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本編
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しおりを挟む今日は私は王宮に行かず、家で刺繍をしていた。
いま刺繍しているのも、ルークが常に持っていれるような物をほしいと言われてつくっているものだ。
何枚かつくり、できたら渡すつもりでいる。
すると、侍女から来客が来たことを知らされた。
「久しぶりだな、チュリ。元気だったか?」
「レイ!久しぶりね。いつ帰ってきたの?今日はどんな御用で?」
「昨日だよ。叔父さんにちょっとアドバイスを貰いにな。」
レイとは、ヴァイス伯爵子息である。お父様の妹の子供で、私の従兄弟である。
昔はよく遊んでいたが、最近は、領地の視察であっていなかった。
「それより、チュリ婚約したんだって?しかも王太子だそうじゃないか。」
「そうなの。」
「食べ物にしか興味なかったお前が、どういう風の吹き回しだ?」
「な、何でもいいじゃない」
「まあ、あらかた王宮の料理にでもつられたんだろ」
呆れた顔で言ってきた。
「な!なんでわかるの!!」
「やっぱりそうだったのか。そりゃ、何年一緒にいたと思ってるんだよ。それくらいお見通しだよ。」
す、すごい。
「まあ、幸せそうなお前にあえて良かったよ。王太子殿下によろしくな。」
「ええ、このあとマリーナに会いに行くの?」
「そうだよ。この後デートなんだ。早く会いたいよ。」
そう。レイはマリーナの婚約者なのである。
だからマリーナともよく会う機会があった。
「見送りありがとう。また会いに来るよ。今度はマリーナと二人で。」
「えぇ、待っているわ…きゃあ!」
ドレスの裾を踏んでつんのめってしまった。
「おっと、」
レイが咄嗟に抱きかかえてくれた。
「大丈夫か?」
「ありがとう、レ「チュリ?」」
お礼を言おうと思ったらここに居るはずのない愛しい人の声が聞こえた。
「ルーク!」
私は体勢を整えてルークに駆け寄った。
「どうしてここに?」
「時間があいたからチュリに会いたくて…彼は?」
ルークは笑顔でレイの方を見た。
「従兄弟のレイです。」
「ヴァイス伯爵家のレイと申します。」
「ルーク・ド・リンデルンだ。よろしく。」
にこやかに挨拶をかわす。
「…あとは頼んだよ。そしたら、チュリまたね!王太子殿下、失礼致します。」
レイは、こそっと私に耳打ちしてから、軽く挨拶をして帰っていった。
「…また会う約束を?」
レイが帰ったあと、ルークが私に聞いてした。
「えぇ、レイはマリーナの婚約者なの。今度は二人で来るって言ってたわ。」
「あぁ、そうだったんだね。私はてっきり…」
何か言いかけて、何でもないと言われてしまった。
「それより、会いたかったよチュリ。」
「私も!もう少し一緒にいれるの?」
「もちろん。侯爵にも挨拶させて。」
そう言って抱きしめてくれた。
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