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1日目
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しおりを挟む本日二度目の全力疾走で、村向こうにある小さな教会のある広場へと逃げ込んだ。
向こうに見える教会には、ほんのりと明かりが灯っている。
祭りとは別の場所だからか、時間帯のせいか、元々人気の少ない場所なのか、周囲には人気がない。
花がたくさん咲いており、蔦で出来たブランコなどが設置されている。
「はあはあ……」
聖剣の存在を隠すために必死なヒルダとは違い、聖剣はずっと話しかけてくる。
『ねえねえ、びっくりした? ねえねえ』
「びっくりしたというか……」
――おかしな霊に憑りつかれてしまった――
騎士学校では霊の祓い方は教えてもらっていない。
(こんな時は、教会に祓ってもらうに限る……!)
愉快気な声を無視して、ヒルダは黙々と教会の正面玄関へと向かう。
『俺の可愛い子猫ちゃん、せっかく真の正体を明かしてあげたのにさ、ツレないねえ』
反応してはいけない。
とにかく無視すべきだ。
そう思って、ひたすら前進した。
『ねえねえ、無視しないでよ……ああ、でも、君ってさ、真面目そうなのに、誰かを無視するとか、子どもっぽいところがあるんだね、なんだか可愛いね』
ちょっと気に障ることを言われても反応してはいけない。
『はあ、放置プレイもわりと好きだったんだな、俺ってさ……わりとSっ気の方が強いのかなって思ってたんだけど、君と接してたら、どんどんMっ気が増してきた気がするよ』
気持ちがわるいけれど、とにかく反応してはいけない。
『ああ、それにしたって、君の汗、なんだかしょっぱくて、おいしい気がしてきたなあ、新たな性癖が開眼した気がするよ』
ぞわぞわが限界に達した。
ヒルダは思わず声を荒げてしまう。
「気色の悪い言い回しはやめてもらいたい!」
叫んだ後に、はっとする。
うっかり反応してしまった……!
すると、喜色を浮かべたような声が聴こえた。
『お、やっと反応してくれたのかい、俺の可愛い子猫ちゃん』
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