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本編
17 ルークside
しおりを挟むそれからの私は我ながら行動が早かったと思う。
彼女が誰なのかを知りたい。
平民にしては身なりや仕草が美しいと思っていたが、なんと彼女は侯爵家の令嬢であった。
そして彼女には婚約者がいない。
そして次の婚約指名の舞踏会に彼女は来るそうだ。
私はなんてついているんだ。
そして待ちに待った舞踏会に現れた彼女は誰よりも輝いて見えた。
美しいドレスに身を包んだ彼女はより下町で会ったときよりも一層美しく、他の子息たちの視線を釘付けにしていた。
陛下の元に挨拶に来たとき、彼女は私達の顔を一切見なかった。
そこにも好感が持てた。
なんとしても彼女の視界に入りたい。
他の男ではなく、私を選んでほしいと思った。
私は群がってくる令嬢たちを捌く傍ら、ずっと彼女を見ていた。
彼女はパーティーよりも食事が好みのようだ。
今日のパーティーの趣旨や、そもそも私のことなど知らないのだろうな。
そこにもまた、普通の令嬢たちとは違う彼女に興味を持った。
何度か子息たちが彼女に話しかけていたが、彼女は料理に夢中で眼中にないといった感じだったときは、少し笑ってしまったし、他のやつに取られないことに安心した。
そんなとき彼女が中庭に出ていこうとしていた。
私は咄嗟に令嬢たちに断りを入れその場を立ち去り、会場を出てから会場からは死角になるところから中庭に向かった。
「あー、やっぱり王宮のお料理は最高!これが毎日食べられるなんて王宮勤めの人はいいなあー。」
彼女は一人ベンチに座って王宮の料理について語っていた。
王宮の料理をもっと食べたいという彼女に、そこにつけ込めばそばにいられるのではと思い、すぐに頭の中で計画をねって話しかけにいった。
「それなら、毎日王宮に来ないか?」
それからは彼女に王宮の料理をエサに私の婚約者のフリをしてもらうことにした。
近くにいればそれだけで彼女に私の存在を刻み込めると思った。
同意のもとで婚約さえしてしまえば、あとは自分の容姿を最大限利用して、ゆっくり好きになって貰えればいいと思った。
そんなことを考えながら他愛もない話を彼女としていたが、予想以上に彼女は、博識で、料理から他国の歴史や文化に触れることが多く、そこでの独自の見解などを話してくれた。
彼女はどれだけ私を虜にしてくれたら気が済むんだろう。
私をここまで夢中にさせたのだから絶対に逃さないよ。
彼女の楽しそうにしている顔をみながら、私は心に誓った。
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