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Ωにあってαに無いモノ。
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洋一と浩介はBARを出ると、電車に乗る為に歩いて駅へと向かっていた
「それにしても――
明日から副社長の秘書だなんて――やったな!大出世じゃんw」
「…笑いながら言うな……大体…危険手当のつく秘書って何よ?」
浩介が茶化すように隣で笑いながら話す言葉に
洋一はちょっとムッとしながら返す
「しっかし嵐みたいな人だったな副社長。
お前を秘書にすると決めた途端手続きだのなんだの済ませる為とか言って
さっさと店出て行っちゃうし…」
「…俺に拒否権ナシだしな…ハァ…」
BARでの一件を思いだし、洋一が重い溜息を吐きだす
「そーだ!出世祝いしないとな!プレゼント何が良い?首輪?w」
「Ωじゃねーしっ!」
「だってこれから度々副社長に項噛まれるかもしれないんだろ?w
だったら項保護する首輪とか必要じゃね?
この先今日みたいにあんなに激しく項噛まれる事があったら嫌だろ?w」
「そりゃヤだけど――てかお前、楽しんでる?他人(ひと)事だと思って…」
「いや~…お前が匂いというか体臭?のせいでα引きつける体質なのは
高校の頃から見てきたから知ってたけど――
ま~さか項噛みついてくるとはなwお前の匂いには発情効果ないハズなのに…
やっぱΩのフェロモン中てられたαって怖いな。見境なしに襲ってくんだから…」
それを聞いて、洋一は何処か複雑な表情を浮かべながら口を開く
「それは――仕方ないよ…Ωにはフェロモンを抑える抑制剤があるけど
αには未だにソレを防ぐ薬とか開発されて無いんだから…」
「ホントそれ…なんでだろうな?俺の親父も言ってたけど――
αにもΩのフェロモンを防ぐ薬でもあれば性犯罪も減るし
なにより意図しない相手と誤って番う事も無くなるだろうに…」
浩介は未だに自分の父親に“運命の番”が現れる事に怯える母親を思いだし
その表情が苦々しく歪む…
「まあそれは兎も角――明日から副社長お付きの秘書になる訳だし――
明日何処かでお前の出世祝いも兼ねてパーッと騒ぐか!」
「パーッと騒ぐ…ねぇ…俺は何だか今から気が重いよ…」
ハァ~…と項垂れながら溜息を突く洋一に
浩介が肩を組みながら励ますようにして、2人して駅へと向かった
そんな2人を他所に
『どうだ。確認はできたか?』
「ハイ。恐らくは――」
『画像を送れ。』
「ハイ。」
『……来た。この2人のうちのどちらかか…分かったもういい。』
「それでは失礼いたします。」
ピッと通話は切れ
黒塗りの車は静かに動きだすと
歩道を歩く2人の横を通り過ぎ、その場を去って行った…
「それにしても――
明日から副社長の秘書だなんて――やったな!大出世じゃんw」
「…笑いながら言うな……大体…危険手当のつく秘書って何よ?」
浩介が茶化すように隣で笑いながら話す言葉に
洋一はちょっとムッとしながら返す
「しっかし嵐みたいな人だったな副社長。
お前を秘書にすると決めた途端手続きだのなんだの済ませる為とか言って
さっさと店出て行っちゃうし…」
「…俺に拒否権ナシだしな…ハァ…」
BARでの一件を思いだし、洋一が重い溜息を吐きだす
「そーだ!出世祝いしないとな!プレゼント何が良い?首輪?w」
「Ωじゃねーしっ!」
「だってこれから度々副社長に項噛まれるかもしれないんだろ?w
だったら項保護する首輪とか必要じゃね?
この先今日みたいにあんなに激しく項噛まれる事があったら嫌だろ?w」
「そりゃヤだけど――てかお前、楽しんでる?他人(ひと)事だと思って…」
「いや~…お前が匂いというか体臭?のせいでα引きつける体質なのは
高校の頃から見てきたから知ってたけど――
ま~さか項噛みついてくるとはなwお前の匂いには発情効果ないハズなのに…
やっぱΩのフェロモン中てられたαって怖いな。見境なしに襲ってくんだから…」
それを聞いて、洋一は何処か複雑な表情を浮かべながら口を開く
「それは――仕方ないよ…Ωにはフェロモンを抑える抑制剤があるけど
αには未だにソレを防ぐ薬とか開発されて無いんだから…」
「ホントそれ…なんでだろうな?俺の親父も言ってたけど――
αにもΩのフェロモンを防ぐ薬でもあれば性犯罪も減るし
なにより意図しない相手と誤って番う事も無くなるだろうに…」
浩介は未だに自分の父親に“運命の番”が現れる事に怯える母親を思いだし
その表情が苦々しく歪む…
「まあそれは兎も角――明日から副社長お付きの秘書になる訳だし――
明日何処かでお前の出世祝いも兼ねてパーッと騒ぐか!」
「パーッと騒ぐ…ねぇ…俺は何だか今から気が重いよ…」
ハァ~…と項垂れながら溜息を突く洋一に
浩介が肩を組みながら励ますようにして、2人して駅へと向かった
そんな2人を他所に
『どうだ。確認はできたか?』
「ハイ。恐らくは――」
『画像を送れ。』
「ハイ。」
『……来た。この2人のうちのどちらかか…分かったもういい。』
「それでは失礼いたします。」
ピッと通話は切れ
黒塗りの車は静かに動きだすと
歩道を歩く2人の横を通り過ぎ、その場を去って行った…
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