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20話

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「じゃあ、早速ヤろっか」
 
「……ムードもなにもないですね」
 
 笹浪先輩は、「欲しかった? ムード」と聞いてきた。別にそういうわけじゃないけど、正直癪だ。「モテるならそこらへんも上手くやってください」と、俺は伝えた。とは言っても、俺の空腹の方も結構来ている。俺に言われて「それもそうだね」と言って、俺の頬を撫でた先輩に、俺は「やっぱいいです」とその手を拒んだ。
 
「……お腹の方が、結構限界で。早く、その、」
 
 なんかこれ、何をどう言うのも恥ずかしいな……ふと笹浪先輩の方を見ると、楽しそうに笑っていて、俺はなぜか負けた気持ちになる。俺はそんな気持ちを振り切ろうと、勢いよくベッドに座った。
 

 
 俺はベッドの上で制服を脱いだ。なんか、今までは自分の色香のせいで、頭が働かなくなってる中での行為だったからそこまで恥ずかしくはなかったけど、今はまだそれなりに自分の理性が働いているし、淫紋もまだ出ていないはずだ。かなり、恥ずかしい。
 
「結構、匂い濃くなってるね。サキュバスの能力かなにか?」
 
「サ、サキュバスの色香って言って、男の人を誘惑する、みたいな」
 
「へぇ……インキュバスにもあるよ。俺が相手の目を見て、声を聞かせるとね、その人は俺の言いなりになっちゃうんだ」
 
 先輩の目を見て、声を聞く……まるで、今みたいだな。俺は、体が何かに包まれたみたいな感覚があった。先輩の目の奥が怪しく光っている。何だか、ふわふわして頭の中がぼーっとしてきた。
 
「ね、どこが気持ちいいのか、ちゃんと教えてね」
 
「え、あ」
 
 先輩は指にローションを絡め、俺の中に優しく入れた。反射的に抵抗しそうになるが、体が上手く動かなくて、結局先輩に凭れ掛かってしまう。俺の中で探るように動く指が感じるとこを掠るたびに声が出て、俺は恥ずかしくて先輩の服を握りしめた。
 
「サキュバスって、男の子でも中濡れるんだね。不思議だな」
 
「っ、ん♡♡ そこっ、せんぱっ♡ んぁっ♡♡ あっ♡♡」
 
「ここ? 前立腺って言うんだよ。たくさん弄ってあげるね」
 
 先輩は指の本数を2本に増やした。くちゅくちゅと混ぜながら、2本の指が別々に動く。さっきとは違った感覚に、俺はまた気持ちよくなっちゃって、先輩は前立腺と読んだ部分を、指で叩いたり軽く抓ったりした。
 
「あっ、やだぁ♡♡ きもちいいっ♡♡ んっ、あっ♡」
 
「気持ちいいのに嫌なの?」
 
 俺はこくこくと頷いた。俺は気持ちよくなりたいわけじゃない。先輩から体液が欲しいだけだ。そうは思っても、体の方は勝手に気持ちいいことを期待して、お腹の奥がきゅんと疼いてしまう。違う、今回は食事のためだ、気持ち良くなるためじゃないと自分に言い聞かせた。
 
「まあ、結構解れたし大丈夫かな」
 
 先輩は指を引き抜いた。俺はドキドキして、ふうとため息を吐く。何か考えようとすると、さっきまで先輩に弄られていたところを意識してしまって、無理やり別のことを考えようとした。先輩はそんな俺に、ベッドに寝転ぶよう促した。いかにも余裕がありますという先輩の表情にむかついた気持ちになる。絶対、いつか仕返しして吠え面かかせてやる。この行為は、一応同意の元成り立っていることも忘れ、俺はそう考えながらベッドに体を沈ませた。
 
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