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特別篇2-1 うそつきの おにいちゃんが あらわれた!※
しおりを挟む早朝、城とは逆方向に向かった夫シルヴァの行方を知るべく、さっそく準備にとりかかった。
鏡の前で、自分の全身を確認する。
ふんわりとした栗色の髪を頭の上でまとめて、瞳の色と同じ紫色のリボンで結んだ。
ドレスは春らしく、淡いラベンダー色のものにしている。スクエアネックの襟元にはふんだんいレースがあしらわれている。袖はバルーンスリーブになっていて、手首に向かうにしたがってしまったものだ。ウェスト部分は同じ系統の色のリボンできゅっと結んである。腰よりも下のスカート部分はフレアが拡がる、愛らしいデザインのものだ。
(結婚した貴婦人が着るにしては、ちょっと子どもっぽいかしら……?)
とはいえ、こういう華やかな格好をしていると、寡黙で不愛想なシルヴァの表情が少しだけ明るくなる気がするのだ。
(長年一緒にいる人しか分からないぐらい、些細な表情の変化だけど……)
数年離れた期間があったとはいえ、幼い頃から一緒に過ごしているので、彼が何を思っているのか漠然と分かるのだった。
歩きやすい白いパンプスに履き替えて、私は外に向かう。
(とはいえ、今からシルヴァお兄ちゃんの駿馬を、馬車で追いかけるのは到底無理だわ……)
考えた私は、御者に命じる。
「城に向かってくださいませんか?」
城とは反対方向に向かったとはいえ、生真面目なシルヴァのことだ。
ちゃんと仕事のために登城するはずだ。
そんな理由で、私はグランテ王国の王城へと向かうことにしたのだった。
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