上 下
51 / 66
神風特攻隊

特攻隊による体当たり攻撃、開始

しおりを挟む
特攻隊による体当たり攻撃が、本格的に始まりました。
特攻作戦には、知覧基地を始め、
宮崎県の都城など九州の各地、
統治していた台湾など多くの基地から出撃していました。
その中でも、知覧基地が本土最南端で、
最も多くの隊員が出撃しました。

「高橋、田中。」
「「はっ!」」
「行ってくる。」

互いに敬礼をします。

「川本曹長、今までお世話になりました!」
「どうか後は我々にお任せ下さい。」
「あぁ。」

川本曹長は、知覧行きの船に乗りました。
高橋曹長と私は、川本曹長の姿が見えなくなるまで、ずっと敬礼を続けました。
 
その数日後、川本曹長が特攻して亡くなった事を高橋曹長から聞きました。



それから、次々と兵士が知覧へ送られる事になりました。
そして...とうとう私達の番が来ました。

「進さん...!!!嫌ぁ!!」

長谷川くんが、一足早く行く事になりました。

「高橋曹長!!私も特攻させて下さい!!」

松本さんは、泣きながら高橋曹長に訴えました。

「......」
「人数は1人でも多い方が良いですよね!?」
「しかし...」
「莉子。辞めるんや。」
「!!」

長谷川くんの一言で、松本さんは少し落ち着いたみたいです。

「ごめんなさい...。」
「いや。こちらこそすまん。
俺には人事をどうにかする力は無いんや。」
「ぅ...」

ポロポロと涙を流す松本さんを、
長谷川くんは優しく抱き締めました。



いつか、
『4人で帰省しよう。』
と約束をしました。
ですが、それは叶う事はありませんでした。

「んじゃ、先に帰省させてもらうわ。」

任務の都合上、どうしても4人揃うのは無理でした。
米田くんと長谷川くんが、先に帰省する事になりました。

「うん。紗和さん達によろしくね。」
「おう。」

「昴、頼みがある。」
「どうしたの?」
「俺が帰省していない間...莉子を頼んだ。」
「うん。」

松本さんも帰れたら良かったのですが...。
汽車に乗り込み、三宮へと向かう2人を
ずっと見詰めていました。
きっとこれが最期の帰省となるでしょう。

「(次は僕か...)」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生一九三六〜戦いたくない八人の若者たち〜

紫 和春
歴史・時代
二〇二〇年の現代から、一九三六年の世界に転生した八人の若者たち。彼らはスマートフォンでつながっている。 第二次世界大戦直前の緊張感が高まった世界で、彼ら彼女らはどのように歴史を改変していくのか。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

鬼が啼く刻

白鷺雨月
歴史・時代
時は終戦直後の日本。渡辺学中尉は戦犯として囚われていた。 彼を救うため、アン・モンゴメリーは占領軍からの依頼をうけろこととなる。 依頼とは不審死を遂げたアメリカ軍将校の不審死の理由を探ることであった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます! 平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。 『事実は小説よりも奇なり』 この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに…… 歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。 過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い 【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形 【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人 【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある 【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...