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2日目
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しおりを挟む『約束破る子は嫌いっていったでしょう? ちゃんと俺が口説くチャンスをくれるって約束したじゃん』
「口説くチャンスと貴殿をぐるぐる巻きにするのでは、話が別でだな……そもそも、ぐるぐる巻きにしたところで、今のように唐突に姿を現わせるではないですか?」
『ううん、じゃあ、君の俺への拘束スキル増強のためだと思って我慢するよ、ああ、君の愛は痛くて重いんだなあ』
恍惚とした声音が聞こえてドン引きした。
気を取り直してヒルダは問いかける。
「今の群衆は村の皆なのか?」
『ああ、そうだよ。毎年祭りになると、あやしげなサークルを作って、三日三晩、伝説の扉の前で祈りを捧げるんだ』
「伝説の扉……?」
だから、扉を開けたら、円形に取り囲まれたのか……。
「ん? 扉を開けたのに、円形に包囲されているのはおかしくないか?」
『ああ、四次元であるこの部屋に繋がっている扉だよ! 物理原則を無視して色んなものを仕舞える、便利な扉さ!』
四次元……?
『簡単に言えば、この部屋は、どこにだって行けるドアなんだ! このドアがあれば、君はいつだって湖にワープすることができる!』
いよいよ意味が分からなかったが、世の中には未知の出来事に溢れているようだ。
「だとすれば、散歩はいつだって、できたのではないか?」
『んん、どうだろうねえ? まあ、とにかくさ、この部屋を出ない限り、君は色々情報収集できないよ? さあ、勇気を出して外に旅立つんだ! 聖剣の乙女ヒルダ!』
はぐらかされた上に、全く意味が分からなかったけど……。
(このままこの空間に居続けるのは、聖剣ジークフリートの思うつぼな気がする……)
背に腹は代えられない。
勇気を出して、ヒルダはドアノブを回した。
ガチャリ。
先ほどのように民衆たちの拍手喝さいが巻き起こる。
人垣を抜けて、一人の老人が現れる。
男性なのか女性なのか区別がつかない。
ふさふさの白い長髪で顔は覆いかくされ、背が丸まっており、子どもぐらいの背丈しかない。
「聖女様、良かった、今度こそしっかりとお話ができる。ささ、こちらへ」
とりあえず、ヒルダは老人についていくことに決めたのだった。
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