逃げるようにコッホ伯爵領に戻ってきたクラウディア・コッホ伯爵夫人だったが、館に入ってすぐに違和感を感じた。

 他領に嫁いだはずの末の妹が、自分の夫の隣でまるで女主人のように振る舞っていたのだ。

 しかもである。
 自分が腹を痛めて産んだはずの子供達は、何故か妹のことを『お母様』と呼んで慕っている。
 クラウディア・コッホ伯爵夫人は混乱し、そして、激怒した。
『女主が不在の隙を狙い、乗っ取るような売女はコッホ家の人間に相応しくない!
 出て行きなさい!』
などと怒鳴り散らした。
 末の妹はそれを静かに聞いていたのだが、反論は意外な所から上がった。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人の子供達からである。

 特に、長女の怒気は激しかった。
 夫と死別した末の妹叔母は、自身も辛いはずなのに、母親身勝手な女のために女主が不在となった伯爵家のために働いてくれたこと。
 母親がいなくて泣いていた妹を、末の妹叔母があやしてくれたこと。
 そして何より、母親身勝手な女から届いた心無い手紙にどれほど傷つけられたかを――語った。
 最後は涙で顔をぐしゃぐしゃにさせながら、末の妹叔母に支えられながら、いつの間にか大きくなった長女は叫くように言った。
 流石のクラウディア・コッホ伯爵夫人も、その怒気と内容によろけるように後ずさった。
 そして、「あなた……」と縋るように夫に視線を向けた。

 幼い頃から共にいて、学院にも共に通い、そして、契りを交わした。

 ルーベ・ソードルに懸想していても、研究に熱中していても、困った顔をしながらもそばにいてくれた。

 最愛の人とは言えない。

 だけど、それでも、特別な人……。

 だが、そんな夫は寂しげに首を振った。
「クラウディア、地面にこぼれた牛乳を元に戻すすべを、わたしは知らない。
 仮に、それを知ったとして、するつもりもないんだ」
 余りの言葉に、クラウディア・コッホ伯爵夫人は膝から崩れ落ち、大粒の涙をこぼした。

――

「……まあ、三女あの子は三姉妹の中でもっとも機を見るにびんな娘でしたから」
 などと、レロイ・コッホ卿は少し遠い目をしながら、呟くように言った。
 エリージェ・ソードルは閉じた扇子を顎に当てながら、少し考える。
 そして、言った。
「コッホ卿、もし何でしたら、わたくしが紹介状を書きましょうか?」
「それは……よろしいのですか?」と驚愕するコッホ夫妻に女は続ける。
「あれほどの人物を、このまま腐らせるのは勿体ないでしょう。
 我が家では無理ですが、王家や他家で働く分には、我々が何かを言うつもりは有りません。
 先ほども言いましたが、こちらにも問題がありましたので、その才を発揮できる場所に移っていただければと思います」

 お家騒動を引き起こそうとした者である。

 怒り狂って殺そうとしてもおかしくは無かった。

 実際、この女とて、クラウディア・コッホ伯爵夫人の手の甲に万年筆を突き刺していた。
 それが当たり前の反応である。
 にもかかわらず、温情を与えようとしている。
 レロイ・コッホ卿の驚きも当然のことであった。
 だが、全てを加味しても、エリージェ・ソードルは勿体ないと思ったのだ。

 その理由は”前回”までさかのぼる。

――

 ”前回”の事だ。
 十四才のエリージェ・ソードルは少し手すきのことが増え始めたので、領運営の改革に着手しようとしていた。
 それは、評判の悪かった前家令クラウディア・コッホ伯爵夫人、そんな彼女がイジったと思われる箇所を直してやろう、そんな軽い気持ちだった。
 なので、組織図や決まり事が書かれた紙を並べて、不要なもの、付け足すものを書き込むように万年筆を手に取った。

 だが、朝に始めたにもかかわらず、夕焼けが辺りを赤く染めても、その筆先がそれらに下ろされることは無かった。

 改善の天才と呼ばれたこの女が、前段階で悪評をさんざん聞かされていた女が、内容を変えるどころか、文字の一文字も書き換えることが出来なかった。

 仮に不要と思う確認作業があったとする。

 だがそれは、次の作業、また次の作業に必要だったり、それをする事で作業者の意識付けとなり効率が上がる――そんなものだった。
 だから、女としても軽々にイジレなかったのである。
 念のために、家令マサジ・モリタに確認すると、普段、無愛想な顔に苦笑を浮かべながら答えた。
「お嬢様、あれは一種の芸術ですよ」
 だからこそ、家令マサジ・モリタほどの人物であっても、クラウディア・コッホ伯爵夫人を簡単には排除できなかったのだ。
 逆に言えば、それほど才能を高く買っていたにも関わらず、家令マサジ・モリタが何度も苦言を呈すのは、それを上回るほどクラウディア・コッホ伯爵夫人がを使うことが致命的に下手くそだったとも言える。

 使える――と思ったら、この女は早い。

 エリージェ・ソードルは直ぐにでも家庭教師を辞めさせ、別のことをさせようと動き始めた。
 クラウディア・コッホ伯爵夫人の致命的な欠点は、自分の能力や意識のそれに近い水準を部下に押しつける所にあった。
 それが出来て当たり前だと押しつける事に有ったと言っていい。
 だったら、下に誰も付けなければ良い、エリージェ・ソードルはそう思った。
 クラウディア・コッホ伯爵夫人が立案し、エリージェ・ソードルが指示する。
 クラウディア・コッホ伯爵夫人はひょっとすると、もっとやれる等、キャンキャン喚くかもしれないが――エリージェ・ソードルの方が立場が上であり、押さえつけることも、なだめることも可能だと思った。
 だから、準備を整えていたのだが……。

 弟マヌエル・ソードルが殴ってしまい、全てがご破算となり、女は頭を抱えることとなったのだ。

――

 レロイ・コッホ卿は自身の娘の才を評価していた。
 条件さえ合えば、国の重鎮になり得る人物だと思っていた。
 同時にその欠点も正しく理解していた。

 それを、目の前にいるエリージェ少女を見て再確認することに、心の中で苦く苦く苦笑した。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人はレロイ・コッホ卿の前でエリージェ・ソードルについてさんざん悪態をついていた。
『あんなみすぼらしいエリージェ式なんかでちやほやされていい気になっている!
 わたしの事を見下している!』
などと、喚き散らしていた。
 自分がやらかそうとしていたことを、棚に上げてだ。
 対するエリージェ・ソードルはどうだ。
 自身の家をめちゃくちゃにしようとしたにも関わらず、その才を評価し、活躍の場を与えようとしている。

 その差に目眩がしそうになった。

 クラウディア・コッホ伯爵夫人の才は宝石である。

 ただ、人としては宝石で出来た、器である。

 その知性は金貨万枚の価値があるだろう。
 だが、器としては本当に小さい。
 一口未満の水しか受け入れないのだ。

 対して、エリージェ・ソードルの才はひょっとすると木の板かもしれない。
 そんなごくありふれた物でしかないかもしれない。

 だが、柔軟に形を変えることが出来る。
 場合によっては巨大なタライに形を変えて、沢山のものを受け止めることが出来る。

(それを理解しない限りは、どこへ行っても同じだろうな……)
 レロイ・コッホ卿は心底思った。
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