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後日談7
しおりを挟む恙なく結婚式が済んだ後、城内で祝宴が開かれた。
ヒルデ様のご意向で、有力貴族達だけを呼ぶのではなく、市井の民達の代表者たちも顔を覗かせている。さすがに国民全員は城には呼べないので、後日、視察に向かった際に、祝いの礼を告げるそうだ。
祝宴中は、お色直しを頻繁におこなった。
(ヒルデ様、こんな数をいつの間に仕上げていたの?)
彼お手製の衣装は彩緑だった。
まるで宝石や花にでもなったかのように、様々な色のドレスを着ることになった。
目まぐるしく宴は終わりが近づいていき、最後に私は純白のドレスへと戻った。最初に着用したものとは別の、少しだけくだけたエンパイアラインのものだ。
「あら、エレナ。やっぱり貴女は何でも似合うんだから」
そう言って式典が終わりを迎えようかという頃、ヒルデ様が姿を消した。
主役の一人がいなくなったと来客者たちがざわつく中、彼がまた戻ってくる。
「ヒルデ様!」
「やっぱり、私も着なくっちゃね」
ウィンクをするヒルデ様は、ウェディングドレスを身に纏って現れたのだ。
私のドレスに比べると、シンプルなデザインのものを、ヒルデ様は見事に着こなしていらっしゃった。
(綺麗……)
あまりの麗しさに、皆が口々に彼を誉めそやす。
女性陣が歓声を上げ、老人達は、ほおっとため息を吐く。
男性達の中には心臓をドギマギさせている者までいるようだ。
そんな中、我々に向かって国王陛下が私たちに声をかけてくる。わりと厳格な人物として有名なヒルデの父。今回、貧乏貴族である私との結婚を許してもらったのも不思議なぐらいだった。
挨拶に向かった際も、式典中も黙ったままだった陛下だったが、寂しそうだけれど、どことなく嬉しそうだった。
「ヒルデ、あの子も、天で喜んでいるだろう。――エレナよ、どうか国の――いいや大陸全土の発展のために、女騎士としてヒルデと共に尽力してほしい」
和解した二人を見て、周囲も色めきだった。
ヒルデ様も心なしか、照れくさそうに微笑んでいる。
(ヒルデ様、良かった)
彼が私をふわりと横抱きにした。
「さて、皆に私たちの姿を堪能してもらえたことでしょうし、行きましょうか、エレナ」
花嫁が二人いる不思議な光景の中、皆に拍手をされ、幸福感に包み込まれる。
そうして、私たちは会場を後にしたのだった。
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