【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者

ハネムーン前日譚

8 ギルフォードside※

　――話は少しだけ遡る。


　ルイーズが身体に触れるなと書斎に乗り込んできた日のことだ。

（怒った顔も可愛いな、ルイーズ……）

　ギルフォードは内心衝撃を受けつつも、実は少しだけ安堵していた。

（ルイーズの抱き心地が良すぎて、毎日抱き潰していたからな）

　正直、体力が有り余っている彼の方は、仕事も順調でしょうがなかった。
　しかしながら、ギルフォードに比べてルイーズの体力が少ない。
　毎晩抱き潰して、このままだと仕事に支障をきたした彼女から離縁を申し出られるんじゃないかと、彼は胸の内で心配していた。

（それなら、ほとぼりが冷めるまではルイーズの好きにさせた方が良い……それに――）

　実は書斎でこっそり、彼女が結婚式でウェディングケーキを作って新聞に載っていた箇所の切り抜きをやっていたのだ。
　ギルフォードは平静を装うのに必死だったが、なんとか事なきを得た。


（さすがに本人に見られたら、いよいよ嫌われていたかもしれない……）


　そうして、ルイーズが媚薬入りのチョコを食べてしまった際に続く。


　媚薬で火照ったルイーズに対して、薬が抜けたと言い張ったギルフォードだったが――。

（これは……写真の切り抜きを見られたくないと思って、彼女を遠ざけた罰だな……）

　――本当は彼女以上に媚薬が効いていた。

　正直言って、彼の体も薬の影響で――限界ギリギリのところを行き来していた。
　ありったけのチョコを食したのだ、さもありなん。
　気を抜いたら、野獣宜しくルイーズを喰い散らかしそうだった。

（マダムモリスンも相当ヤバイやつを仕入れてきたな……）

　とはいえ、ルイーズが自分と同じ量を飲んでいなくて良かったと彼は思っていた。
　ただでさえ感度が良くて真面目な彼女のことだ。ひどい有様になっていて、立ち直れなくなっていたかもしれない。
　昂ぶる彼女の身体を先にどうにかしてやりたくて、欲情を理性で無理矢理ねじ伏せた。
　いたいけな妻を、獣のように蹂躙したい本能と衝動を抑えながら、彼女の衣服をはぎ取った。

「……ギル……」

　潤んだ碧の瞳で見上げられながら名前を呼ばれると、一瞬で果てそうになったが耐える。
　彼女の汗で濡れた肌を、ランプの灯りが艶めかしく照らしていた。
　媚薬の相乗効果で、匂い立つような色香を発する妻を前に、ギルフォードはとにかく欲望を必死に耐え忍んだ。

　しかも聞けば、媚薬のせいでなく、しばらく自分に抱かれていなかったから、身体がおかしくなったとか、はしたないと思われて自分に嫌われたんじゃないか、もう飽きたんじゃないかと……ルイーズは訴えてくるではないか。
　またも果てそうになった自分を必死に抑えつけた。

（ルイーズが可愛すぎて、こっちの頭がおかしくなりそうだ……）

　何度か抱いてきたが、いつまでたっても生娘のような反応を示すルイーズ。
　どれだけ抱いても飽き足りない。
　ひくつく花襞が甘く蜜を出しながら彼を誘って来ていた。
　卑猥な赤へと色づいた花唇を、透明な滴を零す先端で開く。上下に擦る最中に、彼女の口から艶めいた声が聴こえてきた。

「あっん……ギルっ……あっ……」

「可愛いこと言うなよ……お前がはしたないのは、どれだけだって歓迎する。それに――俺がお前を嫌いになるわけないだろう？」

「ギル、本当？」

「もちろん本当だよ……。俺はそもそも嘘を吐くのが苦手だしな……ほら、挿れるぞ……喋ったら舌を噛むからな」