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しおりを挟むブライアン団長が碧の瞳を真ん丸にして固まっていた。
(へ……?)
普段なら冗談ばっかりの彼なのに――微動だにしないのだ。
しばらくすると口を開いてくれた。
「キティは、俺から他の女性たちにみたいにこういうことされないって、気にしていたのかい?」
思い切って、こくんと頷く。
「こんな見た目ですもの、仕方ないです……よね」
すると――
「参ったな……」
ブライアン団長がぼやく。
(あ……)
――迷惑をかけてしまったかもしれない。
ズキンズキン。
胸が痛む。
「あ……団長……その……」
善意で触れてくれていたのに、触られている間に有頂天になってしまっていた。
謝ろうとしたが、喉がひりついて言葉が出てこない。
すると、ブライアン団長が――
「君が俺に対してそんな風に思ってたんだって分かって……まずいな……こんなに嬉しいなんて……」
「え?」
そうして、ブライアン団長を顔をよくよく見れば――
(顔、紅い、どうして……?)
こっちまで戸惑ってしまう。
困惑していると――ブライアン団長が語りはじめた。
「君の家、伯爵家はさ」
「はい」
「数年前の魔物の襲来事件で、父伯爵も亡くなって、今は弟くんが成人して爵位を継ぐまでだって、君が頑張って生計をたてているだろう?」
「ええ、そうですね……」
「それでさ……ずっと言ってなかったけれど、俺は君の父親に君のことを頼まれてたんだ」
「え?」
思いがけない話に私は驚いて目を見開いてしまった。
「君はもしかしたら知らないかもしれないけれど、君のお父上が副騎士団長だった頃、同じ団で団員として働いていたんだ。だから、キティ、君のことはずっと知っている」
「あ……」
時々、名無しの人物から資金援助がくることがあった。
だけど、まさかそれも――?
「そういう経緯もあって、キティ、君のことは娘みたいなものだって思ってたんだ……だから、他の女性達みたいに気軽に手は出せなかった」
――娘みたい……
ズキンズキン。
(胸が理由で触れられなかったわけじゃないけれど……)
それでもやっぱりブライアン団長からは女性としてみられていなかったのは確かで……
「すみません、そんなやつの胸の色々を手伝わせてしまって……!」
そうして、彼から離れようと慌てて立ち上がったのだが――
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