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第6章 2年後、3人で家族になる
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「さっきの話だけど、君に信じてもらえるんだったら、二十四時間監視してもらっても良いぐらいだよ。せっかくだから、社長室にカメラでもつけてずっと見張ってもらっても良いぐらいだ」
「経費の無駄遣いだから、そんなことしなくて結構です」
なかなか素直な返事は出来そうにない。
「ねえ、桃花ちゃんは、もう俺のところから勝手にいなくならないよね?」
総悟の縋るような声音。
桃花はしっかりと相手の目を見て答えた。
「はい、もちろんです」
すると、彼が蕩けるような笑みを浮かべてくる。
「君が気がかりなこと、ちゃんと一つずつ解消していくつもりだからさ」
桃花は息を吸い込むと思い切って返した。
「気がかりなこと、実はまだたくさんあるんです」
「え? たくさんあるの?」
総悟には心当たりがないのか目を真ん丸に見開いている。
「はい、たくさんあるんですよ」
(どれも気になったまま、総悟さんに聞けないでいた)
まずはお互いの話から聞いていく方が良いかもしれない。
「だけど、これからは、私もちゃんと総悟さんにお話を聞こうと思います」
「え? 解決して桃花ちゃんが結婚してくれるんなら、帰り際の車で説明するけど」
「私もいっぺんに話を聞くには心構えがまだ足りなくて……」
その時。
「あのう、二人の世界が出来てるところ、大変申し訳ないんだけど……」
総悟と桃花はそこでハッとなった。
(京香さんがいたんだった……!)
「総悟くんに頼まれた例のやつ、ちゃんと準備しておいたから。はい、どうぞ」
京香が総悟に白い封筒を手渡した。
「ああ、京香さん、ありがとう。今度竹芝たちと一緒に家族皆でバーベキューでもしようよ。美味しい肉を準備するからさ」
「まあ、総悟くんったら、気が利くわね! 清ちゃん、最近痩せてきてるから、お肉を食べて元気になってもらわなきゃって持ってたの! ああ、いけない。おじゃまむしは去るわね!」
そうして、京香さんは嵐の如く去って行った。
桃花は総悟に対して疑問をぶつける。
「そういえば、京香さんは総悟さんのご実家によく遊びに来てるんですか?」
「ああ、一応俺にとっても幼馴染だからね」
「俺にとっても?」
「うん、そうだよ」
総悟が屈託のない笑みを浮かべると、桃花に向かって手を差し出した。
「桃花ちゃんはもう俺のそばからいなくなったりしない。だったら、俺はもう焦ったりしない。君がちゃんと俺に振り向いてくれるまで……俺はずっと君のそばにいるからさ」
「あ……」
「さあ、行こうか」
そうして、総悟に手を引かれながら桃花は再び歩を進めはじめたのだった。
「経費の無駄遣いだから、そんなことしなくて結構です」
なかなか素直な返事は出来そうにない。
「ねえ、桃花ちゃんは、もう俺のところから勝手にいなくならないよね?」
総悟の縋るような声音。
桃花はしっかりと相手の目を見て答えた。
「はい、もちろんです」
すると、彼が蕩けるような笑みを浮かべてくる。
「君が気がかりなこと、ちゃんと一つずつ解消していくつもりだからさ」
桃花は息を吸い込むと思い切って返した。
「気がかりなこと、実はまだたくさんあるんです」
「え? たくさんあるの?」
総悟には心当たりがないのか目を真ん丸に見開いている。
「はい、たくさんあるんですよ」
(どれも気になったまま、総悟さんに聞けないでいた)
まずはお互いの話から聞いていく方が良いかもしれない。
「だけど、これからは、私もちゃんと総悟さんにお話を聞こうと思います」
「え? 解決して桃花ちゃんが結婚してくれるんなら、帰り際の車で説明するけど」
「私もいっぺんに話を聞くには心構えがまだ足りなくて……」
その時。
「あのう、二人の世界が出来てるところ、大変申し訳ないんだけど……」
総悟と桃花はそこでハッとなった。
(京香さんがいたんだった……!)
「総悟くんに頼まれた例のやつ、ちゃんと準備しておいたから。はい、どうぞ」
京香が総悟に白い封筒を手渡した。
「ああ、京香さん、ありがとう。今度竹芝たちと一緒に家族皆でバーベキューでもしようよ。美味しい肉を準備するからさ」
「まあ、総悟くんったら、気が利くわね! 清ちゃん、最近痩せてきてるから、お肉を食べて元気になってもらわなきゃって持ってたの! ああ、いけない。おじゃまむしは去るわね!」
そうして、京香さんは嵐の如く去って行った。
桃花は総悟に対して疑問をぶつける。
「そういえば、京香さんは総悟さんのご実家によく遊びに来てるんですか?」
「ああ、一応俺にとっても幼馴染だからね」
「俺にとっても?」
「うん、そうだよ」
総悟が屈託のない笑みを浮かべると、桃花に向かって手を差し出した。
「桃花ちゃんはもう俺のそばからいなくなったりしない。だったら、俺はもう焦ったりしない。君がちゃんと俺に振り向いてくれるまで……俺はずっと君のそばにいるからさ」
「あ……」
「さあ、行こうか」
そうして、総悟に手を引かれながら桃花は再び歩を進めはじめたのだった。
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