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蒼白の顔

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 全くちぐはぐな絶頂の波に、春人は力なく声を洩らす。

 どれくらいの時間が経って何度射精したか覚えていない。激しい律動に絶頂を迎えたけれど、春人の昂ぶりはもうなにも吐き出しはしなかった。顎になにか滴り落ちている感覚がするが、汗か血なのか分からない。


「ぁ……っ、う、……イ、ってる、のッ……にッゃああ!」


 腸内は誰とも知らない男の雄をきゅうきゅう締め付けている。顔を見せてくれない。イき続けているのに、中のものは激しく出入りを繰り返して止めてくれない。快楽は通り過ぎ苦痛になるが、少しもやめてくれなかった。呼吸も合わない。鋭敏になった神経が粘膜が擦れる度に鋭い痛みになり、それを越えるとまたじわじわと快楽が押しては返す波のように春人を満たした。

 こんな下品で無意味なセックスをしたのは初めてだ。


「もっと、いいかおして……」


 一眼レフを抱えた海が、もう片方の春人の性器を扱き始める。


「っ、ア、あッ!」

「ほら、そのかお……きれい……こっちみて……」


 傷だらけの舌に指を突っ込まれた。赤い唾液が海の指まで糸を引く。溢れる唾液を呑みこもうとすると、精液の苦みが喉をつっかえて咳き込む。脳が震えて、意識が朦朧とした。下腹部を刺激する律動と相まって、視界がぐらついて天地が曖昧になる。


「うっ、ンッ、ぁう……ッ」


 シャッター音は止まらない。


「蒼白の顔……たまらない……」


 血まみれのシーツを掴んでいた真っ赤な手が解かれる。反射で近くにあるものを掴んだ。血の付いた果物ナイフだった。手のひらにまた一つ傷がつく。


「アぁあッ!」


 後ろで突いている男の律動がなおも激しくなる。春人はシーツに顔を埋めながら男が欲を吐きだすまで必死で快楽に耐えた。中が熱く、気持ちが悪い。

 顔も分からないいろんな男の精液で腸内が溢れ返っている。

 内側から蝕まれている気分だった。


「ふ、ぁ、ああ……!」


 射精の感覚に顔を歪める。後ろから吐息が聞こえて身の気がよだった。もしかして春人を犯しているのは人間じゃなくて獣かなにかなのかもしれない。そうだと言われても少しも嘘だと思えない。海はシャッターを切るのに夢中でまるで興味がなさそうだった。男の性器が引き抜かれた後には、白い液体が春人の内太腿を彩る。息を吐いて、やっと解放されたことに酷く安堵しながら、次はなにをされるんだろう、という怯えが体を侵していった。




 
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