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ギルフォードside(過去〜現在)

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 父や兄にも負けず、一代で財を築き上げたギルフォード・グリフィスには、ずっと好きな女性がいる。
 幼馴染のルイーズ・フォード侯爵令嬢だ。
 社交界で出会ったという父親同士の仲が良くて、母親同士が一緒に仕事をしている。
 ギルフォードの父親は国を揺るがす大富豪で、子どもの頃から物質的にも精神的にも恵まれていた。
 何でも思い通りになるのが普通の環境の中、唯一思い通りにならないのがルイーズだった。



※※※



 出会ったのは、まだ物心がついたばかりの頃。
 お互いの母親達が貴族として慈善事業に精を出すタイプの人間だった。そのため、ギルフォードとルイーズは一緒によく孤児院にでかけて、子どもたちと一緒に遊んだりしたものだ。

「ギル君、ルイーズは人見知りなの、仲良くしてあげてね」

 母親の影から、おずおずと顔を出す少女。
 ブラウンの緩やかなミディアムロングに、翡翠色に近い緑色のくりくりした瞳。

「ルイーズと申します。どうぞ、よろしくお願いします」

 幼いギルフォードに衝撃が走った。
 物心ついてしばらくして出会った彼女は、彼のどストライクど真ん中で、いたいけな少年の心を奪い去っていった。

(この子と仲良くしたい……)

 どう接して良いか分からなくて――。

「ギルフォード・グリフィスだ。お前が仲良くしてほしいんだったら、仲良くしてやっても良いぞ」

 普段通り、偉そうな態度をとってしまった。
 反応がなくて心配していると――。

 ふいっとルイーズは視線をそらした。

 ギルフォードの幼い初恋は、瞬時に敗れ去ったのだった。



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