上 下
187 / 220
第7章 2年後、3人は家族になった

37-3※

しおりを挟む
 桃花は頬を火照らせながら、息を絶え絶えになりながら返した。

「我が子の獅童に嫉妬するなんて、総悟さん、大人げないです……ひゃあんっ」

 桃花の臍に総悟がちゅっと唇を落とした。それだけだったが、どうやら身体が鋭敏になっているらしく、ちょっと触れられただけなのに、身体が跳ね上がってしまった。

「……ごめん、突っ走り過ぎてるかも……君のことを抱くの、二回目なのに――全然余裕がない」

 確かに初めての時に比べたら、色んなことが性急な気がする。

「俺はさ、姉さんが死んで以来、自分の気持ちに鈍感に生きてきた。だから、初めて君を抱いた時は、君に惹かれているのには気づいていたけど……それでもまだ自分自身の気持ちがよく分かっていなかったんだ。そのくせ、生涯パートナーにするなら君しかいないって、自分の身体のことは隠して、君に指輪を準備してたんだ。君がいなくなって初めて自分の思いに気づいた」

 総悟が縋るような瞳で見つめてくる。

「今も、君が俺のところから逃げないようにしなきゃって思えば思うほど、焦ってしまって……」

 桃花は下腹の近くにある総悟の色素の薄い髪をそっと撫でた。

「ごめんなさい、私が貴方と向き合わずに逃げたから……だけど、大丈夫、もう絶対に離れませんから」

「桃花ちゃん、ありがとう」

 総悟の張り詰めた雰囲気が一気に解ける。
 そうして、彼が上半身を少し起こしたかと思うと、彼女の衣服を脱がしはじめた。次いで、彼女の身体の上で、彼が衣服を脱ぎ捨てはじめる。衣擦れの音がしゅるりと室内で艶めかしく響いて、彼女の鼓動がどんどん高鳴っていく。
 二人して生まれたままの姿になる。

「二年経っても変わらずに綺麗だ」

「総悟さん……」

 まるで離れていた分眺めると言いたげにじっと眺められると、ただでさえ恥ずかしいのに全身が沸騰しそうなぐらいに熱くなった。

「二年ぶりに君の身体をくまなく眺めたい」

 そうして、総悟の唇が桃花の全身にキスの雨を降らせた。
 彼の柔らかな唇が彼女の肌を優しく吸って花びらを散らしてくたびに、彼の想いが伝わってくるようだった。
 宣言通り、全身にくまなく口づけられた後、総悟が身体を起こすと桃花に跨る格好となった。
 彼の顔が近づいてきたかと思うと、彼女の唇を貪りはじめる。

「んっ……総悟さん……」

「桃花ちゃん」

 まるで愛を請うかのように、彼の唇が貪欲に彼女の唇を奪った。
 それでもまだ足りないと云わんばかりに、彼の分厚い舌が、彼女の口の中に侵入してくる。

「ふあっ、あっ……」

「ああ、さっきもあれだけ君にキスしたのに……君が足りない、もっと俺を君の中に入れて欲しい」

 彼の舌が唾液ごと口の中を貪るたびに、互いの熱い吐息が絡んで消える。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福

ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨ 読んで下さる皆様のおかげです🧡 〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。 完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話に加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は是非ご一読下さい🤗 ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン♥️ ※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。

今の幸せを捨て新たな幸せを求めた先にあったもの

矢野りと
恋愛
夫トウイ・アロークは13年間も連れ添った妻エラに別れを切り出す。 『…すまない。離縁してくれないか』 妻を嫌いになったわけではない、ただもっと大切にするべき相手が出来てしまったのだ。どんな罵倒も受け入れるつもりだった、離縁後の生活に困らないようにするつもりだった。 新たな幸せを手に入れる夫と全ての幸せを奪われてしまう妻。その先に待っていたのは…。 *設定はゆるいです。

婚約者に会いに行ったらば

龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。 そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。 ショックでその場を逃げ出したミシェルは―― 何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。 そこには何やら事件も絡んできて? 傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

幼馴染みとの間に子どもをつくった夫に、離縁を言い渡されました。

ふまさ
恋愛
「シンディーのことは、恋愛対象としては見てないよ。それだけは信じてくれ」  夫のランドルは、そう言って笑った。けれどある日、ランドルの幼馴染みであるシンディーが、ランドルの子を妊娠したと知ってしまうセシリア。それを問うと、ランドルは急に激怒した。そして、離縁を言い渡されると同時に、屋敷を追い出されてしまう。  ──数年後。  ランドルの一言にぷつんとキレてしまったセシリアは、殺意を宿した双眸で、ランドルにこう言いはなった。 「あなたの息の根は、わたしが止めます」

お飾り王妃の愛と献身

石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。 けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。 ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。 国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

私のことなど、ご放念くださいませ!

風見ゆうみ
恋愛
私の住む世界では、貴族は犬を飼うことが当たり前で、賢い犬がいる家に一目置くというしきたりがある。 幼い頃から犬と念話ができる私は、どんな暴れ犬でも良い子になると、国内では評判が良かった。 伯爵位を持つ夫、ノウルと大型犬のリリと共に新婚生活を始めようとしていたある日、剣の腕を買われた夫が出兵することになった。 旅立つ日の朝、彼は私にこう言った。 「オレは浮気をする人は嫌いだ。寂しいからといって絶対に浮気はしないでほしい」 1年後、私の国は敗戦したが、ノウル様は無事に戻って来た。 でも、彼の横には公爵令嬢が立っていた。その公爵令嬢は勝利国の王太子の妻として捧げられる予定の人。そんな彼女のお腹の中にはノウル様との子供がいるのだと言う。 ノウルは公爵令嬢を愛人にし、私との結婚生活を続けると言う。王家は私にノウル様が公爵令嬢を身ごもらせた責任を取らせると言い出し、公爵令嬢の代わりに冷酷で有名な王太子の嫁にいけという。 良いわよ、行きますとも! 私がいなくなれば、困るのはあなたたちですけどね! ※R15は保険です。誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。教えていただけますと幸いです。

【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。

天歌
恋愛
「あーーん!ダンテェ!ちょっと聞いてよっ!」 甘えた声でそう言いながら来たかと思えば、私の婚約者ダンテに寄り添うこの女性は、ダンテの幼馴染アリエラ様。 「ちょ、ちょっとアリエラ…。シャティアが見ているぞ」 ダンテはアリエラ様を軽く手で制止しつつも、私の方をチラチラと見ながら満更でも無いようだ。 「あ、シャティア様もいたんですね〜。そんな事よりもダンテッ…あのね…」 この距離で私が見えなければ医者を全力でお勧めしたい。 そして完全に2人の世界に入っていく婚約者とその幼馴染…。 いつもこうなのだ。 いつも私がダンテと過ごしていると必ずと言って良いほどアリエラ様が現れ2人の世界へ旅立たれる。 私も想い合う2人を引き離すような悪女ではありませんよ? 喜んで、身を引かせていただきます! 短編予定です。 設定緩いかもしれません。お許しください。 感想欄、返す自信が無く閉じています

死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く

miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。 ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。 断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。 ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。 更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。 平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。 しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。 それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね? だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう? ※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。 ※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……) ※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。

処理中です...