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第11話 嫌いになれたら楽なのに side瀬戸
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しおりを挟む「魔法使いみたいなセトくんに……」
ふと、小学生の頃に合った女子の顔が頭を過ぎる。
『せとくん!! 魔法使いみたいでカッコイイ!!』
あの子はこんな地味なやつじゃなかったけれど……。
だけど、その言葉は……。
試合で勝てるかどうか分からない時のざわつきに似たものが、俺の中に拡がっていく。
「魔法使いって、バスケやってるだけだったんだろう? 言い回しが大げさじゃないか……?」
加賀美百合が続ける。
「高く飛べるだけじゃない……画面の向こうにいる私にまで影響を及ぼしてきました。たくさんの人が生きているけれど、同じ時代を一緒に生きて過ごすことが出来て、一瞬だけでも誰かの心に何かを残せるって、本当に奇跡みたいなことだって思うから……だから、彼は魔法使いなんです」
思わず、俺はひゅっと息を呑んだ。
「そんな推しの彼が、生きて一緒の世界を生きているんだって思えたら、それだけで私は幸せなんです――これから先も、ずっとずっと私の推しです」
堅く握りすぎて痛くなった手を開いて、加賀美百合に問いかけた。
「そのセトとやらは……お前のいうように、今はバスケをやってないんじゃないか? だったら、そんなもう続けてないようなやつのこと推し続けても意味ないんじゃないのかよ?」
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