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第一章
懐柔
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部屋に入って来た信長を見て濃姫はまだ困惑ぎみだったが、事の顛末を察し安心した顔をのぞかせた。
そんな濃姫をみて信長も正直、安心した。
そしてこの計画の新たな一歩を踏み出す事になるだろうと考えていた。
「濃姫、今まですまなかった。吉乃のお陰でやっとそなたの本心を理解する事が出来た。これからはそなたとお静がもっと幸せになれるようにと考えている。今後はそなた達の為に私は全力を尽くすと約束しよう。そこでなんだが・・濃姫にぜひ私達の計画に協力して貰いたいと思っているんだ。」
「協力ですか?」
濃姫は不思議そうな顔をして信長を見つめた。
「そう。それは私達だけじゃなく民の為。そしてこの先の全ての人の為にね。それには先ず、私が経験した事を話さなければいけない。そしてこの吉乃の事もね。」
信長はそう言って歌奈を見つめた。
そして十三歳の夏の出来事・・万松寺の池に落ちたところから語り始めた。
始めは不思議そうに話しを聞いていた濃姫も、その顔は見る見るうちに青ざめ、信じられないとういう表情に変わっていった。
「お館様!にわかにはその・・信じられません!」
「そうだな・・当然の事だと思う。私だって未だに信じられないと言ってもおかしくはないのだから。でも本当の事なんだ。その証拠に今まで何故私がここまで生き長らえて来たか?私が学んだ未来の歴史の知恵があったからこそなんだよ。そうでなければ早くに父を亡くしたこの信長はとうの昔に討死していたと思うがな。」
そう言って笑って見せた。
「どうする?濃姫。私達と共にこの乱世を戦ってくれるというなら二人の生き方を尊重しよう。そしてそなた達を決して裏切りはしない。しかし、出来ないというのであれば私も少しばかり考えなくてはいけない・・」
濃姫は鋭い眼差しで信長を見つめた。
「ある意味・・選択肢はないという事ですね。」
「もちろん脅すつもりではない。だが事はかなり重大でね。なので私達は命がけで取り組んでいる。そしてもちろん極秘だ。だが、私達は本心から濃姫の力を借りたいと思っているんだよ。」
暫く険しい面持ちだった濃姫は、決心したようにその表情に笑みを浮かべ信長に向き合った。
「分かりました。そもそも私たち二人はいつでも死を覚悟で生きて来ました。この先なにがあろうともその気持ちは変わりません。で、あればお館様に加勢し残りの人生を堂々とお静と生きていけるのであればなんの悔いもありません。覚悟は決めました。その未来とやらの話しをもっとお聞かせください。」
晴れ晴れとした濃姫の態度を見て、信長は勢いよく言い放った。
「承知した!では、次はこやつの話しを聞いてくれ。秀吉入れ!」
隣の部屋越しに聞き耳を立てていた秀吉はすぐさま襖をあけて中に入り濃姫に挨拶をした。
「羽柴秀吉でございます!」
「濃姫、先ほどの私の話しに出て来た秀一とはこの秀吉の事なんだ。こやつと私そしてこの時代では吉乃として生きている歌奈の三人の仲間に、そなたとお静が加わってもらう事になる。」
濃姫は目を見開いた。
そんな濃姫をみて信長も正直、安心した。
そしてこの計画の新たな一歩を踏み出す事になるだろうと考えていた。
「濃姫、今まですまなかった。吉乃のお陰でやっとそなたの本心を理解する事が出来た。これからはそなたとお静がもっと幸せになれるようにと考えている。今後はそなた達の為に私は全力を尽くすと約束しよう。そこでなんだが・・濃姫にぜひ私達の計画に協力して貰いたいと思っているんだ。」
「協力ですか?」
濃姫は不思議そうな顔をして信長を見つめた。
「そう。それは私達だけじゃなく民の為。そしてこの先の全ての人の為にね。それには先ず、私が経験した事を話さなければいけない。そしてこの吉乃の事もね。」
信長はそう言って歌奈を見つめた。
そして十三歳の夏の出来事・・万松寺の池に落ちたところから語り始めた。
始めは不思議そうに話しを聞いていた濃姫も、その顔は見る見るうちに青ざめ、信じられないとういう表情に変わっていった。
「お館様!にわかにはその・・信じられません!」
「そうだな・・当然の事だと思う。私だって未だに信じられないと言ってもおかしくはないのだから。でも本当の事なんだ。その証拠に今まで何故私がここまで生き長らえて来たか?私が学んだ未来の歴史の知恵があったからこそなんだよ。そうでなければ早くに父を亡くしたこの信長はとうの昔に討死していたと思うがな。」
そう言って笑って見せた。
「どうする?濃姫。私達と共にこの乱世を戦ってくれるというなら二人の生き方を尊重しよう。そしてそなた達を決して裏切りはしない。しかし、出来ないというのであれば私も少しばかり考えなくてはいけない・・」
濃姫は鋭い眼差しで信長を見つめた。
「ある意味・・選択肢はないという事ですね。」
「もちろん脅すつもりではない。だが事はかなり重大でね。なので私達は命がけで取り組んでいる。そしてもちろん極秘だ。だが、私達は本心から濃姫の力を借りたいと思っているんだよ。」
暫く険しい面持ちだった濃姫は、決心したようにその表情に笑みを浮かべ信長に向き合った。
「分かりました。そもそも私たち二人はいつでも死を覚悟で生きて来ました。この先なにがあろうともその気持ちは変わりません。で、あればお館様に加勢し残りの人生を堂々とお静と生きていけるのであればなんの悔いもありません。覚悟は決めました。その未来とやらの話しをもっとお聞かせください。」
晴れ晴れとした濃姫の態度を見て、信長は勢いよく言い放った。
「承知した!では、次はこやつの話しを聞いてくれ。秀吉入れ!」
隣の部屋越しに聞き耳を立てていた秀吉はすぐさま襖をあけて中に入り濃姫に挨拶をした。
「羽柴秀吉でございます!」
「濃姫、先ほどの私の話しに出て来た秀一とはこの秀吉の事なんだ。こやつと私そしてこの時代では吉乃として生きている歌奈の三人の仲間に、そなたとお静が加わってもらう事になる。」
濃姫は目を見開いた。
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