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2話

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「何なんだよ、何なんだよお前!」
 
 馬乗りになって、俺は上松くんを見た。彼は混乱してるみたいだった。見開かれた目は薄らと茶色だ。きっとスポーツをしているんだろう、体はがっしりとしていて男らしくてかっこいいのに、その茶色の目が可愛くて舐めたくなった。でも、そんなことはしちゃダメだから、俺は代わりに彼の太もも近く、下からズボンを押し上げているそれを撫でた。
 
「っ、はあ? なんで、こんな」
 
 自分が勃起していることに気づいた上松くんは、顔を真っ赤にした。そうだよね、恥ずかしいよね。俺のお腹がぐうぐうと鳴る。俺は口内に溜まった涎をごくんと飲み込んだ。
 
「うえまつくんって、変態さんなんだね♡」
 
「ちがっ、くそっ!」
 
 サキュバスである俺のせいでこんな風になっているのに、上松くんは違い違うと騒いだ。かっこいい上松くんの、情けない姿に俺はお腹の奥がきゅんきゅんとなる。俺はさっき撫でたところを、今度はつんつんと突っついた。
 
「ねえ、そんなに騒いだら人が来ちゃうよ♡ うえまつくんが、変態だってバレちゃうよ♡」
 
 上松くんは眉を寄せて、ぐっと黙った。俺は今まで経験したことのない高揚感に包まれた。上松くんは、かっこよくて、可愛くて、扱いやすい。そんな彼に分かるよう、俺は自分の腰の位置を動かした。上松くんの固くなったそれと、俺のものがすりすりと擦れる。上松くんが目を見開いて、その光景を見ていた。
 
「バレちゃう前にさ、個室行こうよ♡」
 
 
 

 
「うえまつくんっ、いたっ」
 
「うるさいちょっと黙ってろ!」
 
 俺たちは個室になだれ込んだ。ばたんと音をたてて個室の扉が閉まる。そんな大きな音、誰かが来ちゃうかもと思ったけど、これからする行為もバレるかと思うと、胸がどきどきしてそれも良いかも入れないと思った。
 
「うえっ、んっ♡ ……っ、ん♡♡ ふっ、んっ♡♡」
 
 上松くんは俺を扉に押さえつけ、無理やり唇を重ねた。扉がガタガタと音をたてた。息ができなくて苦しいはずなのに、上松くんの必死さが伝わって、胸の奥が幸福感でいっぱいになる。ようやく唇が離れたとき、上松くんの唇はどちらのものか分からない涎で濡れていて、彼は俺に見せつけるかのようにそれを舌で舐めとった。
 
「……はぁ、くっそ、なんなんだこの匂い……」
 
 小さな空間に入れられ、ようやく俺もサキュバスの色香というものが分かった。でもなんと説明すればいいか分からない。バニラやキャラメルみたいな甘ったるい香りかと思ったら、まるでシャンプーみたいないい匂いがして、今度はスパイシーで嗅いだことのない芳香がする。個室の中は2人の熱気と香りで、頭がくらくらした。でも、今この瞬間自分がしてほしいこと、そのためにすべきことは分かっている。俺は、息を整えている上松くんの耳元で囁いた。
 
「ね、はやくこれ挿れて♡」
 
 落ち着くなんてダメだよ、理性と脳みそぐちゃぐちゃにしてセックスしようよ。俺は片手でするりと撫でた。上松くんが目をかっと開いたのが分かった。
 
「おまえっ!」
 
 上松くんは俺の肩を掴んで、さっきみたいに扉にどんと押し付けた。上松くんは怒っていた。その顔を見れば分かる。けれども、俺への情欲も隠しきれていなかった。
 
「触り合って、キスして、それだけで満足できるわけないじゃん♡ ほら、上松くんのここもさっきよりおっきくなってる♡」
 
 俺はしゃがんで、わざと顔を近づかせ、服の上からそれを撫でた。もうちょっとで上松くんのぐらぐらと揺れている理性を、ぐちゃぐちゃにすることができる。すっごくいやらしくて、下品だとは理解してたけど、そんなこと俺にはもう関係なかった。俺は固くて熱いそれに、服の上からキスをした。
 
「いっぱいきもちよくなろうよ、うえまつくん♡」
 
 上松くんが喉ぼとけを上下させ、唾をごくりと飲み込んだことが分かった。
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