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4【完】

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「実は、私は前世の記憶を持っています。そこで読んでいた小説の登場人物に、マリク様が当てはまるのです。」

「小説?」

「はい。マリク様は、学園で心から愛する相手を見つけて、二人で様々な問題に立ち向かい愛を育むのです。でも、マリク様には幼い頃に政略で婚約した婚約者がいて、婚約者のために愛する令嬢に別れを告げます。でも、別れたあともずっとその令嬢だけを想い、それに嫉妬した婚約者は嫌がらせをして、最後には婚約破棄されます。そして、その婚約者が私なのです。」



メロディアーナの言っていることに驚いた。
その他にも幼い頃のことで、メロディアーナが知らないはずのことも話してくれた。
前世など本当に実在しているとは思わなかったが、どうやら本当にメロディアーナには前世の記憶が残っているらしい。
メロディアーナは前世の記憶を信じて私の言葉を疑っていたのか。


「それなら私が愛の言葉をいくら告げても信用できないよね。」


「申し訳ございません…。」


「いいよ。でも、これからは私の言葉や行動を信じてくれる?」


「……でも明日からの学園生活で、もしマリク様が本当に別の令嬢を好きになってしまったら…。」


「うーん、絶対にありえないと断言できるけどね。」

「え?」


「だってプレゼントを贈りたいのも、抱きしめたいのも、愛しいと思うのもメロディだけだ。婚約破棄なんて言われて焦ったのはこっちだよ。捨てられてしまうのかとヒヤヒヤした。」


「そ、それはごめんなさい…」


「私も捨てられないように努力しないとね。」


「そ、そんなことは…!」


「ないって言い切れる?その令嬢を見たら離れていくんじゃないか?」


「う…。」


「だから、メロディに捨てられないようにこれからはもっと攻めていくよ。覚悟してて?」


そう言いメロディアーナにキスをする。


「~~~~っ。」


「あ~、もうほんとに可愛い。愛してるよ。」


「…私も大好きです」




メロディアーナは私の心配ばかりだが、私からするとメロディアーナのほうが心配だ。
学園には他にも令息がいるし、メロディアーナは私の婚約者であるのに社交界でも人気で、密かに思いを秘めてる男がどれだけいるか気づいてない。

まあ、メロディアーナに近づく男どもは排除するだけだ。



こうして学園の入学を迎える二人であった。





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