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2日目

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 ヒルダは、勢いあまりすぎて、足の裏で相手の顔面を蹴り飛ばしてしまったのだ。

「す、すみません、貴方の顔を蹴り飛ばしたかったわけではなく!」

 だが、やはり反応がない。
 おそるおそる足をのけようとしたヒルダだったが――

 ガシリ。

「ひっ……!」

 相手の大きな手に、急に足首を掴まれてしまった。
 かと思えば――


「もっとだ!」

「ひえあ!?」

 相手の勢いに負けて、ヒルダの声が上ずる。
 一方。
 ジークフリードは、顔面を踏まれても尚元気よく叫んだ。

「君に踏まれるなら最高に幸せだ! もっと、もっと俺を踏んでほしい!!」

 そうして、ヒルダめがけて飛び込んでくる。

「ひっ……!」

 白いシーツの上、ヒルダは必死に後ずさる。

(前言撤回したい!)

 とりあえず祭りが開催されている間の3日間(残り2日間)、ジークフリードとともに行動すると約束してしまった、迂闊な自分が怨めしい。
 ジークフリードはヒルダの華奢な足首を再度掴んでくる。

「さあ、子猫ちゃん、君にSっ気があるのはよく分かったよ、だから、ほら、君に好かれるためなら、どんどん俺のことを踏んでくれ! ああ、その俺を蔑む目、たまらない! さあ、さあ、さあ」

「ち、違うんだ、私にそんな性癖はなくって……! 私はもっと平凡な夜の営みを求めていて……」

 そこまで言うと、ヒルダは、はっと口を噤んだ。

「そうか、もっと普通に俺に愛されたいんだね?」

 曲解されてしまった。

「ち。違う、違うんだ! きゃあっ……!」

 だが、言質を取ったと言わんばかりに、ジークフリードはヒルダをベッドの上に押し倒す。

「きゃあっ……!」

 相手の両手が、ヒルダの手首を掴んできた。
 そのまま身動きが取れなくなる。

「さあ、もう君を離さないよ!」

 相手の唇が、ヒルダの首筋の肌を吸ってくる。

「ひゃんっ……!」

 きつく吸われると、身体がびくんと大きく跳ね上がった。

「ああ、その声、可愛くて好きだな……もう一回聞かせてくれる?」

「ひゃあっ……!」

 ジークフリードの舌がねっとりと肌の上を這うと、きゅうっと女性の芯が締まった。

「さあ、今度はちゃんと丁寧に愛してあげるからね、ヒルダ……」

(万事休すか)

 
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