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学生時代

紗和さんの絵

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1942年3月。
私達は無事に学校を卒業する事が出来ました。
来月から軍人となり、作戦があれば戦場に行きます。

「まぁ…皆立派になって…」

おかみさんにその事を告げると、
涙ぐんで喜んでくれました。

「これから、お国の為に立派に戦います。」

4人で敬礼をしました。

「もうすぐここを出て行くんやね…。
寂しくなるわぁ。」
「はい。おかみさん、どうかお元気で。」 
「まぁ、まだ引越しまで時間あるけどなぁ。」

周りを見渡すと、紗和さんの姿が見当たりません。

「そう言えば紗和さんは?」

おかみさんに尋ねました。

「画材道具を持ってどっか行ったで。」
「紗和ちゃん、絵上手いからなぁ。」
「そうなんよ。東京にも絵の勉強をしに行ったんやけどね。
でもお国の方針で、工場になっちゃったんやけど。」

皆に「出掛ける」と伝え、
私は紗和さんを探しに行きました。
米田くんとおかみさんは何故かにやにやしていた気がしましたが…。

「紗和さんいないなぁ…」

10分程探した時、私はある事に気が付きました。

「もしかして…」

そう。紗和さんの秘密の場所。
もしかしたらあそこに紗和さんがいるのではと思い、秘密の場所へ向かいました。


「(いた!)」

おかみさんが言っていた通り、紗和さんは絵を描いていました。
紗和さんはとっても集中しているのか、
私が近くにいる事に気が付いていません。

「………」

流石、東京で絵の勉強をしに行った人。
本当に上手です。
今だから言える事ですが、戦争が無ければ、
彼女は世界に名を轟かせる画家になれたのではないか。
と思うのです。

「凄いなぁ…」
「うわぁあああ!!!??」

無意識に出た一言ですが、彼女を酷く驚かせてしまった様です。

「す、昴さん…!!」
「ごめん…。驚かせるつもりは無かったんやけど…。」
「うん…」
「絵、めっちゃ上手やね。」
「あ、ありがとう…!」

隣に座って絵をよく眺めてみると、
手を繋いだ男女がいました。

「この絵の人達って、紗和さんと…僕?」

紗和さんはこくりと頷きます。

「な、何か…随分男前やけど…!」
「昴さんかっこいいもん。」

何故でしょう。顔が熱くなるのを感じます。

「その…ありがとう…。」

「そう言えば、どうしてここに?」
「あぁ、紗和さんを探してたんや。」
「何か用事?」
「用事と言うか…報告したい事があって。
僕、無事に学校を卒業する事が出来たねん。」
「!!」
「来月から、お国の為に軍人として戦う。」
「…そう……」
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