旅路ー元特攻隊員の願いと希望ー

ぽんた

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野戦病院

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拠点で待機していると、川本曹長の部隊が帰って来ました。
 1人、他の兵士に担がれて帰って来た兵士がいます。

 

「長谷川くん!!?」
「進!!」


そう。先程川本曹長が言っていた“負傷者”は
長谷川くんの事でした。


「田中、米田!悪いが、長谷川を野戦病院まで運ぶのを手伝ってくれ!」
「「はい!!」」


私と米田くんは、急いで担架を持って来て、
長谷川くんを野戦病院まで運びました。





通信で、川本曹長が言っていましたが、
長谷川くんは命に別状は無いとの事です。
銃弾が当たった場所が致命傷ではなかった事。
救命処置が素早く適切であった事。
これらのお陰で、長谷川くんは助かりました。


「長谷川くん…」
「頼む…!!」


眠っている長谷川くんの傍で、必死に祈ります。

「進さん…」

しばらくすると、そこに松本さんが来ました。

「進さん…!!」


長谷川くんの手を握り、目に涙を浮かべ、
彼の名前を呼びます。


「目を覚まして…!!進さん…!!」
「ん…」
「!!」

長谷川くんが目を覚ましました。


「ここは…」
「野戦病院だよ。」
「そうか…。俺、助かったんやな…。
昴、浩二…それと…」


長谷川くんは、松本さんの手を握り返しました。


「莉子…。ありがとうなぁ。」
「(昴)」
「(うん。)」





私と米田くんは、2人を残して
そっとこの場を離れました。


「川本曹長に、進が目を覚ました事を報告せんとね。」
「昴、大丈夫か?」
「ん??」
「いや、何か寂しそうな顔しとるから。」
「……」


どうやら、米田くんには嘘が付けないようです。


「…米田くんにはかなわんわ…」

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