玉櫛の夢が明ける頃

江戸時代の陰間茶屋が舞台のBL(陰間もの)
町人×陰間
モブ×受けの場面あり
濡場控えめ
群像劇的な構成
日常場面多め

紙問屋但馬屋の長男「茜太(せんた)」が出会った美しい少年「橘伍(きつご)」は、花街にさえ二度とは咲かぬ艶花と評判の陰間「梗花(きょうか)=桔也(きつや)」の息子だった。
自分の運命は受け入れながらも息子には明るい未来をと望む桔也と、それを感じてはいても父を食い物にする者への憎悪を抑えきれない橘伍は、互いへの思いやりで雁字搦めになっているとさえ自覚していない。陰間茶屋や花街の者たちはそれを知ってはいても、口を挟むこともできず見守ることしかできずにいる。けれど桔也を、そして彼が大切にしている一つの櫛を知っている楼主は、微かな光明が差し始めたように感じていた。
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