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「はじめまして、サーシェと申します。宜しくお願いいたします。」



「……。」



「…??」


「………………ライナル。」


「ライナル様とお呼びしてよろしいですか?」


「…………好きにしろ。」




これが私達の最初の出会いであった。


エモーニア伯爵家の長女である私、サーシェは今日政略結婚のための婚約をした。
相手は格式高いサーヴァント侯爵家のライナル様である。


彼の第一印象はとても綺麗な人であった。
まだ10歳にも関わらず端正な顔立ちで、サラサラとした銀がかった金髪にアメジストのような綺麗な紫の瞳。
吸い込まれそうなその瞳にきっと一目惚れだったのだろう。
だが彼は驚くほど無口であった。



「ライナル様。こちらの紅茶の茶葉は私の領地の特産品でございます。」


「…。」


差し出したお茶にも口をつけようとしてくれず、早速私は嫌われてしまったのだと確信した。

すると、ライナル様はすっと席を立ちどこかへ行ってしまった。




しばらくしてから、ライナル様は何事もなかったかのように席に戻られた。
すると、侍女からコソッとクッキーを渡された。


「ライナル様からでございます。この茶葉の紅茶に合うようにお選びになったようですよ。お気に召して頂けるとライナル様もお喜ばれます。」

パッとライナル様の方を向くとそっぽを向かれていた。
その耳は少し赤いような気がする。


「ライナル様、ありがとうございます。」


「…」



会話こそしてくれないが、ライナル様はお優しい方だと思う。
私はいい婚約関係を築けると信じていた。


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