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しおりを挟む翌日。
少しだけ落ち着かない気持ちを抑えながら、任務に当たっていた。
「あら? なんだか機嫌が良いわね、エレナ」
「はい。分かってしまいますか?」
「ええ、もちろん。アタシ、エレナのこと、いつも見てるから」
そうして、昨日、ついに念願叶って飲みに誘われたことをヒルデ様にお伝えした。
女性としても騎士としても、いつも背を押してくれるヒルデ様。
当然、喜んでくれると思ったのだが――。
「危なくなぁい?」
「え?」
ヒルデ様を見ると剣呑な光が宿っている。
「だって男たちの中に女一人でしょう? いくら貴女の腕が良いからって、賛成は出来ないわ。しかも飲みの場なんでしょう?」
「そう……でしょうか……? だけど、飲みに誘われたのは初めてで……!」
この機会を逃したくない。
(男女問わず、騎士として対等に扱われる良い機会だし、新たな情報だって入手できるかもしれない)
その時、突然――視界が反転した。
急すぎて思考が追い付かない。
新手の敵でも現れたのかと思ったが違う。
「え……?」
気づけば、ソファの上、ヒルデ様に組み敷かれていたのだ。
(あ……)
何をふざけたことを――。
そう言って押しのけようとしたのだけれど――。
(力が強くて出来ない……)
私の身体の上に跨ってきているヒルデ様が、蠱惑的な唇を開く。
「だったら……」
いつになく彼は妖艶な雰囲気を漂わせている。
「――俺の腕を振りほどいていけよ」
そこには――男性の顔をしたヒルデ王子がいたのだった。
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