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「有紀~待ってたのよ!」

ガチャリと玄関の扉を開け
待ち侘びていたと言わんばかりに
声を上げる菜摘

「ごめんごめん、でも今日は意外と早く来れたでしょ?」

大人になった有紀は
綺麗に一本にまとまった髪
少しだけしてある化粧
清楚な感じ…

ああ
本当に看護婦さんだなって
思った

「有紀!お久しぶり!」

明日香は
菜摘の陰からひょっこり顔をだし
声をかけた

「明日香~!会いたかった~!元気だった?」

そう嬉しそうに答えると
低いヒールを脱ぎ
玄関を上がった

「晴美~有紀来たよ~!」

菜摘ははしゃいで子供の時のよう
スキップをしながらリビングに向かった

「有紀、きょう仕事だったんでしょ?ごめんね急に疲れてるのに…」

「ううん、慣れてるから平気菜摘に呼び出されるのは…だから気にしないで明日香!」

そう言って
明日香の肩を叩くと

「ほら、明日香も行こう!」

有紀はそう言って
リビングまで背中を押した

***

「数年ぶりの再会にカンパーイ!」

カシャンッ

菜摘がそう音頭をとると
綺麗なシャンパングラスが重なり鳴った

「おいしーーーー!」

そう言って一気に飲み干す菜摘

「まったく菜摘はのんべいだから」

「あら、有紀だって底なしでしょ~」

二人はニヤニヤしながら再びシャンパンを注いだ

「明日香も結構飲めるんでしょ?」

「私?そんなに飲めないよ~!いつも仕事のお付き合い程度だし…」

「そういえば明日香ってどんな仕事してるの?」

菜摘が今更?って感じで問いてきた

「IT関連よ、SEみたいな…」

「SEってなに?」

不思議そうな顔をして私を見る菜摘

この子は高校卒業後ずっと家事手伝いで家にいたから
あまり仕事の事に興味ないというか…疎いのか…

「システムエンジニアよ…パソコン使って新しい機械作ったりするの…!」

少し違うけど
菜摘にはこんな感じの説明で十分

「凄いねーうちの病院でも患者のカルテのデーターとかほとんどパソコンだもん!」

有紀は
やっぱりよくわかっているな

「所で晴美は結婚する前は何してたの?」

「えっ!私?」

まさかそんな質問されるなんて思ってなかったのか
あたふたする晴美

「晴美は有紀と同じ隣町で工場勤務してたんだよねー事務さんで!」

菜摘は晴美の事は何でも知ってるのよって感じで
癖のある鼻声で話す

「そこの息子さんが、なんと今の旦那様なのよね~!丁度帰郷した時に気に入られちゃって…ねっ!」

「へー、そんな偶然あるんだね!いいなあ!」

少しほろ酔い気分の明日香は少し羨ましがった
だって国家公務員でしょ中々出会えない上玉だもの

「で…でも菜摘の旦那様だっていつも優しいじゃない…子供の面倒見てくれるし…ウチのは出張ばかりだし」

晴美は少し寂しそうに大翔くんのベットの方を見た

「良くないよ~話なんかほとんど聞いてくれないし、休みの日は野球ばかりだし…つまらない人だよ」

菜摘はそう言いながらニヤニヤと
幸せさをアピールしていた

「ねえ、晴美…この間話した大翔くんのリハビリの話なんだけど…」

すると突然有紀が申し訳なさそうに言い出した

「やっぱり…やってみない?週一回でも…今より筋力だって上がるし…」

「ううん、前も言ったけど大丈夫よ!私が毎日身体揉んだり屈伸させたりしてるから!話はボードで出来るし…」

「でも…プロがやった方がもう少し…治りもいいのよ?」

「だから…いいのっ!」

突然晴美が大きな声で叫んだ

「あ…ごめんね、やだ、みんなの再会のパーティーなのに私ったら…」

晴美は下を向き席を立った

「まだ食事は沢山あるから持ってくるね」

そう言ってキッチンにかけっていった

「あーやっちゃった…何かゴメン私も今こんな事聞くべきじゃなかったね…」

明日香と菜摘に謝る有紀

「しかたないよ、晴美には大翔くんしかいないんだから」

とグラスを振りながら
冷たく言い放つ菜摘

「兎に角今の話はおっしまい!飲もう飲もう!」

菜摘はケロッと切り返すと有紀も

「そうね!」

と言って再びシャンパンを飲みほした

























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