旅路ー元特攻隊員の願いと希望ー

ぽんた

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穏やかで、幸せな日々の為に

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甘く、幸せな時間はあっという間に過ぎて行きました。

「名残惜しいけど、明日も早いし…
そろそろ寝ようか。」
「うん。」

おかみさんが私用の布団を用意してくれましたが、紗和さんと抱き合って眠るので、
布団は必要無かったですね。

「今日は久し振りに良い夢が見れそう!」
「うん。僕も。」
「おやすみなさい。昴さん。」
「おやすみ。紗和さん。」

紗和さんはゆっくり目を閉じました。
しばらくすると、規則正しい寝息を立てました。
私も瞼が重くなって来ましたが、
しばらく彼女の寝顔を見ていようと思いました。

「(可愛いな…)」

戦争が激しくなって来て、
ゆっくり眠れる事が中々無いのでしょう。
私もこんなに穏やかな気持ちで眠れるのは、何年振りでしょう…。

今日は、戦争と言う現実を忘れる事が出来る程、幸せな時間を過ごす事が出来ました。

「(幸せだ…)」

私も目を閉じました。
…こんな日々を毎日過ごしたい。
その為に、私はまた明日から戦います。



朝になりました。

「おはよう!」
「ん…おはよ…」

紗和さんの声で目が覚めました。

「よく眠れた?」
「うん…」
「そっか、良かった!」

布団から起き上がり、寝巻きから普段着に着替えました。

「私、これからお母さんと朝食作ってくるね!」 
「……」

まだ半分程寝ぼけている私は、
紗和さんを後ろから抱き締めました。

「すっ、昴さん!?」
「……」
「……えいっ!」

紗和さんはくるっとこちらを向き、
私に口付けをしました。

「!!!!!」

一瞬にして目が覚めました。
これは起床時のラッパより効果があります。

「ふふ、目ぇ覚めた?」
「う、うん…!」



「昴くん、ごめんなさい…。」

朝食の時、おかみさんが私に謝罪しました。

「紗和には昴くんがいるって知りながら、私…。」
「おかみさん、僕こそすみません。
部屋の壁壊しちゃって。」
「そんな部屋の壁1つや2つ気にする事ないわ!!昴、もっと言ったれ!!」
「浩二くんの言う通りやわ…。」
「……おかみさん、何か事情があったんじゃないんですか?」
「昴くん…!」
「お前、ほんまにお人好し…
いやま、そこが昴のええ所なんやけど…。」

あの優しいおかみさんが、私と紗和さんの事を知りながら、お見合いの話を進めるとは思えなかったのです。

「実は…」
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