楽しい転生

ぱにこ

文字の大きさ
上 下
3 / 122

2話

しおりを挟む
私の名前は『ルイーズ』と言うそうです。
 よちよち歩きが出来る様になりました。

 夜泣きと発熱の日、死んだ魚のような目をしていた私。
 両親は慌てふためき、メイドの様な格好のお姉さんも慌てふためき、家中が大変でした。
 しかし、絶望の淵に立たされながらも冷静な部分があり、行き交う人間模様を観察していました。
 その時にっ!!魔法がある世界だと知ったんですよ~♪(ムフフ)
 医者の様な爺さんが、何かを呟き、淡い光に包まれた私。
 熱のだるさが消え失せ、摩訶不思議な現象に瞳を輝かせ、テンションが上がってしまった私は……。
 碌に言葉も発せない癖に(なにそれっ♪魔法?どうやって使えるようになるの?)
 質問攻めををしてしまいました。
 キラキラの瞳で「うっきゃ♪きゃー?あうあうきゃ~?」と言ったのです。
 その様子を見た両親も、メイドのお姉さんも、手と手を取り合い感涙の涙を浮かべてました。
 私は反省しました。
 大切に想ってくれてる両親やメイドさんに感謝と謝罪を…………。
(お父さん、お母さん、お姉さん方、ごめんなさい。この世界の楽しい事を探して、元気に過ごします。)
「とっとぅ、はっはぁ、ね~、あい。うぶぅ~あい」

 すると…………。
 お父さんは「父様と言ったぞっ!」と感激して スリスリ……。
 お母さんも「母様って言ったわ♪」とハグ&スリスリ……。
 メイドのお姉さんも、ワナワナ震えて「お嬢様ぁ~」とすすり泣く。

 まさに、カオス!

 もみくちゃにされて、また熱を出さなかった私はえらいと思う。

 そんなこんなで健やかに成長し、歩行が出来る様になった私♪
 探検中です。
 もちろんメイドのお姉さんも一緒ですが。
 メイドのお姉さんは、二十歳前後で名前は『ジル』と言うそうで、私のお世話担当だそうです。
 よちよち歩きが出来る様になったとはいえ、転びやすいの私は手を繋いでもらってます。
 行きたい所を指で指示すると付いてきてくれます。
 家の中は、高級感のある家具に暖炉もあります。部屋数は……たくさん(行動範囲が狭い為、数えきれません)
 お庭に行くと、テレビやアニメでしか見たことのない東屋があったり、色とりどりのお花が咲いてて 楽園のようです。
 庭の端っこが見えないので、相当広いみたいです。
 かなりのお金持ちっぽいので商人?もしや貴族?
 推測してると、父様が帰ってきました。
 馬車で……。
 馬車には偉そうな紋章が施されています。

「きじょく(貴族)?」と言うと、ジルが「ええ、お嬢様は侯爵家の御息女でございますよ」と……ニッコリ。
 詳しく聞こうとしたら、父様がこちらにやってきて 抱っこされてしまいました。
「ルイーズ~ただいま~いい子にしてたかい?」父様は甘々です。
 やはり、異世界だろうと父親ってものは、娘には甘いみたいです。
「とぉさま~おきゃえりなさいでしゅ~きょうは、おにわとおへやをぼーけんしました」
「そうかそうか~」父様は、愛情過多です。スリスリがとまりません……。
「とぉさま、かめーをおしえてくだしゃい(父様、家名を教えてください)」
 気になった事を聞いてみます。
「かめ?」
「ちあいましゅ~かめー、おにゃまえでしゅ(違います。家名、お名前です)」
「家名かぁ~ルイーズはお利口だね~」スリスリ……。
 父様は、お話するだけで お利口という。
 親バカっぷりが酷く話が前にすすみません。
 ぷっくりと頬を膨らませて抗議します。
 父様に満面の笑みを浮かべ、頬を突きます。
「ルイーズはふくれた顔も可愛いね♪家の家名は、ハウンドだよ。」
(ルイーズ・ハウンドっ!!)
 前世でプレイしたゲームの一つに、全年齢対象・剣と魔法の恋愛RPG「戦巫女・悠久の時を超えて」に出てきた渋いイケメン宰相が「アベル・ハウンド」って名前だったはず……。
「とぉさまのおにゃまえは?」
「ん? アベル・ハウンドだよ♪」
(確定・・・)

 一家団欒の夕食の後。
 メイドのジルにお風呂に入れられ、寝かしつけられた様に見せかけて、ジルが退室するのを見届けた後、この世界の事を整理する。
 確か、邪神が穢れを振り撒いて、魔物が狂暴化して荒れたこの世界。
 あらゆる文献を元して、魔法省の人が異世界から巫女を召喚する。
 巫女も戦えないといけないと、剣も魔法も特訓しつつ、魔物退治にレベル上げ。
 剣や魔法は、攻略対象を選び、個人レッスンを申し込む。
 その時、会話パートの選択肢で好感度を上げ。
 絆が深まると専用の合体技も覚える。
 攻略対象は王子、王子の側近、まだ生まれてない弟、まだ出会ってないルイーズの幼馴染に邪神(後に人型になる)
 確か、弟が14歳で2歳離れた姉に意地悪されてたな……病弱な姉は我が儘な性格だったらしい。
 毎日、言葉の暴力を浴びせられ、暗い性格になってしまった弟を優しく労わり心を解きほぐし、最後は姉と対峙して、姉を修道院に送る。(悪かったと改心して残りの人生を祈りで捧げるだっけ)
 しかし、私は病弱なのか?
 今は健康だけれど、気を付けるために手洗いうがいを徹底して様子を見るか。

 王子は正義感が強くて王道、1週目で攻略するのにおすすめされてるだけあって、サクサク進む。
 側近は腹黒で魔法に長けてた。武門に秀でている家系に生まれながら、武術の才能がなく、反面魔法は得意なものだから 家族と溝があった。その溝を巫女が埋めてハッピーエンド。
 幼馴染は……自分の母親が病気で早くに亡くなったので、病弱なルイーズを気に掛けてくれる優しい子。
 普段から気を張って明るくしてるけど、気の抜けない状態が続き、息苦しさを感じはじめる。
 そこで巫女の優しさに触れて、涙を流しながら弱音を吐く……なかなか良い話だったな~(前世の私は涙腺弱かったもんな~)
 邪神は、周回した後で解放されるストーリーだったけれど、リアルだとどうなるんだろう??
 全パラメーターMAXで挑まないといけない鬼畜使用だったし。その為に、恋愛そっちのけで何周もして、ひたすらパラメーター上げの巫女帰還ノーマルエンド。
 でも……この帰還エンドが曲者で、異世界が穢れに穢れきって、もう人類は助からない。
 せめて、異世界の巫女だけでも助けようと元の世界に送還。(こっちの世界じゃあBADエンドじゃん)
 これは回避したい……。
 邪神ルート以外は軽く進むので、全年齢対象仕様のおかげだね。

 よし!
 これから病気になるかはわからないけど、予防できることは予防して、自分も強くなってこちらの世界のBADエンド回避するぞ!!
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

俺は美少女をやめたい!

マライヤ・ムー
ファンタジー
美少女になってしまった俺が男に戻る方法は、100人の女の子のくちびるを奪うこと!   けがれなき乙女の園、ささやく魔導書、うなるチェーンソー、そして咲き乱れる百合の花。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-

一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。 ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。 基本ゆったり進行で話が進みます。 四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...