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第1話 天涯孤独、はじまりは電話から side百合
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しおりを挟むお母さん、病気になったんだ。
若いと滅多にかからないはずの病気。
知らない間に進行しちゃってて、気づいた時にはもう手遅れだった。
お母さん、なんとなくお腹が痛いって言ってたのに、気づいてあげられなかった……。
(ごめんね、お母さん……)
そうして、ちょうど7週間前。
お母さんは天国に旅立っていったんだ。
大好きな大好きなお母さんが死んじゃって、心に大きな穴がぽっかり空いた。
(まさか急にいなくなっちゃうなんて……まだ信じられない……)
アパートで待っていたら、今でも明るい声が聞こえてきそう。
『百合、ただいま! 夕ご飯作ってくれたの? ありがとう』
……って。
だけど、待っても待っても、帰ってこないんだ。
シーンと静まり返った部屋。
ポツンと一人で過ごしていたら、どんどん涙がこみあげてくる。
「お母さん……」
事情がよく分からないのだけど、お母さんは実家とは連絡をとってなかったんだ。
当然、お父さんの親戚のことなんて分かるはずもない。
だから――。
私は15歳で天涯孤独になってしまった。
もう私も高校1年生で、働ける年でもある。
だから、市役所の人たちも、無理に私の親戚たちを探すようなことはしなかった。
だけど、貯金がなかった。
まだ若かったし大きな保険にも入ってなかったから、私は無一文に近い状態になってしまったんだ。
――学校辞めて、働かないといけないのかな……?
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