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番外編
家康と弥太郎Ⅰ
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家康は突然激しい水流に巻き込まれた。
もがき苦しみ必死の思いで微かに目を凝らすと辺り一面赤く染まっていた。
(血!?)
その向こうに人影らしきものが薄っすらと見えた。
(信長様!)
必死にその人影に手を伸ばすがその人影はどんどんと遠くなる。
次の瞬間!さっきまであんなに快適だったのが嘘のように息苦しくなった。
我を忘れてどことも分からずにもがき続けると、僅かに土の感触を掴み地上に出た。
突然の出来事に家康は呆然とした。
(あ、あれは信長様だったのだろうか?いったいどうなっているんだ!)
しかし、一息つく暇もなく後ろから怒鳴り声が響く。
「あいつまだ生きちゅう!」
その声に驚き振り向くと武士とおぼしき数人がこちらに向かってやってくるのが見えた。
家康は咄嗟に身の危険を感じ、地上に這い上がると急いで逃げたが奴らはしつこく追いかけて来る。
家康はあっという間にその男たちに取り囲まれた。
「奴やないのう。」
「おんしは誰や!なんであの池におった!奴を見たがか?」
「わ、私は何も見てません!あ、あそこで魚を探してただけです。う、上に出たらあなたたちがいたんですよ!」
「じゃあなんで逃げたが?」
「そ、それは・・追いかけて来たから何となく・・」
家康は思いつきで答えた。
「おい!そこで何しちゅう!」
今度は大声で叫びながら町役人らしき数名がこちらに向かって走って来た。
「ちっ!」
兄貴分らしい男が軽く舌打ちをすると子分が役人に話し始めた。
「こん男が蕨池に誰かを落としたちゅう、捕まえたがよ。」
役人はチラリと家康を見た。
「よそもんか?分かった。こん男は番所に連れて行くき、すまんやったのう。」
「ええぜよ。」
男たちは家康を町役人に引き渡し渋々去って行った。
(助かった~)
「おんし大丈夫か?」
役人が心配そうに家康に声を掛ける。
「はい。大丈夫です。しかし…私は誰も池になんて落としてませんので…誰かが落ちたというならやったのは奴らですよ。信じて下さい。」
「分かっちゅう。奴らは勤皇党じゃき。どうせまた奴らの殺し合いさ。わしらは関わっちゃいかんぜよ。おんしは暫く番所におったらえい。ほとぼりが冷めれば奴らも諦めるき。」
「はい。」
(勤皇党ってなんだ?血を流していた人影が信長様で無いのは良かったが…ここはいったいどんな場所なのか…)
ほとぼりが冷めるまでとは言っても番所の牢屋の中。そこで家康は暫く過ごす事になった。
連れて来られた牢屋には先客がひとりいた。
「おっ!新入りか?わしゃ弥太郎。岩崎弥太郎じゃき。よろしゅう。」
「私はとくがわ・・」
「とくがわ!?」
「いや、徳川家家臣の出身で、ま、松木…も、元信と申す・・」
「徳川の家臣?よそもんか~」
「いや、徳川の家臣といっても大昔の話しだ。今はただの下人だから…ちょっと見栄を張っただけだ。」
(今はどんなご時世なのか見当もつかないから余計な事は言えないな・・この男に探りを入れてみるか。)
初対面でもへらへらと臆する事なく話すこの男に家康は色々訪ねてみる事にした。
「なあ、弥太郎さん。日の本の今の年号を教えてくれるかい?」
「年号?安政2年じゃが・・」
「いや、その、世界基準というのかな?数字4つのとか知らないかな?」
「世界基準?なんじゃそれ?そんなもん無いがぜよ。」
(と、いう事は信長様より前の時代に出てしまったという事か?)
「しかし、日の本っておんしはどんな田舎から出て来よったが?いまどき「ひのもと」なんていうやつはおらんぜよ。」
「そうか…まあ~弥太郎さんに言っても分からないような田舎から来たもんでね!悪いが色々教えてくれるか?」
「ええがよ。何でも聞いちょくれ。」
「ちなみにさっき役人が土佐って言ってたけど、正確にはここはどこなんだ?」
「どこって!そこからか?おまん頭やられちゅうがか?」
「確かに!そうかもしれない。あの勤皇党ってやつらに殴られてからおかしくなったかもしれんな。」
家康は意味無くそう言ってほほ笑んだ。
「そうか…災難やったのう。まぁええがや。そうここは土佐藩。山之内容堂様のお膝元じゃき、覚えといちょうせ。」
(やっぱり!土佐藩!言葉が違うからおかしいと思ったが…また随分と遠くに出てしまったものだ。)
「ところで、弥太郎さんはどうして牢屋に入る事になったんだい?」
「いや~そいがな、わしゃ江戸で勉学に励んどったが、せんだってオヤジが大喧嘩をして投獄されてしまったっちゅうんで、戻ってきちゅうがオヤジの冤罪を奉行所に訴えても聞き入れて貰えんがち、奉行所の壁に嘆願書を書いたがよ。またそれがいかんとわしまで捕まってしもっちゅう。まっことこの国はどうにもならんぜよ。今は国中が荒れとるき下手な事言ったらいつ殺されるかも分からんぜよ。」
「国が荒れてる?」
「ああ…おんしには気の毒じゃが、300年続いた徳川の時代はもう終わるとわしは見ちゅう。仕方ないことじゃきこれから先は商人の時代になるとわしは思うちょる。だからおんしも武士などやめて商人を目指した方がええがよ。なんならここを出たらわしと一緒に来るがか?」
(徳川の時代が終わる時か…その時また新たな戦乱の世になると信長様は言っていた。まさかその時代に自分が出るなんて思いもしなかった。なんの因果か・・これもまた運命って事か・・)
「弥太郎さんはおいくつになられる?」
「わしゃ22歳だ。」
「お若いのですね。私はもう43歳になります。」
「へ~!松木殿は若く見えるがや。43歳には見えん!」
「そうですか。ありがとう。私の事は元信で良いですよ。」
「いやいや、そうはいかん。が~じゃあ「もとさん」はどうぜよ?わしんこつは「やたろう」でええがき。」
「いいですね。分かりました。」
弥太郎は今の日の本の話しや土佐藩の話し、そして商売の事など細かく家康に話して聞かせた。
20歳以上は年が離れているふたりだったが家康と弥太郎はなぜだかとても馬が合った。
もがき苦しみ必死の思いで微かに目を凝らすと辺り一面赤く染まっていた。
(血!?)
その向こうに人影らしきものが薄っすらと見えた。
(信長様!)
必死にその人影に手を伸ばすがその人影はどんどんと遠くなる。
次の瞬間!さっきまであんなに快適だったのが嘘のように息苦しくなった。
我を忘れてどことも分からずにもがき続けると、僅かに土の感触を掴み地上に出た。
突然の出来事に家康は呆然とした。
(あ、あれは信長様だったのだろうか?いったいどうなっているんだ!)
しかし、一息つく暇もなく後ろから怒鳴り声が響く。
「あいつまだ生きちゅう!」
その声に驚き振り向くと武士とおぼしき数人がこちらに向かってやってくるのが見えた。
家康は咄嗟に身の危険を感じ、地上に這い上がると急いで逃げたが奴らはしつこく追いかけて来る。
家康はあっという間にその男たちに取り囲まれた。
「奴やないのう。」
「おんしは誰や!なんであの池におった!奴を見たがか?」
「わ、私は何も見てません!あ、あそこで魚を探してただけです。う、上に出たらあなたたちがいたんですよ!」
「じゃあなんで逃げたが?」
「そ、それは・・追いかけて来たから何となく・・」
家康は思いつきで答えた。
「おい!そこで何しちゅう!」
今度は大声で叫びながら町役人らしき数名がこちらに向かって走って来た。
「ちっ!」
兄貴分らしい男が軽く舌打ちをすると子分が役人に話し始めた。
「こん男が蕨池に誰かを落としたちゅう、捕まえたがよ。」
役人はチラリと家康を見た。
「よそもんか?分かった。こん男は番所に連れて行くき、すまんやったのう。」
「ええぜよ。」
男たちは家康を町役人に引き渡し渋々去って行った。
(助かった~)
「おんし大丈夫か?」
役人が心配そうに家康に声を掛ける。
「はい。大丈夫です。しかし…私は誰も池になんて落としてませんので…誰かが落ちたというならやったのは奴らですよ。信じて下さい。」
「分かっちゅう。奴らは勤皇党じゃき。どうせまた奴らの殺し合いさ。わしらは関わっちゃいかんぜよ。おんしは暫く番所におったらえい。ほとぼりが冷めれば奴らも諦めるき。」
「はい。」
(勤皇党ってなんだ?血を流していた人影が信長様で無いのは良かったが…ここはいったいどんな場所なのか…)
ほとぼりが冷めるまでとは言っても番所の牢屋の中。そこで家康は暫く過ごす事になった。
連れて来られた牢屋には先客がひとりいた。
「おっ!新入りか?わしゃ弥太郎。岩崎弥太郎じゃき。よろしゅう。」
「私はとくがわ・・」
「とくがわ!?」
「いや、徳川家家臣の出身で、ま、松木…も、元信と申す・・」
「徳川の家臣?よそもんか~」
「いや、徳川の家臣といっても大昔の話しだ。今はただの下人だから…ちょっと見栄を張っただけだ。」
(今はどんなご時世なのか見当もつかないから余計な事は言えないな・・この男に探りを入れてみるか。)
初対面でもへらへらと臆する事なく話すこの男に家康は色々訪ねてみる事にした。
「なあ、弥太郎さん。日の本の今の年号を教えてくれるかい?」
「年号?安政2年じゃが・・」
「いや、その、世界基準というのかな?数字4つのとか知らないかな?」
「世界基準?なんじゃそれ?そんなもん無いがぜよ。」
(と、いう事は信長様より前の時代に出てしまったという事か?)
「しかし、日の本っておんしはどんな田舎から出て来よったが?いまどき「ひのもと」なんていうやつはおらんぜよ。」
「そうか…まあ~弥太郎さんに言っても分からないような田舎から来たもんでね!悪いが色々教えてくれるか?」
「ええがよ。何でも聞いちょくれ。」
「ちなみにさっき役人が土佐って言ってたけど、正確にはここはどこなんだ?」
「どこって!そこからか?おまん頭やられちゅうがか?」
「確かに!そうかもしれない。あの勤皇党ってやつらに殴られてからおかしくなったかもしれんな。」
家康は意味無くそう言ってほほ笑んだ。
「そうか…災難やったのう。まぁええがや。そうここは土佐藩。山之内容堂様のお膝元じゃき、覚えといちょうせ。」
(やっぱり!土佐藩!言葉が違うからおかしいと思ったが…また随分と遠くに出てしまったものだ。)
「ところで、弥太郎さんはどうして牢屋に入る事になったんだい?」
「いや~そいがな、わしゃ江戸で勉学に励んどったが、せんだってオヤジが大喧嘩をして投獄されてしまったっちゅうんで、戻ってきちゅうがオヤジの冤罪を奉行所に訴えても聞き入れて貰えんがち、奉行所の壁に嘆願書を書いたがよ。またそれがいかんとわしまで捕まってしもっちゅう。まっことこの国はどうにもならんぜよ。今は国中が荒れとるき下手な事言ったらいつ殺されるかも分からんぜよ。」
「国が荒れてる?」
「ああ…おんしには気の毒じゃが、300年続いた徳川の時代はもう終わるとわしは見ちゅう。仕方ないことじゃきこれから先は商人の時代になるとわしは思うちょる。だからおんしも武士などやめて商人を目指した方がええがよ。なんならここを出たらわしと一緒に来るがか?」
(徳川の時代が終わる時か…その時また新たな戦乱の世になると信長様は言っていた。まさかその時代に自分が出るなんて思いもしなかった。なんの因果か・・これもまた運命って事か・・)
「弥太郎さんはおいくつになられる?」
「わしゃ22歳だ。」
「お若いのですね。私はもう43歳になります。」
「へ~!松木殿は若く見えるがや。43歳には見えん!」
「そうですか。ありがとう。私の事は元信で良いですよ。」
「いやいや、そうはいかん。が~じゃあ「もとさん」はどうぜよ?わしんこつは「やたろう」でええがき。」
「いいですね。分かりました。」
弥太郎は今の日の本の話しや土佐藩の話し、そして商売の事など細かく家康に話して聞かせた。
20歳以上は年が離れているふたりだったが家康と弥太郎はなぜだかとても馬が合った。
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