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はるくんとの出会い
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私は、大学で歴史の研究をしている。
主に日中戦争、太平洋戦争の辺りだ。
子供の頃からこの時代の歴史に興味があり、
祖父母や近所のおじいさんやおばあさんに話を聞いたりする。
1996年7月6日。
今日は、広島県の原爆資料館に来ている。
小学校の修学旅行で1度行き、
それから何度か訪れている。
原爆資料館と言うと、この人形だろう。
広島出身の方々が声を揃えてこう言う。
『実際はこんな物じゃない』
『この人形は綺麗な方だ』
それはそうだよな…と、私も思う。
◇
資料館を出た私は、原爆の子の像を見ていた。
「ん?」
何だろう…。何度も見ている像なのに、
違和感が…
「うわぁ!!」
目を開けていられない程の強い風が吹いて、
私は尻もちをついた。
◇
「いてて…」
「大丈夫?」
目を開けると、小学校低学年ぐらいの男の子が私を見つめていた。
服装が、現代と違う様な…。
「びっくりしたわ。
お姉ちゃん、突然現れたんじゃもん。
どこから来たん?」
「え…。広島市だけど…」
「いや、ここも広島市じゃけど」
私は立ち上がり、周りを見渡した。
「!!」
原爆ドームが…!!
周りも全然違う!!
「ね、ねぇ、今って何年の何月何日!?」
「えっと、1945年の7月6日じゃけど…」
「え、それ…本当?」
「うそをついてどうするんじゃ?」
「そ、そうだよね…ごめん…。」
男の子が嘘をついている様には思えない。
「それより、おねーちゃん怪我しとらん?」
「え?…あぁ、してないよ。大丈夫。」
「うで、すりむいとるよ」
これぐらい大したことない!
と言ったけど、男の子に腕を引っ張られて、恐らくこの子の家であろう場所へ連れて行かれた。
「かーちゃーん!!けがなおせるものなーいー?」
「晴彦!!まーたやんちゃして!!」
「ちがうちがう!!おれじゃなくて、そこの姉ちゃん!!」
「え?」
はるひこくん…って言うんだ。
晴彦くんのお母さんは、私を見て固まった。
「こがぁな人、この村におったかのぉ?
服装とかも、ぶち綺麗じゃが。」
「あ、あの…!明らかに怪しいですよね!私!!失礼します!!」
「ちぃと待って。怪我の手当ばっかしでもして行きんさい。」
◇
「あ…ありがとうございます…」
随分丁寧に手当をしてくれた。
部屋をチラッと見渡すと、確かにカレンダーには“1945年”と書かれていた。
「あんた、どこから来たん?」
「あ…広島市です。出身は静岡なんですけど。」
「そう…。お名前は?」
「小篠凛(こしのりん)です。」
「てあて終わったー!?」
お母さんとお話していると、晴彦くんの声が聞こえた。
「終わったよ。晴彦、凛お姉ちゃんに遊んでもらいんさい。」
「りんちゃんって名前なん?」
「うん。」
「おれは晴彦!!“はる”ってよんで!」
はるくんは私の手を掴んで、勢い良く外に出た。
戦時中の広島市をよく見て回りたかった気もしたけど、
はるくんとそのお友達と遊ぶのは本当に楽しかった。
いつの時代も、子供は可愛い...。
◇
「凛さん、お家は遠いん?」
「遠い...と言うか、帰り方が分からない...と言うか...。」
この時代には。
「そう。じゃあ、帰り方が分かるまで家に泊まる?」
「え...でも...」
食料が不足しているのに、
お世話になるのは申し訳ない。
と、1度断りを入れましたが
「おれ、お姉ちゃんとまたあそびたい!!
とまっていきなよー!!」
はるくんにそう言われ、私は有難くこのお家にお世話になる事になった。
◇
はるくんが学校に行っている間、
私ははるくんのお母さんと一緒に家事をします。
「ふぅ...一つ一つが大変...」
家にある家電は、ボタンを押せば良い物が多いので、中々の重労働。
「凛ちゃん、ありがとうねぇ。」
「そんな!お世話になるんですから、これぐらい当然ですよ!!」
そろそろはるくんが帰ってくる時間だ。
「ただいま!!」
「おかえりなさい!!」
「りんちゃん、あそびに行こう!!」
はるくんに手を引かれ、一緒に遊びに行く。
そんな日々が続きました。
主に日中戦争、太平洋戦争の辺りだ。
子供の頃からこの時代の歴史に興味があり、
祖父母や近所のおじいさんやおばあさんに話を聞いたりする。
1996年7月6日。
今日は、広島県の原爆資料館に来ている。
小学校の修学旅行で1度行き、
それから何度か訪れている。
原爆資料館と言うと、この人形だろう。
広島出身の方々が声を揃えてこう言う。
『実際はこんな物じゃない』
『この人形は綺麗な方だ』
それはそうだよな…と、私も思う。
◇
資料館を出た私は、原爆の子の像を見ていた。
「ん?」
何だろう…。何度も見ている像なのに、
違和感が…
「うわぁ!!」
目を開けていられない程の強い風が吹いて、
私は尻もちをついた。
◇
「いてて…」
「大丈夫?」
目を開けると、小学校低学年ぐらいの男の子が私を見つめていた。
服装が、現代と違う様な…。
「びっくりしたわ。
お姉ちゃん、突然現れたんじゃもん。
どこから来たん?」
「え…。広島市だけど…」
「いや、ここも広島市じゃけど」
私は立ち上がり、周りを見渡した。
「!!」
原爆ドームが…!!
周りも全然違う!!
「ね、ねぇ、今って何年の何月何日!?」
「えっと、1945年の7月6日じゃけど…」
「え、それ…本当?」
「うそをついてどうするんじゃ?」
「そ、そうだよね…ごめん…。」
男の子が嘘をついている様には思えない。
「それより、おねーちゃん怪我しとらん?」
「え?…あぁ、してないよ。大丈夫。」
「うで、すりむいとるよ」
これぐらい大したことない!
と言ったけど、男の子に腕を引っ張られて、恐らくこの子の家であろう場所へ連れて行かれた。
「かーちゃーん!!けがなおせるものなーいー?」
「晴彦!!まーたやんちゃして!!」
「ちがうちがう!!おれじゃなくて、そこの姉ちゃん!!」
「え?」
はるひこくん…って言うんだ。
晴彦くんのお母さんは、私を見て固まった。
「こがぁな人、この村におったかのぉ?
服装とかも、ぶち綺麗じゃが。」
「あ、あの…!明らかに怪しいですよね!私!!失礼します!!」
「ちぃと待って。怪我の手当ばっかしでもして行きんさい。」
◇
「あ…ありがとうございます…」
随分丁寧に手当をしてくれた。
部屋をチラッと見渡すと、確かにカレンダーには“1945年”と書かれていた。
「あんた、どこから来たん?」
「あ…広島市です。出身は静岡なんですけど。」
「そう…。お名前は?」
「小篠凛(こしのりん)です。」
「てあて終わったー!?」
お母さんとお話していると、晴彦くんの声が聞こえた。
「終わったよ。晴彦、凛お姉ちゃんに遊んでもらいんさい。」
「りんちゃんって名前なん?」
「うん。」
「おれは晴彦!!“はる”ってよんで!」
はるくんは私の手を掴んで、勢い良く外に出た。
戦時中の広島市をよく見て回りたかった気もしたけど、
はるくんとそのお友達と遊ぶのは本当に楽しかった。
いつの時代も、子供は可愛い...。
◇
「凛さん、お家は遠いん?」
「遠い...と言うか、帰り方が分からない...と言うか...。」
この時代には。
「そう。じゃあ、帰り方が分かるまで家に泊まる?」
「え...でも...」
食料が不足しているのに、
お世話になるのは申し訳ない。
と、1度断りを入れましたが
「おれ、お姉ちゃんとまたあそびたい!!
とまっていきなよー!!」
はるくんにそう言われ、私は有難くこのお家にお世話になる事になった。
◇
はるくんが学校に行っている間、
私ははるくんのお母さんと一緒に家事をします。
「ふぅ...一つ一つが大変...」
家にある家電は、ボタンを押せば良い物が多いので、中々の重労働。
「凛ちゃん、ありがとうねぇ。」
「そんな!お世話になるんですから、これぐらい当然ですよ!!」
そろそろはるくんが帰ってくる時間だ。
「ただいま!!」
「おかえりなさい!!」
「りんちゃん、あそびに行こう!!」
はるくんに手を引かれ、一緒に遊びに行く。
そんな日々が続きました。
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