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第10話_4 二人の物語の始まり※
しおりを挟むその後、一応一命をとりとめたシュタインから、色々と説明を受ける。
彼が帝国の皇太子であること。
ずっと、皇妃である母親を殺した犯人――つまるところ、わたしの継母を捕まえるために、追いかけていたこと。
オルビスの王妃だろうと当たりはつけていたこと。
城の遺体達は、彼女による犠牲者達で、証拠の意味もあって保管していたこと。
わたしが先ほど飲んだ毒薬は、シュタインが睡眠薬にとりかえていたこと。
継母がわたしの母親に騎士をけしかけ、わたしを孕ませたこと。それでわたしの母をずっと脅して、母の精神状態をおかしくさせていたこと。
父はそれに気づいていて、わたしにどう接して良いか分からず、ずっと申し訳なく思っていたらしい。
城の使用人達も継母が怖くて、わたしに優しくできなかったそうだ。
諸悪の根源である継母には、死よりも恐ろしいと言われる、帝国の拷問に生きたままかけられ続けるらしい――。
ちなみに――。
「ねえ、あなた本当は死体愛好家なわけじゃないの?」
「いや、わたしは彼女達を愛している――! その想いに嘘はない――!」
だけど、死者も生者もイケる口らしい――。
(だから、わたしを見ても興奮してたのね――やっぱり気持ち悪い……)
ちなみに最初の出会いでは、仮死状態のわたしを目覚めさせるために色んな刺激を試した結果、襲うことになったそうだ。
(いやいや、単純に挿入したかっただけの後付け設定でしょ)
「ヴィオレッタ! とにかく、我が最愛の妻『死んだヴィオレッタ』の次に、俺はお前を気に入っている! これからも皇妃としてわたしの世話をしてもらうからな――!」
なぜかイキってる彼に、わたしは曖昧に頷いた。
「はいはい、わたしがいないと本当にダメだものね――」
そういうと、彼は照れたように笑ったのだった。
※※※
ロクス帝国の第十代皇帝シュタイン・ロクスは、死体愛好家として国民をはじめ恐れられていたが、新薬の開発などで帝国の医療発展に寄与した人物としても有名である。
その一方で、彼は恐妻家だったとも伝えられている。
妻は死人のように綺麗な白髪に菫色の瞳をした女性だったという。オルビスの姫との噂もあるが、特徴的な見た目とは異なるため、近年ではその説は否定されている。
また、美に執着した魔女として有名な連続殺人犯が暗躍した時代としても知られている。
さらに歴史家の見解では、年を重ねた後に夫婦二人で抱き合って死んでいたというが、真偽は闇の中である。
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