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2日目
21※
しおりを挟むヒルダは、勢いあまりすぎて、足の裏で相手の顔面を蹴り飛ばしてしまったのだ。
「す、すみません、貴方の顔を蹴り飛ばしたかったわけではなく!」
だが、やはり反応がない。
おそるおそる足をのけようとしたヒルダだったが――
ガシリ。
「ひっ……!」
相手の大きな手に、急に足首を掴まれてしまった。
かと思えば――
「もっとだ!」
「ひえあ!?」
相手の勢いに負けて、ヒルダの声が上ずる。
一方。
ジークフリードは、顔面を踏まれても尚元気よく叫んだ。
「君に踏まれるなら最高に幸せだ! もっと、もっと俺を踏んでほしい!!」
そうして、ヒルダめがけて飛び込んでくる。
「ひっ……!」
白いシーツの上、ヒルダは必死に後ずさる。
(前言撤回したい!)
とりあえず祭りが開催されている間の3日間(残り2日間)、ジークフリードとともに行動すると約束してしまった、迂闊な自分が怨めしい。
ジークフリードはヒルダの華奢な足首を再度掴んでくる。
「さあ、子猫ちゃん、君にSっ気があるのはよく分かったよ、だから、ほら、君に好かれるためなら、どんどん俺のことを踏んでくれ! ああ、その俺を蔑む目、たまらない! さあ、さあ、さあ」
「ち、違うんだ、私にそんな性癖はなくって……! 私はもっと平凡な夜の営みを求めていて……」
そこまで言うと、ヒルダは、はっと口を噤んだ。
「そうか、もっと普通に俺に愛されたいんだね?」
曲解されてしまった。
「ち。違う、違うんだ! きゃあっ……!」
だが、言質を取ったと言わんばかりに、ジークフリードはヒルダをベッドの上に押し倒す。
「きゃあっ……!」
相手の両手が、ヒルダの手首を掴んできた。
そのまま身動きが取れなくなる。
「さあ、もう君を離さないよ!」
相手の唇が、ヒルダの首筋の肌を吸ってくる。
「ひゃんっ……!」
きつく吸われると、身体がびくんと大きく跳ね上がった。
「ああ、その声、可愛くて好きだな……もう一回聞かせてくれる?」
「ひゃあっ……!」
ジークフリードの舌がねっとりと肌の上を這うと、きゅうっと女性の芯が締まった。
「さあ、今度はちゃんと丁寧に愛してあげるからね、ヒルダ……」
(万事休すか)
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