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1日目
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しおりを挟む村はずれの教会の前。
聖女像に羽交い絞めにされてしまったヒルダは、やたら甘ったるい声を上げていた。
「あっ、やめっ……そんなっ、しないでっ……」
けれども、なかなか相手は止めてはくれない。
ヒルダの眼前、人間形態になったジークフリートがクスリと笑った。
「言っただろう? 約束守らない子は嫌いだって。それにしても、声可愛いね……」
「んんっ、お、お願いっ、許してっ……ああっ……ひゃあっ……んんっ……!」
何度も身体をよじらせたせいで、汗でぐっしょりと濡れた衣服は乱れきってしまっていた。
自慢の金のポニーテールも振り乱して、ヒルダは喘ぎ続けていた。
「いいや、許さないよ。約束を破るような子猫ちゃんは、もっと身体に色々教えこまないといけない……」
色香を孕んだ彼の声音が鼓膜を震わせてきたのを合図に、ヒルダは小さな悲鳴を上げた。
「いやあっ、やめてったら……あっ、ひゃああっ……! ああっ……!」
びくびくと身体を震わせながらヒルダは後悔していた。
(こんなことになるなんてっ、逃げずにちゃんと相手の言うことを聞いておけば良かった……!)
変質者――もとい、聖剣の化身ジークフリートの手によって、こんな辱めを受けるなんて……。
(女騎士として恥ずべき事態だ……!)
けれども、相手の猛攻は鳴りやまず、ヒルダは耐えず嬌声をあげ続けるだけになる。
投げ出された脚が振り子のように艶めかしく動く。
「さて、子猫ちゃんは朝まで耐えられるかな?」
「ひあっ、ああっ、あっ、朝まで、持たないっ……!」
そんな彼女の様子を見て、ジークフリードが意地の悪い笑顔をニヤニヤと浮かべた。
「仕方ないな。ねえ、俺を騙したこと、ちゃんと反省してくれた?」
「あっ、だってっ、あっ、あぅっ……!」
こんなにもヒルダはよがっているのに、ジークフリートは余裕があって、ふつふつと腹が立ってくるが、抵抗ができない。
「まあ、俺としても、可愛い女の子に色々イタズラするのは好きなんだけどさ、嫌われたくはないから……そうだ、ごめんなさいって、ちゃんと謝ってくれたら、止めようかな?」
相手の意地悪な言い回しに、本当は屈したくなんかなかった……。
けれども、ヒルダは女騎士としての矜持をかなぐり捨てて懇願する。
「ごめっ、許してっ、……ひゃあっ、ああっ、……!」
「ごめ……なんだって? あと、『言うことききます』も付け足して欲しい」
ジークフリートがわざとらしく聞き耳を立ててくるが、与えられる刺激が限界に達しつつあるヒルダには、もはやプライドなど残っていなかった。
「ごめんなひゃいっ! 許してっ! 言うことききますっ……! ひゃっ、もう、ダメっ……!」
ヒルダが限界に達しかけた、その時――
「よし、じゃあ、今日はここまでだ」
ジークフリートが声をかけた瞬間――
ピタリ。
ヒルダへの猛攻が止まる。
「あ…………」
どうやら命拾いしたようだ。
危うく高みに上り詰めそうだった。
はあはあと肩で息をする。
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