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第9話 好きなものは好きだからしょうがない side百合
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しおりを挟む「お前、これ毎日作れよ……! 一生飽きない味だ……!」
「い、いいい――一生……!???」
困惑していると、彼もはっとなって顔を真っ赤にしていた。
「一生って、いや、別に! お前を嫁にもらいたいとか、そんな話じゃなくってだな! ほら、お前、一応俺の家に雇われてるわけだから……!」
「そそそ、そうですよね……! わ、私は、瀬戸先輩の身の回りのお世話をする係で……!」
なんとか心を落ち着かせようとする。
冷静にならないと……。
もし好きになったとしても、絶対に釣り合わないようなお金持ちの御曹司。
それが瀬戸先輩なんだから……。
そう自分に言い聞かせて、気持ちを落ちつけていると――。
「その……」
瀬戸先輩が神妙な面持ちで、こっちを見てきていた。
「昨日は悪かった……」
「え? 何の話ですか……?」
予想外の展開に思わず、キョトンとしてしまった。
瀬戸先輩は伏し目がちになりながら、声を絞り出すようにして告げてくる。
「お前に対して、ひどい事を言った……」
「ひどい事……?」
「ああ」
もしかして……?
『だが、そいつと何年も会えてないんだろう? ……そんなのお前、もう大人になって忘れてるさ……それに、俺はバスケは嫌いだって言っただろう?』
たぶんそれぐらいしか思い当たらなかった。
私は首を横に振る。
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