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副団長 × アミル

名前の付けられない関係 ★

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 カイルが入ったのは倉庫のような部屋だった。

「ここ……」

「ごめんね、ベッドがある方がよかった?」

 それはベッドの方が良いけれど素直に肯定しきれず視線を外す。
 ふ、と笑ったカイルがおいでと誘う。
 壁に背を付け座ったカイルの前に膝を付くと不思議そうにわずかに目を丸くした表情が目に入った。

「なんか珍しく素直だね。
 初討伐でそんなに高ぶっちゃった?」

「そうかも、しれません……」

 カイルの声に肯定を返しながらも内心では違うと感じていた。

「そう、じゃあもう言える?」

 いつもの言葉を言わせようとしてくるカイルに薄く唇を開く。
 けれど言葉は発せない。
 代わりにカイルの膝にもう硬くなっている部分を擦りつけた。
 言葉でないおねだりにカイルが口元を吊り上げる。

「脱いで?」

 汚しちゃうと後で大変だからねと囁くカイルの声に痺れた思考で制服のボタンを外していく。
 まだ触れてもらう前から全ての肌を晒すのは初めてのことだった。
 カイルも制服を脱いで裸身を晒す。細身に見えても僕より遥かに逞しい身体の中心には自分の中に迎えたことがあるとは信じられないほど大きなモノが勃ち上がっていた。
 視線を逸らせない僕にカイルが軽く首を傾げる。しばらくしてああ、と何か納得する。

「そういえば何もわからなくなっちゃう前に見るの初めてだった?」

 こくんと頷くと安心させるようにいつも入ってるモノだから怖くないよーとからかう。
 そのからかいのはずの言葉さえ興奮材料にしかならなかった。

 カイルの前に膝立ちになって愛撫を受ける。
 舌で乳首を嬲られながら下に指を入れられる。
 指で弄られることが多かったいつもと違い濡れた柔らかい舌が乳首を刺激する感触に頭が溶けそうなほど気持ち良さを感じた。

 零した先走りを使いぬるつく穴をカイルの長い指が出し入れを繰り返す。

「~~~~~っ!」

 更なる刺激を欲して揺れる腰を持て余しカイルの肩に縋りつく。
 抱き着くような姿勢になるのが嫌で片手をカイルの肩に乗せ、もう片方の手でカイルの二の腕を掴む。

「ああっ!」

 ぐりっと大きく中を刺激されて肩に乗せた自分の手に額を擦りつける。
 体重をかけるところのないこの姿勢は辛かった。
 なのに止めてと言えない。
 気持ち良くて、この後に来る快楽が待ち遠しくてただカイルが与える刺激に耐える。

「カイルっ」

 もう待てないと名前を呼ぶ。
 けれどカイルの答えはいつもの通り非情だった。

「まだ早いよ」

 気持ち良くなりたいならもうちょっと待ってねと幼子に諭すような口調で言われて嫌々と首を振る。

「んー、仕方ないなあ」

 困ったように眉を寄せ僕の顔を見つめる。
 こんな風なカイルの顔を見つめるのも初めてだ。だっていつもは逃れようとして、逃れられなくて何もわからなくなってしまうから。

「じゃあ先に一回こっちでイかせてあげる」

「あぅっ!」

 そう言って僕のペニスに手を伸ばすカイル。柔らかな手つきで撫で、緩く輪にした指で扱かれるとあっという間に達してしまう。
 どろりと零れた白濁を掬い僕の中へ再度指を入れる。指で探りながら「まあいけるか」と呟いたカイルが残った白濁を自分の猛ったペニスに塗り付ける。その淫靡な光景から目が逸らせない。

「……おいで」

 カイルの手が僕の腰を引き寄せる。
 膝立ちだった僕は難なくカイルの腕の中に引き寄せられた。
 宛がわれた熱を早くと催促するように中が蠢いた。

「はっ、あ……、あ、どうして?」

 いつものように一気に貫くのではなくゆっくりゆっくりと埋め込んでいく。
 その緩慢な動きにカイルのモノを飲み込んでいく様子をまざまざと感じさせられる。

「だって一気にしたら多分まだ痛いよ」

 だからゆっくりねと言いながら押し込んでいくカイル。
 気持ちイイ。なのにいつものような自分を失うほどの快楽は与えられない。

「こんな……っ」

「ん? 大丈夫だよ。
 最後はちゃんと強く奥まで突いて気持良くしてあげる」

 その言葉に喜んだのか中が急に緩みカイルのペニスをぐぐっと飲み込んだ。

「あ、そんなに欲しかったんだ。
 ごめんね」

 でもまだ駄目だよと告げるカイルの声は冷静で、全部を埋め込まれるまでにはまだ時間がかかった。





「はっ、はあっ……」

 じわじわとした甘い刺激に耐え、ようやくカイルのモノを全部埋め込まれる。
 みっちりと埋め込まれた質量にこんなものがいつも入っているなんて信じられないと改めて思った。
 あんなにすんなりと受け入れ何度も奥まで貫かれたモノが、もう動く場がないというように詰まっている。

「……流石にいつもよりキツイね」

「ああっ!」

 ほんのわずかだけ身じろぎしたカイルの動きに圧迫された内壁が押し返そうと圧を掛ける。

「んぅっ……、ん」

 鎖骨の辺りに吸い付かれ小さく身体を揺らす。
 舌を伸ばしぺろりと舐められた乳首への刺激に仰け反り歓声を上げる。

「ああっ! あっ、んぅっ!」

 まだ動かれてもいないのに快感の声を上げているのが恥ずかしくて唇で指を食んで声を堪える。

「せっかくなんだから声聞かせてよ。
 ここ、誰も来ないし」

 ね?と告げると共に腰を動かし始めた。
 ゆるりとした動きに内壁を擦られてカイルの肩に縋りつく。
 もっと激しく動いてほしいのに緩やかな動きしかしてくれない。

「あ、ああっ、あうっ!」

 震える脚でカイルの動きに耐える。
 そのはずだったのに、いつしかアミルはカイルの動きに合わせるように自分で腰を揺らしていた。

「自分から動いちゃうんだ」

 本当に我慢できなかったんだねと笑う声には苦笑めいた響きがある。
 表情にはそれを裏切る楽し気な色。

「どこが気持ちイイ?」

 肩口に顔を埋める僕にカイルが囁く。

「わ、からな……っ、そんなのっ
 でも、ここ……、んぅっ!」

 ほんのわずかだけ浮かせた腰を落とし中を擦る。
 それだけで痺れるような快感が走った。

「アミルそんなに突かれるの好きだったんだね」

 いっつも嫌しか言わないからわかんなかったと吐息混じりに耳をくすぐられる。
 ――違う。好きじゃない。

「好きじゃ、な……」

 好きじゃない、けれど――。

「好きじゃないけど気持ちイイ?」

「……ぅん」

 肯定なのか吐息なのかわからない僕の答えにもカイルは楽しそうに笑った。
 そして僕の腰を掴み浮かせると、一気に奥まで貫いた。
 先ほどまでの緩やかな動きではなく急に激しくなった動きに歓喜の悲鳴を上げる。

「ああああああっ!!」

 散々焦らさた身体はその一撃だけで限界を迎え、カイルの腹に白濁を散らして達してしまう。
 しっかりと割れた腹筋に飛んだ飛沫にしまったという思いとは別に……。
 自分がカイルを汚したんだと喜びにも似た仄暗い何かが浮かぶ。
 これまでのように一方的に高められ心ならずも受け入れたわけじゃない。
 アミル自身が望んでカイルを迎え入れた。


 達したばかりの身体を揺さぶられ快感に悲鳴を上げる。

「あああんっ、あっ、あうっ!」

「イイ? ならイイって言って?」

「あっ、良、い……!」

 カイルの囁きに途切れ途切れにイイと答える。
 あれだけ厭い避けた言葉なのに、意思を持って発する。
 ぐちゅりと音を立てカイルのペニスが僕の中を穿つ。

「あっ、ああっ、イイっ!」

 中を擦られる感触、奥を叩くペニスの熱さをはっきりと感じる。
 自分の中が収縮し締め付ける度に快感を得た。
 受ける快感を認識すると自分の身体の反応まで理解できる。
 アミルの身体は正直に快感を求めていた。
 理解するほどに感覚は鋭敏になり、快楽を求め受け止め高ぶっていく。
 カイルの吐き出したモノを奥で受け止めた時には何度達したかわからないほどだった。

 この日、僕の中でカイルに対する何かが変わった。


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