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「どういう意味も何も……しょうもない騎士の前でも話したけれど、貴女はアタシの大事な女だって伝えたはずよ」

「友人という意味ですよね? だって、あの将軍様のご子息のことが……ヒルデ様は好きなんでしょう?」

 ヒルデ様が紅い瞳を見開く。

「え? あれは幼馴染で……。アタシが……いいや、俺が好きなのは――」

 勝手に瞳が潤んでしまった。
 真摯な眼差しに心が打ち震える。


「エレナに決まってるだろう?」


 唇が戦慄いた。

「嘘……」

「どんどん俺の手でキレイになって、どんどん成長して……いつでも一生懸命、俺を守ってくれるエレナのことが……ずっと……」

「本当に……?」

「信じられない? じゃあ……」

 彼の口調が変わる。

「アタシが誰が好きなのか身体で確かめてみる?」

 月明かりの下、ひどく熱っぽい彼の視線に絡み取られてしまう。
 ちょうどガタンと音を立て、馬車は城に停止したのだった。



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