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side ハスライト

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それからは会えないときも手紙のやり取りを行えることになった。


手紙の内容は、その日の出来事、ミュランの身を案し、好きだということが伝わるように書いた。
そしてリナリアの花を添えて。
この花は小さい頃にミュランと遊んだとき王宮の庭で一緒に見た花だ。


花言葉は『この恋に気づいて』


彼女と一緒に見た花を覚えているだろうか。
ミュランが俺の気持ちに気づいてないなら、好きと言っても練習だと思われてるだろう。
偶然にも今の自分の心境に近いこの花の花言葉に気づいてくれたら、わかってくれるのではないか。
そう淡い期待を持ちながら添えていた。


ミュランからは当たり障りのない返事が届いたが、返事が来るだけで嬉しかった。
やり取りを繰り返すうちに、会いたい、話したい、触れたい気持ちがどんどん溢れていって、それを言葉として書くことが多くなった。
紛れもない本心だったが、ミュランの返事からするに気づいてないのだろう。

少しでも意識してくれればいいのだが…。






手紙のやり取りをして少し緊張がとけてきたのか、お茶会の場でも少しずつ話すことができるようになった。
ミュランの話を聞くだけで自分から聞くことはできなかったが、いつしか自然と話せるようになった。
ミュランと話せるようになっただけでも浮かれてしまい、少しでも気を抜くと顔が緩んでしまうのをなんとか抑えた。

それに、ミュランが少しずつ俺を意識するようになっていた。


「今日はなにをしていた?」

「い、いつもと変わりありません。王太子妃教育をしておりました。」

「そうか、お前は優秀だと教師から聞いている。」

「ありがとうございます。」



ミュランは小さい頃から優秀だったため、俺も置いていかれないように必死に勉学に励んだ。
ミュランを守れるように剣や体術も学んだ。
それに、王太子妃教育ももうすぐ終わりそうだと聞く。
少しは息抜きしても大丈夫だろう。


「そうだ、今度城下へ行こう。お前の好きなものが知りたい。」

「は、はい。でも、私のことを知っても意味ないのでは」


ミュランが戸惑いを見せる。
…やはりまだ気づいてないようだな。
今は好いている令嬢(ミュラン)と話せるようになるためという設定だったな。


「そ、そうだったな。女性の好みがわかるように教えてほしい。」


「わかりました。」

「では、詳細は後日手紙に書く。」

「はい。」


そうしてミュランと出かけることになった。




「ここは今令嬢たちに人気のカフェです。」

「そうみたいだな。お前も好きで結構行くと聞いた。」

ミュランの侍女からはおおよその好みを聞いている。
今日はミュランが好きな店などをプランに入れている。
気に入ってくれるだろうか。

「そ、そうですね。私も気に入っております。」

「ではまた来よう。」


ミュランとカフェに入るなど初めてでとても緊張する。
でもそれを表情に出さずにエスコートできるよう教育されてて今日はほんとに感謝した。


席につき、ティーセットを頼む。

店員が運んできた紅茶を一口飲むと、ミュランが好むだけあり、とても美味しかった。


「美味しいな。」

ミュランの好みをしれて嬉しい気持ちになり、思わず口角が緩む。

ふと視線を感じ、前を見ると、向かいに座るミュランがぼーっと俺の顔を見ていた。


「どうした?飲まないのか?」

「の、飲みます。」


そう言ってミュランも紅茶を飲む。


「やっぱり美味しい…」

「今度の茶会はここの茶葉を使おう。」

「いいんですか?」

「ああ、好きなものを選ぶといい。」

「ありがとうございます。」


今までも、お茶会のときはミュランが食べて顔を輝かせていたものを用意していた。
今回も気に入っているみたいだから、次のお茶会にでもまた用意しよう。


初めてのデートで浮かれていたのかその時、ミュランが少しだけ浮かない顔をしていたのに気づかなかった。

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