7 / 66
学生時代
紗和さんの絵
しおりを挟む
1942年3月。
私達は無事に学校を卒業する事が出来ました。
来月から軍人となり、作戦があれば戦場に行きます。
「まぁ…皆立派になって…」
おかみさんにその事を告げると、
涙ぐんで喜んでくれました。
「これから、お国の為に立派に戦います。」
4人で敬礼をしました。
「もうすぐここを出て行くんやね…。
寂しくなるわぁ。」
「はい。おかみさん、どうかお元気で。」
「まぁ、まだ引越しまで時間あるけどなぁ。」
周りを見渡すと、紗和さんの姿が見当たりません。
「そう言えば紗和さんは?」
おかみさんに尋ねました。
「画材道具を持ってどっか行ったで。」
「紗和ちゃん、絵上手いからなぁ。」
「そうなんよ。東京にも絵の勉強をしに行ったんやけどね。
でもお国の方針で、工場になっちゃったんやけど。」
皆に「出掛ける」と伝え、
私は紗和さんを探しに行きました。
米田くんとおかみさんは何故かにやにやしていた気がしましたが…。
「紗和さんいないなぁ…」
10分程探した時、私はある事に気が付きました。
「もしかして…」
そう。紗和さんの秘密の場所。
もしかしたらあそこに紗和さんがいるのではと思い、秘密の場所へ向かいました。
「(いた!)」
おかみさんが言っていた通り、紗和さんは絵を描いていました。
紗和さんはとっても集中しているのか、
私が近くにいる事に気が付いていません。
「………」
流石、東京で絵の勉強をしに行った人。
本当に上手です。
今だから言える事ですが、戦争が無ければ、
彼女は世界に名を轟かせる画家になれたのではないか。
と思うのです。
「凄いなぁ…」
「うわぁあああ!!!??」
無意識に出た一言ですが、彼女を酷く驚かせてしまった様です。
「す、昴さん…!!」
「ごめん…。驚かせるつもりは無かったんやけど…。」
「うん…」
「絵、めっちゃ上手やね。」
「あ、ありがとう…!」
隣に座って絵をよく眺めてみると、
手を繋いだ男女がいました。
「この絵の人達って、紗和さんと…僕?」
紗和さんはこくりと頷きます。
「な、何か…随分男前やけど…!」
「昴さんかっこいいもん。」
何故でしょう。顔が熱くなるのを感じます。
「その…ありがとう…。」
「そう言えば、どうしてここに?」
「あぁ、紗和さんを探してたんや。」
「何か用事?」
「用事と言うか…報告したい事があって。
僕、無事に学校を卒業する事が出来たねん。」
「!!」
「来月から、お国の為に軍人として戦う。」
「…そう……」
私達は無事に学校を卒業する事が出来ました。
来月から軍人となり、作戦があれば戦場に行きます。
「まぁ…皆立派になって…」
おかみさんにその事を告げると、
涙ぐんで喜んでくれました。
「これから、お国の為に立派に戦います。」
4人で敬礼をしました。
「もうすぐここを出て行くんやね…。
寂しくなるわぁ。」
「はい。おかみさん、どうかお元気で。」
「まぁ、まだ引越しまで時間あるけどなぁ。」
周りを見渡すと、紗和さんの姿が見当たりません。
「そう言えば紗和さんは?」
おかみさんに尋ねました。
「画材道具を持ってどっか行ったで。」
「紗和ちゃん、絵上手いからなぁ。」
「そうなんよ。東京にも絵の勉強をしに行ったんやけどね。
でもお国の方針で、工場になっちゃったんやけど。」
皆に「出掛ける」と伝え、
私は紗和さんを探しに行きました。
米田くんとおかみさんは何故かにやにやしていた気がしましたが…。
「紗和さんいないなぁ…」
10分程探した時、私はある事に気が付きました。
「もしかして…」
そう。紗和さんの秘密の場所。
もしかしたらあそこに紗和さんがいるのではと思い、秘密の場所へ向かいました。
「(いた!)」
おかみさんが言っていた通り、紗和さんは絵を描いていました。
紗和さんはとっても集中しているのか、
私が近くにいる事に気が付いていません。
「………」
流石、東京で絵の勉強をしに行った人。
本当に上手です。
今だから言える事ですが、戦争が無ければ、
彼女は世界に名を轟かせる画家になれたのではないか。
と思うのです。
「凄いなぁ…」
「うわぁあああ!!!??」
無意識に出た一言ですが、彼女を酷く驚かせてしまった様です。
「す、昴さん…!!」
「ごめん…。驚かせるつもりは無かったんやけど…。」
「うん…」
「絵、めっちゃ上手やね。」
「あ、ありがとう…!」
隣に座って絵をよく眺めてみると、
手を繋いだ男女がいました。
「この絵の人達って、紗和さんと…僕?」
紗和さんはこくりと頷きます。
「な、何か…随分男前やけど…!」
「昴さんかっこいいもん。」
何故でしょう。顔が熱くなるのを感じます。
「その…ありがとう…。」
「そう言えば、どうしてここに?」
「あぁ、紗和さんを探してたんや。」
「何か用事?」
「用事と言うか…報告したい事があって。
僕、無事に学校を卒業する事が出来たねん。」
「!!」
「来月から、お国の為に軍人として戦う。」
「…そう……」
1
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
大航海時代 日本語版
藤瀬 慶久
歴史・時代
日本にも大航海時代があった―――
関ケ原合戦に勝利した徳川家康は、香木『伽羅』を求めて朱印船と呼ばれる交易船を東南アジア各地に派遣した
それはあたかも、香辛料を求めてアジア航路を開拓したヨーロッパ諸国の後を追うが如くであった
―――鎖国前夜の1631年
坂本龍馬に先駆けること200年以上前
東の果てから世界の海へと漕ぎ出した、角屋七郎兵衛栄吉の人生を描く海洋冒険ロマン
『小説家になろう』で掲載中の拙稿「近江の轍」のサイドストーリーシリーズです
※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』で掲載します
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
毛利隆元 ~総領の甚六~
秋山風介
歴史・時代
えー、名将・毛利元就の目下の悩みは、イマイチしまりのない長男・隆元クンでございました──。
父や弟へのコンプレックスにまみれた男が、いかにして自分の才覚を知り、毛利家の命運をかけた『厳島の戦い』を主導するに至ったのかを描く意欲作。
史実を捨てたり拾ったりしながら、なるべくポップに書いておりますので、歴史苦手だなーって方も読んでいただけると嬉しいです。
KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-
ジェド
歴史・時代
1894年、東洋の島国・琉球王国が沖縄県となった明治時代――
後の世で「空手」や「琉球古武術」と呼ばれることとなる武術は、琉球語で「ティー(手)」と呼ばれていた。
ティーの修業者たちにとって腕試しの場となるのは、自由組手形式の野試合「カキダミシ(掛け試し)」。
誇り高き武人たちは、時代に翻弄されながらも戦い続ける。
拳と思いが交錯する空手アクション歴史小説、ここに誕生!
・検索キーワード
空手道、琉球空手、沖縄空手、琉球古武道、剛柔流、上地流、小林流、少林寺流、少林流、松林流、和道流、松濤館流、糸東流、東恩流、劉衛流、極真会館、大山道場、芦原会館、正道会館、白蓮会館、国際FSA拳真館、大道塾空道
ソラノカケラ ⦅Shattered Skies⦆
みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始
台湾側は地の利を生かし善戦するも
人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね
たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される
背に腹を変えられなくなった台湾政府は
傭兵を雇うことを決定
世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった
これは、その中の1人
台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと
舞時景都と
台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと
佐世野榛名のコンビによる
台湾開放戦を描いた物語である
※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる