上 下
20 / 71
本編

20※

しおりを挟む
「ギル……んっ……」

 また彼がそっと口づけてくる。
 しばらく衣服越しに、慣れた手つきで身体を擦られた。
 そうして、いつの間にか私は衣服を全て剥ぎ取られてしまっていた。
 口づけや花園への愛撫で、既に秘所は濡れてしまっていて、気恥ずかしい。

「ルイーズ、綺麗だ……」

 彼が口づけはじめた。

「あっ……あんっ……あっ……」

 全身の肌を吸われ、肌にくまなく花びらが散った頃には、身体が火照ってしまっていた。
 彼がまとっていた衣服を脱ぎ捨てる。
 そうして、ぐちゃぐちゃに濡れてしまった花弁を割られ、先端を宛がわれる。
 心臓がバクバクと音を立て、頭がおかしくなりそうだ。

「ルイーズ……痛くないようにするから」

「ギル……ああっ……!」

 彼の熱杭が蜜口を穿つ。
 みちみちと純潔の襞が破られていく。
 途中、ギルフォードが眉をひそめていた。

「力を抜けって言っても、どうやら無理のようだな……」

 彼の逞しく育った背にぎゅっとしがみつく。
 何度も彼が口づけてきた。
 ずぶずぶと猛る全てを飲み込んだ後、止めていた息をはっと吐き出す。

「……はっ……」

 痛みはあるが、雨のようなキスのせいだろうか――想像したほどの痛みはなかった。
 彼の勇根を全て飲み込んでいるので、下腹部にものすごい圧迫感を感じる。
 彼も息を吐く。
 結合部がぐちゅんと鳴った。

「はあ……ひどく熱いな……なあ、ルイーズ、痛みはないか? ……っ……」

 先ほどからギルフォードの様子がおかしい気がするが、気のせいではないようだ。

「ギル、大丈夫……?」

「え? ああ、お前の締め付けが激しくて、何度か果てかけてるだけだ」

「果て……?」

「まあ、あまり気にするなよ。一応、今日はここまでにしておいてやるか」

 そうして、そっと唇を重ねられる。

「初めて男を受け入れて、感想はどうだ?」

「え? そんなこと聞いてくるなんて、相変わらずデリカシーがないわ……」

 ふっと視線をそらした。
 顔を真っ赤にして答える。

「よく分からない」

「……そうかよ」

 ギルフォードがやれやれといった調子でため息を吐く。
 彼が何度も私の髪を撫でてきた。

「俺は――」

 ちらりと彼を見上げた。
 暗い部屋の中、彼の金の髪と青い瞳が、月明かりに照らされて幻想的だった。


「今まで生きてきた中で、最高に幸せだよ……ルイーズ……」


 意地悪なんかじゃない、とても愛おしそうに彼が微笑んでくる。

(――あ……)

 心臓がドクンと跳ねた。

(なんでそんなに嬉しそうなの……)

 勘違いして傷つきたくなかったはずなのに……。
 だけど、本当の婚約関係になると決めたからだろうか。

「ルイーズ。俺のために菓子を作ってくれよ……毎日でも食べてやるよ」

「毎日食べたら太るわよ」

「身体を鍛えてるから、毎日食べても太らねぇよ」

 軽口を叩き合っていると、彼が口づけてくる。

「これからもまた、子どもの頃みたいにずっと一緒だな……ルイーズ」

 お互いに緊張していたからだろうか、汗びっしょりになっていて、抱きしめ合うと肌が張り付き合った。

(なんだろう、すごく幸せ……)

 素直に彼にそうだとは言えないけれども……。

 ひどく幸せな気持ちのまま、彼の腕の中で、その日は眠りに就いたのだ。

 ――学生時代のひと悶着や、どうしてギルフォードが薔薇を持ってうろついていたのかなんて忘れて。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

【完結】うちのお嬢様が婚約者の第2王子から溺愛されているのに真実の愛を求めて婚約破棄しそうです。

みやこ嬢
恋愛
★2024年2月21日余話追加更新 【2022年2月18日完結、全69話】 「わたくし、婚約破棄しようと思うの」 侯爵家令嬢のフィーリアは第2王子との婚約に不満がある様子。突然の婚約破棄発言の裏には様々な原因があった。 これは一時的な気の迷いか、それとも…… 高位貴族の結婚事情。 周りとの温度差。 婚約者とのすれ違い。 お嬢様の幸せを誰より願う専属メイドの2人が婚約破棄回避のために尽力する。 *** 2021年3月11日完結しました 2024年2月21日余話追加しました

【R18】悪役令嬢は騎士の腕の中で啼く――婚約破棄したら、爵位目当ての騎士様に求婚されました――

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※ムーンライト様で10月中旬に連載、完結した作品になります。 ※R18に※、睡姦等  伯爵令嬢のリモーネは、クラーケ侯爵と婚約していた。しかし、クラーケは将軍の娘であるセピア公爵令嬢と浮気。あげくの果てに彼女は妊娠してしまい、リモーネとクラーケの婚約は破棄されることになる。  そんな中、頼りにしていた父が亡くなり、リモーネは女伯爵になることに。リモーネの夫になったものが伯爵の地位を継げるのだが、位の高いクラーケとセピアのことが怖くて、誰も彼女に近づかない。あげく二人の恋路を邪魔したとして、悪役としての汚名をリモーネは受けることに……。  そんな孤独な日々の中、彼女の前に現れたのは、立身出世まっしぐら、名高い騎士に成長した、幼馴染のシルヴァお兄ちゃん。リモーネは、彼から「爵位が欲しいから結婚してほしい」と求婚されて……?  お人好しのなりゆき悪役令嬢リモーネ×言葉足らずの無愛想で寡黙な年上イケメン騎士シルヴァ。  浮気男との婚約破棄後、偽装結婚からはじまった幼馴染同士の二人が、両想いになるまでの物語。 ※ざまあというか、浮気男たちは自滅します。

《R18短編》優しい婚約者の素顔

あみにあ
恋愛
私の婚約者は、ずっと昔からお兄様と慕っていた彼。 優しくて、面白くて、頼りになって、甘えさせてくれるお兄様が好き。 それに文武両道、品行方正、眉目秀麗、令嬢たちのあこがれの存在。 そんなお兄様と婚約出来て、不平不満なんてあるはずない。 そうわかっているはずなのに、結婚が近づくにつれて何だか胸がモヤモヤするの。 そんな暗い気持ちの正体を教えてくれたのは―――――。 ※6000字程度で、サクサクと読める短編小説です。 ※無理矢理な描写がございます、苦手な方はご注意下さい。

【R18】ひとりえっちの現場をヤンデレに取り押さえられました。

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
 タイトル通り。  孤児出身の助手エミリアが自慰行為をしていたら、上司で魔術師長のファウストに現場を見つかってしまい――?  R18に※、全15話完結の短編。  ムーンライトノベルズの短編完結作品。

【R18】突然すみません。片思い中の騎士様から惚れ薬を頼まれた魔術師令嬢です。良ければ皆さん、誰に使用するか教えていただけないでしょうか?

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※ムーンライトノベルズ様の完結作、日間1位♪ ※R18には※ ※本編+後日談。3万字数程度。

処理中です...